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【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(知人に対してさらって山に埋めるなどと言い、現金を脅し取ったケース)

2025-05-27

【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(知人に対してさらって山に埋めるなどと言い、現金を脅し取ったケース)

今回は、知人に対してさらって山に埋めるなどと言い、現金を脅し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:知人に対してさらって山に埋めるなどと言い、現金を脅し取ったケース

福岡県警は、知人Vさんから現金5万円を脅し取ったとして、福岡市に住むAさんを恐喝の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、Vさんに対し「さらって山に埋める」「それが嫌なら金よこせ」などと脅迫し、現金5万円を脅し取った疑いが持たれています。
被害に遭ったVさんが警察に被害を届け出て事件が発覚しました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです)

1,恐喝罪について

〈恐喝罪〉(刑法第249条)

第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法恐喝罪は、人を恐喝して、財物を交付させた場合に成立します。
恐喝」とは、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫・暴行を加えることを言います。
脅迫とは、相手方を畏怖させる程度の害悪の告知を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
暴行とは、相手方を畏怖させる程度の有形力の行使を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
暴行は、相手方を畏怖させる性質のものである限り、直接に相手方に加えられることを要しません。
なお、相手方の反抗を抑圧させる程度の脅迫・暴行が加えられた場合、強盗罪刑法第236条)の成立が検討されることになります。
交付させ」る行為(交付行為)とは、相手方を恐喝行為によって畏怖させ、畏怖に基づいて財産または財産上の利益を犯人自身または第三者に移転させることを言います。
そして、恐喝罪は、恐喝行為→相手方の畏怖→畏怖に基づく交付行為→財物の移転が、それぞれ原因と結果の関係を有していることが必要となります。
例えば、お金に困った犯人が被害者を脅迫してお金を渡すように要求したが、被害者は畏怖せず、犯人がお金に困っているという事情を知っており、憐みからお金を犯人に渡した場合には、脅迫行為と犯人の畏怖、畏怖に基づく交付行為の間に因果関係が認められないため、恐喝罪は既遂とならず、未遂にとどまることになります。
上記の事例では、AさんはVさんに対して「さらって山に埋める」などVさんを脅迫した行為は、Vさんの反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫といえるため「恐喝」に当たります。
そして、VさんはAさんの恐喝行為により畏怖し、それに基づき現金5万円をAさんに渡し(交付行為)、Aさんのもとに現金5万円が移転しています。
以上より、上記事例のAさんの行為には恐喝罪が成立することが考えられます。

2,実刑判決を回避するための弁護活動

恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役刑のみであり、起訴されて有罪判決を受けると刑務所に服役することになります。
服役することになれば、職場から解雇されることや家族や友人と自由に会えなくなるなど外部との交流を制限されることになり自由な社会生活を大幅に制限されることになります。
しかし、執行猶予付判決を獲得することができれば、刑務所に服役せずに済むため、社会生活への影響を抑えることができます。
執行猶予は、判決によって言い渡される量刑が3年以下であることが条件の1つです。
そのため、量刑を3年以下にする必要がありますが、被害者に対して被害弁償をしているか、被害者の被害感情が緩和されているかなどの事情は量刑判断に影響を持ちます。
したがって、被害者との間で示談が成立していることは執行猶予付判決を獲得するうえで非常に重要となるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、恐喝罪の被害者側は加害者から怖い思いをしている、あるいは財産的な被害を受けたことに強く憤りを感じているなどの事情があることを考えると、加害者が直接連絡しても示談交渉に応じてもらえない可能性があります
しかし、弁護士が相手であれば、被害者も示談交渉に応じてもらえることも珍しくなく、また弁護士であれば、示談交渉において加害者が反省していることや被害弁償の意思があることなどを冷静かつ丁寧に伝えることができるため、示談の成立が十分に期待できます。
そのため、示談交渉は当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において恐喝罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、恐喝罪をはじめとする刑事事件・少年事件に関する豊富な実績があります。
恐喝罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】暴行罪とその弁護活動(スケボーに乗っていたところを注意されて相手の胸ぐらを掴んだケース)

2025-05-24

【事例解説】暴行罪とその弁護活動(スケボーに乗っていたところを注意されて相手の胸ぐらを掴んだケース)

今回は、スケボーに乗っていたところを注意されて相手の胸ぐらを掴んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:スケボーに乗っていたところを注意されて相手の胸ぐらを掴んだケース

