暴行再犯で逮捕されたら?
福岡県直方市在住のAさんは、居酒屋店において、同じ客の男性Vさんと口論となり、Vさんの顔面を右拳で1回殴る暴行を加えました。その後、Aさんは、店員の110番通報により駆け付けた福岡県直方警察署の警察官により逮捕されてしまいました。実は、Aさんは、1年前に同じ暴行罪(懲役6月)で刑務所を出所したばかりでした。Aさんは、Vさんに暴行を加えたことは自分に非があることを素直に認め、Vさんに謝罪と被害弁償をしたいと考えています。また、接見に来た弁護士に、何とか不起訴処分を獲得できないか相談しました。
(フィクションです)
~ 法律上の再犯とは~
一般的に「再犯」という言葉は
・前科(古い、新しいにかかわらず)がありながら再び罪を犯した
・執行猶予期間中に再び罪を犯した
などという場合に使われるのではないでしょうか?しかし、法律上の再犯は若干これとは意味が異なります。法律上の再犯とは、
1 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に罪を犯したこと
2 その罪で有期懲役に処せられること
の2つの要件を満たした場合をいいます(刑法56条1項)。
刑法56条1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
* Aさんの場合 *
では、Aさんの場合、今回犯した罪(暴行罪)が「再犯」に当たるのでしょうか?
まず、Aさんは1年前に懲役6月の服役を終え出所したばかり、ということでした。したがって、上記1の「懲役に処せられた者がその執行を終わった日から5年以内に罪を犯した」に当たり、上記1の要件は満たします。
次に、暴行罪の法定刑は
2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
ですので、暴行罪が上記2の「その罪で有期懲役に処せられること」に当たり、Aさんが今回犯した暴行罪が「再犯」に当たる可能性は十分にあります。
* 執行猶予期間が経過した場合はどうなの? *
執行猶予期間が経過した場合は、その刑の言渡しの効力は失われます(刑法27条)。
したがって、懲役刑の執行猶予期間が経過した後に、再び罪を犯したとしても、「懲役に処せられた者がその執行を終わった」ことには当たらず、再び犯した罪は「再犯」には当たりません。
~ 「再犯」とされた場合の効果は? ~
再び犯した罪が「再犯」に当たる場合は、
その罪について定めた懲役の長期の2倍以下の刑が科される
ことになります。つまり、暴行罪でいえば、懲役の法定刑は「2年以下」ですから、「再犯」とされた場合は
4年以下の懲役
の範囲で刑を科せられることになります。「再犯」の場合、執行猶予付き判決の言い渡しを受けることはかなり難しいと考えた方がいいでしょう。
~ 暴行罪で「再犯」なら罰金刑、不起訴を目指そう ~
上記でご説明したとおり、「再犯」となるのは、
暴行罪で有期懲役を受けたとき
ですから、罰金刑以下の罪であれば「再犯」とはならないのです。したがって、「再犯」となり、重い量刑を受けるのを避けるには、
罰金刑(略式起訴、略式裁判)か不起訴
を獲得する必要があります。そのためには、被害者に真摯に謝罪をした上で、
早期に示談交渉に入り、示談を締結させること
が先決といえます。示談交渉をするためには
弁護士の力が必要
ですから、お困りの方は、弊所の弁護士までお気軽にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,暴行罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。