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マッサージでない行為をマッサージと偽り逮捕、不同意わいせつ事件
マッサージでない行為をマッサージと偽り逮捕、不同意わいせつ事件
不同意わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福岡県行橋市に住んでいるAさんは、市内でマッサージ店を経営していました。
Aさんは来店した好みの女性であるVさんにマッサージを行う際、下半身を触りそれをマッサージと偽りました。
しかしVさんは他のマッサージ店にも通っていたことから不自然さを感じ、マッサージではなかったのではと思い、警察に相談しました。
その後、行橋警察署の警察官がマッサージ店に現れ、Aさんを不同意わいせつ罪の容疑で逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
不同意わいせつ罪
相手の同意を得ずに、わいせつな行為をした場合に適用される犯罪が、不同意わいせつ罪です。
「わいせつな行為」とは、被害者の意思に反して性的羞恥心を害し、かつ一般的に性的羞恥心を害すると考えられる行為を指しています。
刑法の第176条第1項に定められた不同意わいせつ罪の条文は、全部で8つの条件をあげ、それらの中のいずれかの行為をした上で、わいせつな行為を同意なく行うと適用されます。
Aさんは相手に嘘をつきましたが同意は得ているため、この第1項の条文は適用されていません。
しかし、不同意わいせつ罪には他にも条文があります。
刑法第176条第2項には、「行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。」と定められています。
相手に嘘をつくなどして偽り、同意を得るタイプの不同意わいせつ罪に適用されるのが、こちらの条文です。
そのためAさんはマッサージではない行為をマッサージと称して偽り、Vさんの下半身に触れているため、刑法第176条第2項の不同意わいせつ罪が成立したと分かります。
条文には「前項と同様とする。」とあり、これは第1項の刑罰が第2項にも適用されることを意味します。
刑法第176条第1項の法定刑は「6月以上10年以下の拘禁刑」であるため、Aさんの不同意わいせつ罪に対する法定刑もこちらが適用されます。
弁護士と示談交渉
不同意わいせつ罪には罰金刑が定められていません。
そのため起訴されてしまうと、実刑判決となってしまう可能性があります。
刑務所への服役を回避するのであれば、示談の締結が最も重要な弁護活動です。
しかし、参考事件のように被害者が知り合いでないケースの場合、示談交渉のためには連絡先を知る必要があります。
被害者の連絡先を警察が教えることはまずありません。
そのため参考事件のような事例の場合に示談交渉を進めるのであれば、弁護士に弁護活動を依頼する必要があります。
別の方法で被害者の連絡先を調べ、個人で連絡をとるということも不可能ではありませが、弁護士を間に入れての示談交渉であれば、専門的な知識によるサポートを受け、より円滑に示談交渉を進めることができるでしょう。
不同意わいせつ事件の際に示談の締結を目指すのであれば、示談交渉の知識と経験が豊富な弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めいたします。
示談交渉は弁護士にお任せを
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、少年事件・刑事事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所は年中無休で、初回無料の法律相談、逮捕・勾留された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
予約専用のフリーダイヤルは24時間体制で電話対応しております。
不同意わいせつ事件の当事者となってしまった、不同意わいせつ罪の容疑でご家族が逮捕・勾留されてしまった、このような時はお気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部のフリーダイヤル「0120-631-881」にご連絡ください。
ストーカー行為を元交際相手に対して行い、ストーカー規制法違反
ストーカー行為を元交際相手に対して行い、ストーカー規制法違反
ストーカー規制法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福岡県宗像市に住んでいる大学生のAさんは、交際をしていたVさんと別れることになりました。
ですがAさんはVさんに未練のあったため、「また会えないか」と度々連絡をしていました。
Vさんは迷惑に思ってやめるように言っていましたが、なかなかやめないため警察に相談しました。
そしてAさんはストーカー行為に対して警告を受けることになりました。
Aさんは連絡をとろうとすることはやめましたが、1回だけでも話したいと思ったAさんはVさんの自宅付近を見張りました。
しかし、Vさんが自宅を見つめるAさんの存在に気付き、警察に連絡しました。
そして宗像警察署の警察官が駆け付け、ストーカー規制法違反の疑いでAさんは現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
