動物愛護法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
~事例~
福岡県飯塚市に住むAさんは、飼い猫を虐待して殺害し、その様子を撮影した動画をインターネットの掲示板に投稿したとして、福岡県飯塚警察署は、動物愛護法違反の疑いでAさんを福岡地方検察庁飯塚支部に書類送検しました。
Aさんは、今後どのような流れとなるのか、どのような処分を受ける可能性があるのか不安になり、刑事事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
改正動物愛護法の施行
「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、「動物愛護法」といいます。)は、動物の愛護と動物の適切な管理を目的とする法律です。
動物愛護法の対象となる動物は、家庭動物、展示動物、産業動物、実験動物などの人の飼養に係る動物です。
動物愛護法における主な罰則
6月1日より施行された改正愛護動物法は、動物虐待に対する罰則が引き上げられました。
動物愛護法は、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つける行為を禁止し、それに違反した場合には、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金を科すと定めています。(動物愛護法第44条1項)
ここでいう「愛護動物」とは、
①牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
②①に掲げるものを除く他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
です。
また、愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼育し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他虐待についても、動物愛護法は禁止いています。
これに違反した場合の罰則は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰則となっています。
このような虐待に当たるか否かについては、行為の態様、侵害の程度、目的の正当性、手段の相当性、その他の状況を総合して社会通念に照らして判断されます。
愛護動物を遺棄した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
ちなみに、他人の飼っている動物を傷害した場合は、器物損壊罪が成立する可能性があります。
動物虐待に関する過去の裁判では、猫9匹を殺害し、4匹に傷害を負わせたという事案について、裁判所は、犯行態様は、捕獲器で捕まえた猫に熱湯を繰り返し浴びせかけるなどしており、残虐なものである上、1年余りの間に計13匹の猫に虐待を加えた常習的犯行であり、虐待行為自体に楽しみを覚え、その様子を撮影した動画をインターネット上で公開することが目的化したというものであり、各犯行は動物愛護の精神に反する悪質なものであるとし、被告人に懲役1年10月執行猶予4年の有罪判決を言い渡したものがあります。(東京地判平29・12・12)
悪質な虐待を行うケースでは、通常の裁判となる可能性もありますので、早期に弁護士に相談し、弁護活動に着手する必要があるでしょう。
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