ストーカー規制法
ストーカー規制法違反とは、その言葉通りストーカー規制法(正式名称『ストーカー行為等の規制等に関する法律』)の規定を破ったことを意味します。
Aさんはまず、何度も会う要求をしています。
この行為は、ストーカー規制法第2条第1項第3号の「面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。」に該当するものです。
この時点でAさんは、警察から警告を受けています。
この警告とはただの注意喚起ではなく、ストーカー規制法に規定のある行為です。
警察がストーカー行為をされたと相談された場合に、そのストーカー行為が続く可能性があると判断できるのならば、警察は禁止命令・警告を出すことができます。
警告後もAさんは、被害者宅を見張る行為をしました。
この行為も、ストーカー規制法第2条第1項第1号の「つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。」に該当しました。
そのため最終的にAさんはストーカー規制法違反となり、逮捕されました。
参考事件のような事例では、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(ストーカー規制法第18条)が法定刑となります。
また、仮にAさんが警告ではなく禁止命令を受けていた場合、ストーカー規制法第19条が適用されます。
禁止命令を無視したストーカー行為の法定刑は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」です。
ストーカー規制法違反の逮捕リスク
ストーカー行為があった場合、警察はまず警告や禁止命令を出します。
そしてそれらを無視してストーカー行為を続けてしまうと逮捕リスクは非常に高まります。
もちろん、事件の内容次第では警告・禁止命令なしで逮捕されることもあります。
警察が逮捕に踏み切るには、逃亡や罪証隠滅を防止するなどの条件が必要です。
そのため逮捕された場合は速やかに弁護士に依頼し、身元引受人を立てるなど逮捕の必要性がないことを主張すれば、早期に釈放される可能性は高まります。
仮に早期の釈放にならずとも、弁護士がいれば家族や職場に状況を伝えることが可能であるため、弁護士はスムーズに事件を終わらせるための鍵と言えます。
あいち刑事事件総合法律事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料の法律相談、逮捕・勾留された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を、24時間体制で受け付けております。
土曜日、日曜日、祝日もご利用いただけますので、ストーカー規制法違反でとなってしまった方、またはご家族がストーカー規制法違反の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、是非、ご相談ください。
会うことを何度も中学生に対して求め、面会要求罪が適用
会うことを何度も中学生に対して求め、面会要求罪が適用
面会要求罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福岡県那珂川市に住んでいる30歳の会社員Aさんは、インターネット上で15歳の中学生Vさんと知り合いました。
AさんはVさんに対して性交を目的に、そのことを伏せて何度もVさんに会えないかどうかを聞いていました。
Vさんはその度に断っていましたが、AさんはVさんが欲しがっていた物を買うことを条件に会うことを求めました。
そしてVさんは、Aさんが性的な関心を持って会いたがっているのではないかと思い、警察に相談しました。
そしてAさんは春日警察署に面会要求罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
16歳未満の者に対する面会要求等
面会要求罪は略称であり、刑法には「16歳未満の者に対する面会要求等」と定義されています。
刑法第182条第1項では「わいせつの目的で、16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています
「次の各号」は3号まであり、第1号が「威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。」、第2号が「拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。」、第3号が「金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。」とそれぞれ記載されています。
参考事件のAさんは、Vさんに対して性的な目的で何度も会えないかどうかを聞いているため、第2号に該当します。
その他にも、Vさんが欲しい物を買うことで会おうともしているため、これが「金銭その他の利益」に該当し、第3号が適用される可能性も高いです。
また、Aさんは実際にVさんと会うことはしていませんが、会っていた場合は刑法第182条第2項の適用範囲となります。
この条文には「前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該16歳未満の者と面会をした者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。」とあるため、より重い罪が適用されることになります。
面会要求罪の弁護活動
面会要求罪の施行は、令和5年7月13日に行われた刑法の改正からで、非常に新しい犯罪です。
そのため面会要求罪に問われても詳しい条文を知らず、具体的にどういったことをするべきか分からないことも多いと思います。
こういった際に刑事事件に詳しい弁護士に相談し、正しく状況を把握することが必要です。
また、16歳未満が被害者の性犯罪であることから、示談締結を目指す場合その保護者と示談交渉を進めることになります。
しかし、未成年者が被害にあった事件では、保護者の処罰感情が強くなりやすいため、直接加害者が示談を行うことはデメリットも大きくなります。
そのため示談交渉の際は弁護士を雇い、弁護士を間に入れた形で示談交渉を進める方が、より良い結果に繋がりやすいと言えます。
刑事事件に強い弁護士
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ご予約はどちらもフリーダイヤル「0120-631-881」にて、土、日、祝含め24時間体制で受け付けております。
面会要求罪の疑いで捜査されている、ご家族が面会要求罪の疑いで逮捕されている、このような場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、お気軽にご連絡ください。
上司からの強要、不同意性交等罪となる条件について
上司からの強要、不同意性交等罪となる条件について
不同意性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡県春日市に住んでいる会社員のAさんは、同じ会社に勤めている部下のVさんに対して「1回だけ付き合って欲しい」「こっちは人事もある程度都合をつけられる」といって性行為を求めました。
Vさんは拒否しきれず、Aさんと一緒に市内にあるホテルを訪れ、そこで性行為に及びました。
後日、様子が変だと思った会社の同僚がVさんに話を聞き、VさんはAさんとのことを反しました。
Vさんは同僚から警察に相談することを勧められ、Vさんは警察に被害届を出すことに決めました。
そしてAさんは不同意性交等罪の容疑で春日警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
不同意性交等罪
令和5年7月13日に刑法が改正されたことで、強制性交等罪は準強制性交等罪と統合・変更される形で不同意性交等罪となりました。
改正された刑法第177条第1項には不同意性交等罪が「前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。」と定められています。
「前条」とは不同意わいせつ罪が定められた刑法第176条のことです。
「第1項各号」には不同意わいせつ罪が適用される条件の項目が挙げられており、これらが不同意性交等罪でも参照されます。
この項目には強制性交等罪でも要件にあった「暴行もしくは脅迫を用いる」ことや、準強制性交等罪での「アルコールもしくは薬物の影響に乗じる」ことに加え、「虐待に起因する心理的反応を生じさせる」ことや「予想外の事態に恐怖または驚愕させる」ことなどが定められ、合計で8つの項目があります。
そして参考事件のAさんは、「人事」という言葉で会社の立場に影響を与えられることを仄めかし、Vさんと性行為に及んでいます。
第1項第8号には「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」とあり、これがAさんに適用された項目になります。
不同意性交等罪の要件
同意の有無は不同意性交等罪が成立するかどうかの非常に重要なポイントになりますが、その前提である「行為又は事由その他これらに類する行為又は事由」に該当するかも大切な論点です。
不同意性交等罪はまだ施行されて1年もたっていない犯罪ですので、どのような行為が不同意性交等罪に該当するのかはわからない人も多いと思われます。
なので不同意性交等罪の容疑で捜査されている場合、新設された犯罪にも詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
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同意があっても逮捕される、被害者が16歳未満の不同意わいせつ罪
同意があっても逮捕される、被害者が16歳未満の不同意わいせつ罪
参考事件
福岡県糸島市に住んでいる会社員のAさんは、会社の同僚宅に訪問していました。
同僚の家には小学生のVさんがおり、Aさんは2人きりになったタイミングで、Vさんに「胸を触っていいか」と尋ねました。
Vさんが「いいよ」と了承すると、服に手を入れ胸部を触るなどしました。
その後、VさんがAさんにされたことを両親に話したため、そのまま両親は警察に被害届を提出しました。
その後、Aさんは不同意わいせつ罪の容疑で糸島警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
不同意わいせつ罪
不同意わいせつ罪は、強制わいせつ罪(及び準強制わいせつ罪)が変更される形で、刑法に新設された犯罪です。
刑法第176条第1項には不同意わいせつ罪について、特定の行為を用いて「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者」に適用することが明記されています。罪名の通り不同意であることが不同意わいせつ罪の要件になっていますが、参考事件の場合、Vさんは同意して胸を触らせています。
しかし、不同意わいせつ罪の対象となる被害者が16歳未満である場合、別の条文が適用されます。
それが「16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。」と定められた刑法第176条第3項です。
この条文では、不同意であることが不同意わいせつ罪の条件になっていません。
つまり、被害者が16歳未満の場合は(13歳以上で年齢差が5歳未満でない限り)同意があったとしてもわいせつな行為があれば不同意わいせつ罪が成立します。
これは16歳未満では性的な自由に対する判断能力・同意能力が備わっていないと考えられているからです。
そのためVさんの同意があっても、小学生(12歳以下)であるVさんにわいせつな行為をしたAさんは、不同意わいせつ罪となります。
被害者が16歳未満の性犯罪
不同意わいせつ事件は被害者がいる事件です。
そのため被害者と示談が締結できていれば、減刑を求めたり執行猶予の獲得を目指したりといった際に有利となります。
しかし参考事件のように被害者が16歳未満である場合、示談交渉する被害者側(参考事件の場合は両親)の怒りが特に強くなりやすいため、示談交渉が難航しやすい性犯罪に係る事件の中でもさらに示談の締結が難しくなります。
最悪の場合、示談交渉そのものが拒否されてしまうことも十分に考えられます。
速やかな事件の解決のためには弁護士に依頼し、弁護士限りの連絡で示談交渉を進める等の弁護活動が必要になります。
参考事件のような不同意わいせつ事件の際は、性犯罪や示談交渉に詳しい弁護士に弁護活動を依頼することが重要です。
不同意わいせつ事件に詳しい弁護士事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を中心に扱っている弁護士事務所です。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて当事務所は、初回無料の法律相談、逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
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ショッピングモールで盗撮、性的姿態等撮影罪で逮捕
ショッピングモールで盗撮、性的姿態等撮影罪で逮捕
性的姿態等撮影罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡県福岡市に住んでいる会社員のAさんは、市内にあるショッピングモールに訪れていました。
Aさんはエスカレーター(上り)を使う際、スマートフォンの動画機能をオンにし、前にいる女性Vさんのスカートの下にカメラを入れました。
しかし、Vさんはスマホに気付いていたため、エスカレーターを上がり切った際にAさんの腕を掴んで店員を呼びました。
Aさんを引き渡された店員はその後警察に通報し、しばらくして現場に駆け付けた中央警察署の警察官にAさんは性的姿態等撮影罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
性的姿態等撮影罪
性的姿態等撮影罪とは、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」に定められています。
この法律の第2条第1項では「正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為」が禁止されています。
「次に掲げる姿態等」には、わいせつな行為や性交をしている人の姿態の他、人の性的な部位およびそれらを隠すために身に付けている衣服(下着)が挙げられています。
そのため参考事件でAさんは、人が通常衣服を着けているショッピングモールでVさんのスカートの中の下着を撮影しているため、性的姿態等撮影罪が適用されます。
また、参考事件の場面ではまだAさんの撮ったスマホの動画にVさんの性的姿態等が写っているかは確認されていませんが、同条第2項には「前項の罪の未遂は、罰する。」と定められています。
そのため仮にAさんの撮影した動画に性的姿態等が写っていなかったとしても、性的姿態等撮影未遂罪は成立することになります。
性的姿態等撮影罪の法定刑は上記の法律の第2条に「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」と定められています。
以前まで盗撮事件は都道府県ごとに定められた迷惑行為防止条例で処分が決められていましたが、性的姿態等撮影罪が新設されたことで盗撮事件の処罰は全国で同じになり、その内容もより厳しいものになっています。
逮捕後の流れについて
警察に逮捕されると、釈放されない限りは48時間以内に検察官に身柄が送致されます。
そして検察官へ送致されると、検察官は24時間以内に裁判官に勾留請求をするかを決定します。
勾留請求された裁判官が勾留を決定すれば、10日間身体拘束されることになり、勾留が延長されれば最大で20日間身体拘束が継続されます。
つまり、逮捕されると外部との連絡を制限された状態で取調べを連日受ける状態が、最大23日間続く可能性があります。
長期の身体拘束を避けるためには、身体拘束では会社や家庭への影響が大きいと主張したり、逮捕するほど証拠隠滅や逃亡の危険がないことなどを書面にして提出したりといった身柄解放活動が必要です。
逮捕後早期の釈放を目指すのであれば、弁護士に相談し、弁護活動を依頼することをお勧めします。
盗撮事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所であり、初回無料の法律相談や、逮捕または勾留された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しております。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」で、24時間ご予約を受け付けております。
盗撮事件を起こしてしまった方、ご家族が性的姿態等撮影罪で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、是非、ご相談ください。
【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(性交後に同意がなかったと主張された架空の事例に基づく解説)
この記事では、架空の事例を基に、性交の同意があったとして不同意性交等罪の成立を争う場合の弁護活動について、解説します。
不同意性交等罪とは
不同意性交等罪は、相手の同意なく性交する行為を処罰するための法律です。
この罪は、暴行や脅迫がなくとも、相手が同意する意思を持てない状態にある場合に成立する可能性があります。
例えば、相手がアルコールなどの影響で意識が不明瞭な状態や、精神的な圧力を感じている状況下での性交がこれにあたります。
令和5年の法改正により、以前の強制性交等罪は不同意性交等罪と名称が変更され、法的な扱いも更新されました。
改正後の法定刑は、5年以上の拘禁刑とされており、「拘禁刑」の施行までは「懲役」とされています。この変更は、性犯罪に対する社会的な認識の変化と法的な対応の必要性を反映しています。
不同意性交等罪の成立要件は複雑で、被害者の内心の状態や、当事者間の関係性、事件の状況など、多岐にわたる要素が考慮されます。
したがって、この罪に問われた場合、専門的な法律知識と経験を持つ弁護士のアドバイスが不可欠となるのです。
事例紹介:性交後に同意がなかったと主張されたケース
福岡市内の会社員Aさんは、あるマッチングアプリを通じて20代の女性Vさんと知り合いました。数回の食事を共にした後、AさんはVさんを自宅に招き、夕食を共にしました。
その夜、二人は性交に及びますが、後日Vさんは「嫌だ」と言ったにも関わらずAさんに強いられたとして、福岡県中央警察署に被害届を提出しました。これにより、Aさんは不同意性交等の容疑で警察の取り調べを受けることになります。
Aさんは「性交は合意の上だった」と主張していますが、Vさんの訴えにより、捜査が進められている状況です。
この事例はフィクションですが、実際の事件では、被害者と加害者の供述がしばしば食い違い、真実が何であるかを見極めることが法律の専門家にとって重要な課題となります。
問われる同意
不同意性交等罪において最も論点となるのは、「同意」の存在です。
このケースでは、AさんはVさんの同意があったと主張していますが、Vさんはその事実を否定しています。法律上、同意の有無は被害者の内心に関わる問題であり、それを証明することは容易ではありません。
事件の真相を解明するためには、当事者間の関係性、当時の状況、そして事件前後の行動など、多角的な視点からの検証が必要となります。例えば、マッチングアプリやメッセージのやり取り、当日の行動パターンなどが、両者の主張を裏付ける証拠として検討されることでしょう。
弁護側は、Vさんが同意する意思を形成できなかった、またはその意思を表明することが困難であったという事実を否定するために、客観的な証拠や証言を集める必要があります。また、AさんがVさんの非同意を知り得なかった、あるいは誤解していた可能性を示すことで、容疑を否認する戦略を立てることが考えられます。
証拠の役割
不同意性交等罪の事件における証拠は、真実を解明するための鍵となります。
架空の事例では、AさんとVさんの主張が対立しており、どちらの言い分に真実性があるのかを判断するには、具体的な証拠が不可欠です。
通常、この種の事件では、通信記録、目撃証言、現場の証拠、医学的所見などが重要な役割を果たします。例えば、事件当日のAさんとVさんのメッセージのやり取りは、同意があったかどうかの状況証拠として検討されることになります。また、第三者の証言や、事件現場の状況を示す写真やビデオなども、事実関係を明らかにするために重要です。
しかし、証拠は常に明確な答えを提供するわけではありません。証拠の解釈は、しばしば主観的な要素を含み、異なる見方が可能です。そのため、弁護士は証拠を慎重に分析し、クライアントに有利な方法で提示するための戦略を練る必要があります。このプロセスは、弁護の成功において決定的な要素となることが多いのです。
法的弁護戦術
不同意性交等罪の容疑に直面した際、弁護士は複数の戦術を駆使してクライアントの権利を守ります。架空の事例においても、Aさんの弁護団は以下のような戦略を展開することが考えられます。
まず、Vさんの主張に矛盾点がないか徹底的に調査します。これには、Vさんの過去の行動パターンや、事件当日の行動、Aさんとの関係性に関する証拠を精査することが含まれます。
また、Vさんの精神状態や、事件に至るまでの経緯を詳細に検討し、同意があったというAさんの主張を裏付ける証拠を集めることが重要です。
次に、Aさんが誠実に同意を得たと信じていたという証拠を提示することで、誤解に基づく行為であった可能性を示唆します。これは、Aさんの認識とVさんの意思表示との間に齟齬があったことを示すことにより、故意ではないことを主張する戦略です。
さらに、第三者の証言や、事件当夜の両者の行動を記録した映像など、客観的な証拠を用いて、Aさんの主張に信憑性を持たせることも考慮されます。これらの証拠を通じて、Aさんの無罪を証明するための弁護戦略を構築することが、弁護士の重要な役割となります。
通信記録の影響
不同意性交等罪の訴訟において、通信記録はしばしば重要な証拠となります。
架空の事例では、AさんとVさんの間のメッセージのやり取りが、事件の解明に役立つ可能性があります。
事件前のメッセージは、二人の関係性や、その夜の出来事に対する期待を示すことができます。例えば、フレンドリーで親密なやり取りがあれば、それは同意が存在したことの指標となり得ます。
一方で、Vさんが不安や疑念を示していた場合、それは同意がなかったことの証拠として解釈されるかもしれません。
事件後の通信は、事件の認識に関する両者の態度を反映します。Aさんが事件後に謝罪のメッセージを送っていた場合、それは罪悪感の表れと見なされる可能性があります。
しかし、これらのメッセージは文脈を考慮せずに解釈されるべきではなく、全体のやり取りの流れの中で評価される必要があります。
弁護士は、これらの通信記録を慎重に分析し、クライアントの主張を支持する証拠として利用する方法を模索します。通信記録は、事件に関する両者の真実の意図を解き明かす手がかりとなるため、その取り扱いには細心の注意が払われるのです。
福岡県の不同意性交等罪に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の強制性交等罪の否認事件において、嫌疑不十分による不起訴処分を獲得している実績があります。
福岡県での不同意性交等事件で、自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
【事例解説】事件後長期間経過後に性被害を訴えられた事件(元教え子から示談金を請求された架空の事例に基づく解説)
元教え子から、在校中に行ったわいせつな行為での示談金の支払いを請求された架空の事件を参考に、令和5年法改正による性犯罪の公訴時効期間の延長や、事件後長期間経過後に被害を訴えられた場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
事例紹介:元教え子から強制わいせつの示談金を請求された教員のケース
久留米市内の高校教員Aは、7年程前に、当時担任していた18歳の女子生徒Vの身体を抑えつけ、身体を触るなどのわいせつな行為を行いました。
最近になり、VからAに対し、示談金200万円を支払わないと、在校中に受けたわいせつな行為の件で、警察に被害届を出す旨の連絡がありました。
Aは、7年程前の事件のため既に公訴時効期間が経過しているのではないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
旧強制わいせつ罪(現不同意わいせつ罪)の公訴時効
AがVに対して行った行為は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をしたとして、旧刑法第176条の強制わいせつ罪に該当し得ると考えられます。
強制わいせつ罪は、令和5年法改正により、現行法では不同意わいせつ罪となりましたが、AがVにわいせつな行為を行ったのは、現行法の施行前であるため、施行後に被害を訴えられたとしても、旧法の強制わいせつ罪が適用されます。
公訴時効とは、犯罪から一定期間が経過した場合には、犯人を処罰することができなくなる制度です。
強制わいせつ罪の公訴時効期間は7年でしたが、令和5年法改正において、性犯罪は、その性質上、恥ずかしさなどの感情から、被害申告が難しい場合もあることなどが考慮され、現行法の不同意わいせつ罪の公訴時効期間は、7年から12年に延長されました(刑事訴訟法第250条3項3号)。
なお、改正法施行時に公訴時効期間が進行中の事件は、延長された新しい公訴時効期間が適用されることとなるため、強制わいせつ罪であっても、改正法施行時に7年の公訴時効期間が経過していなければ、公訴時効期間が12年に延長となります。
そのため、本件でAがVに対するわいせつな行為を行った具体的な年月日によっては、強制わいせつ罪の公訴時効期間が12年に延長される結果、公訴時効期間が経過していない可能性があると考えられます。
事件後長期間経過後に被害を訴えられた場合の刑事弁護
公訴時効期間が経過していれば、通常、刑事事件化されることもなくなるため、事件後長期間経過後に被害を訴えられた場合、訴えの内容により成立し得る罪と公訴時効期間の経過について検討する必要があります。
公訴時効期間は、対象となる罪の法定刑の長短等に応じて大きく変わるため、成立し得る罪の検討は、慎重に行う必要があります。
例えば、本件において、被害者が、わいせつな行為によりPTSDを発症したと訴える場合、強制わいせつ致傷罪が成立する可能性があり、この場合、公訴時効期間は15年(現不同意わいせつ致傷罪であれば20年)と、大幅に長期化します。
また、令和5年法改正により、性犯罪の被害者が18歳未満の場合、被害申告が特に難しいであろうことを考慮し、被害者が18歳になるまでの期間が公訴時効期間に加算されることとなりました。
そのため、18歳未満の者に対する性犯罪の場合は、被害者が18歳になってから公訴時効期間が実質進行することにも留意する必要があります。
以上のことから、事件後長期間経過後に被害を訴えられた場合、特に性犯罪では公訴時効期間等が大幅に改正されたこともあるため、刑事事件に強い弁護士に相談し、公訴時効期間の経過の可能性、刑事事件化のリスクや取るべき対応などについて、慎重に検討することをお勧めします。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、性犯罪をはじめとする様々な刑事事件における弁護活動の豊富な実績があります。
事件後長期間経過後に被害を訴えられるなどして、今後の対応についてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
【事例解説】児童ポルノ提供によるわいせつ物頒布等罪とその弁護活動(SNSで児童ポルノ販売した架空の事例に基づく解説)
この記事では、架空の事例を基に、児童ポルノ提供によるわいせつ物頒布等罪の成立とその弁護活動について、解説します。
事例紹介:SNSで児童ポルノ販売したケース
SNSを通じて児童ポルノをインターネット上で販売したとして、福岡県行橋市の専門学校生の男Aが児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)とわいせつ物頒布等の容疑で逮捕されました。
警察の調べによると、Aは昨年11月、児童ポルノの画像データをファイル共有用のサーバーにアップロードし、自身のSNSで購入者を募り、ダウンロード用URLをメッセージ機能で送信して販売したとのことです。
Aは「児童ポルノであることは認識していた。10回は売っている。」などと供述しています。
(事例はフィクションです。)
児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(児童買春・児童ポルノ禁止法)で、児童ポルノを提供した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する、と定められています(第7条第2項)。
「児童」とは、18歳未満の者を指し、「児童ポルノ」とは、児童を被写体とする性的な描写のことで、例えば、性的な行為や性器を露出した写真などが該当し得ます。
なお、不特定若しくは多数の者に「提供」した場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金となります(同条第6項)。
わいせつ物頒布等罪とは
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する、と定められています(刑法第175条)。
「わいせつ」とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされ、児童ポルノはわいせつ物と通常認められます。
「頒布」とは、有料・無料を問わず不特定又は多数の者に交付することとされ、パソコンのハードディスクやインターネットのサーバーなどに記録されている画像データを他者にダウンロードさせたことは、電気通信の送信により電磁的記録を頒布した、ものにあたると考えられます。
よって、本件Aは、「電気通信の送信」により「わいせつな電磁的記録」を「頒布」したとして、わいせつ物頒布等罪(わいせつ電磁的記録等送信頒布罪)が成立する可能性が高いです。
児童ポルノを販売した事件の刑事弁護
児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)は児童に対する性的搾取の防止、わいせつ物頒布等罪は善良な風俗、とそれぞれ社会的法益に対する罪とされますが、実務上は被写体となっている者が被害者的な立場で扱われることがあります。
そのため、弁護士であれば、捜査機関から被写体となっている者の個人情報を教えてもらうことで、示談交渉により不起訴処分や刑の減軽の可能性を高める弁護活動の余地が生まれます。
本件は被写体となっている者が児童のため、通常は児童の保護者との示談交渉になると考えられますが、保護者が子の被害に対して感情的になり、被害者本人との示談交渉の場合よりも難航する可能性が高いため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。
なお、捜査機関において被写体となっている者の特定が行われないことなどにより示談交渉ができない場合であっても、本人の反省はもとより、家族の協力等により再犯防止の環境を整えたことを申述することや、被害弁償や示談金の代わりとして贖罪寄付を行うなど、不起訴処分や刑の減軽の可能性を高める弁護活動を行うことは可能です。
福岡県の児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)やわいせつ物頒布等罪に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、被害者との示談成立などによる不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供)やわいせつ物頒布等罪でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
【事例解説】ストーカー規制法違反その弁護活動(元交際相手に復縁を迫り逮捕された架空の事例に基づく解説)
元交際相手の女性に復縁を迫り、待ち伏せや連続で電話をかけるなどしたとして、ストーカー規制法違反の容疑で逮捕された架空の事件を参考に、ストーカー規制法の成立とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
事例紹介:Aさんのケース
元交際相手の20代の女性Vに復縁を迫り、待ち伏せや連続で電話をかけるなどしたとして、糸島市在住の男性Aがストーカー規制法違反の容疑で逮捕されました。
糸島警察署の調べによると、Aは、元交際相手のVに復縁を迫るため、Vの勤務先の近くで待ち伏せをしたり、着信拒否にもかかわらず連続で電話をかけるなどのストーカー行為をした疑いです。Aは、ストーカー規制法違反の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)
ストーカー規制法違反とは
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(「ストーカー規制法」)では、特定の者に対する「恋愛感情」等や、それが満たされなかったことに対する「怨恨の感情」を充足する目的で、特定の者やその関係者に対し、「つきまとい等」を行うことを禁じています。
「つきまとい等」にあたる行為として、本件AがVに対して行った「待ち伏せ」や「拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかける」行為が含まれます(同法2条1項)。
同一の相手に対して、「つきまとい等」を反復することを「ストーカー行為」とし、ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する、とされています(同法2条4項、18条)。
被害者から警察への相談・申出により、警察から「つきまとい等」をした者に対して、「つきまとい等」を止めるよう「警告」が発せられることもありますが、行為の悪質性などから、被害者への接触を禁止した上で捜査を行う必要性が高いとして、警告のないまま逮捕される場合もあります。
なお、警告に反して「つきまとい等」を続ける者に対しては、都道府県公安委員会は「禁止命令等」を発することができるとされ、「禁止命令等」に違反してストーカー行為をした者は、刑が加重され、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科される可能性があります。
ストーカー規制法違反事件の刑事弁護
事例のように、ストーカー規制法違反で逮捕され身体拘束された場合、弁護活動としては、加害者が被害者と接触しないための具体的な措置を講じたことなどを検察官や裁判官に主張し、身体拘束からの解放を目指します。
また、ストーカー規制法違反は、被害者との示談の成立を目指すことも重要な弁護活動だと考えられます。
ストーカー規制法違反は、被害者の告訴がなくとも検察官の判断で起訴できる罪(非親告罪)となりましたが、実務上の運用は、被害者の意思を尊重し、プライバシー侵害が生じないように配慮する観点から、被害者との示談が成立することにより、検察官が起訴することなく事件が終了する可能性を高められると考えられるためです。
しかしながら、事件の性質上、被害者が加害者との直接の示談交渉を拒む可能性は極めて高く、警告や禁止命令等が発せられている場合であれば、加害者が直接示談交渉を申し入れたりすること自体がストーカー行為の一環とみなされてしまう恐れもあるため、身体拘束されている場合はもとより、そうでない場合でも、示談交渉は弁護士に依頼して行う必要性が高いと考えられます。
福岡県のストーカー規制法違反事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、ストーカー規制法違反事件において、身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績があります。
ストーカー規制法違反の容疑で自身やご家族が逮捕されたり、警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
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