福岡県警春日警察署は、春日市内の路上でスケートボードに乗っていたところ、近くを通った通行人Vさんに注意され、Vさんの胸ぐらを掴んだとして、同市に住むAさんを暴行の疑いで現行犯逮捕しました。
警察によりますと、2人に面識は無く、通りがかった別の通行人が目撃し、110番通報しました。
その後、駆け付けた警察官がAさんをその場で逮捕しました。
Vさんにけがはありませんでした。
警察の調べに対して、Aさんは「注意されたことに腹が立ち、やってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,暴行罪について

〈暴行罪〉(刑法第208条)

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪は、「暴行」を加えたが、被害者に「傷害」の結果が発生しなかった場合に成立します(発生した場合は同じく刑法に定められた傷害罪が成立します)。
暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
殴る・蹴る・引っ張るなどのが「暴行」の典型例です。
傷害する」とは、人の生理的機能を侵害することをいい、「傷害するに至らなかったとき」とは、殴る・蹴る・引っ張るなどの暴行により、被害者に打撲・擦過傷・創傷などの外傷を負わせることをいいます。
また、被害者の身体に直接接触しなくても、傷害の危険を有する有形力の行使があれば、暴行罪は成立します。
過去の裁判例では、人の数歩手前を狙って石を投げつける行為や、被害者の目の前で包丁を胸や首をめがけて突き付ける行為などが、「暴行」に該当すると判断され、暴行罪が成立しました。
上記の事例では、AさんがVさんの胸ぐらを掴んだ行為は、不法な有形力の行使であり「暴行」に当たります。
また、それによりVさんがけがをすることはなかったため、「傷害」の結果は発生していません。
以上より、上記事例のAさんの行為には暴行罪が成立することが考えられます。

2,示談の重要性

暴行罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試みます。
被害者との示談成立は、検察官の処分や量刑判断などに影響を与えるだけでなく、身柄拘束からの早期解放も期待できます。
このことから、被害者との示談成立はとても重要であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、事件の被害者は、加害者側に対して恐怖や怒りなどから強い処罰感情を有しており、示談交渉に応じてもらえないこともあります。
もっとも、弁護士であれば、被害者の方に加害者側が反省・謝罪の意思を有していることや、被害の弁償を行う準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することで、示談交渉に応じていただけることも少なくありません。
そのため、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、交渉は法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,少しでも早く弁護士に相談を

福岡県内において暴行罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が暴行罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に少しでも早くご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、暴行事件を含むさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、法な実績があります。
暴行罪の当事者となり身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が暴行罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までご連絡ください。

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(飲食店の自動券売機の液晶パネルを拳で殴打して損壊したケース)

2025-05-21

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(飲食店の自動券売機の液晶パネルを拳で殴打して損壊したケース)

今回は、飲食店の自動券売機の液晶パネルを拳で殴打して損壊したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:飲食店の自動券売機の液晶パネルを拳で殴打して損壊したケース

福岡県警中央警察署は、福岡市中央区にある飲食店Vの自動券売機の液晶パネルを殴打して損壊したとして、同区在住のAさんを器物損壊の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、Vの自動券売機の液晶パネルを拳で殴打して損壊した疑いが持たれています。
被害を受けたVの従業員が近くの交番に通報し、駆け付けた警察官にその場で逮捕されました。
警察の調べに対して、Aさんは「酒に酔った勢いで叩いて壊した」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪について

〈器物損壊罪〉(刑法第261条)

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、他人の物を損壊し、又は傷害した場合に成立します。
他人の物」とは、前3条に規定するもの以外のすべての他人の物、すなわち公用文書等毀棄罪私用文書等毀棄罪建造物等損壊罪の客体となる物以外の他人の物すべてが器物損壊罪の客体となります。
土地や動植物が含まれるだけでなく、例えば公職選挙法に反する選挙ポスターなど法律上違法なものであっても、刑法において保護に値するものであれば、「他人の物」に含まれることになります。
損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
過去の裁判例で、効用を侵害して「損壊」に当たるとしたものは、食器に放尿する行為(大審院判決明治42年4月16日)や自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗り付ける行為(東京高裁判決平成12年8月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは「他人の物」であるVの自動券売機の液晶パネルを拳で殴打し、当該券売機の効用を侵害した行為は「損壊」に当たります。
したがって、上記事例のAさんの行為には器物損壊罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束の回避に向けた弁護活動

器物損壊罪で逮捕されると、捜査機関の下で最長72時間身柄拘束され、その間に取調べを受けることになります。
そして、検察がさらに証拠の収集などの捜査のために被疑者の身柄拘束する必要性があると判断した場合、検察官は勾留請求することになります。
勾留請求が認められた場合、原則10日間、延長が認められればさらに10日間、被疑者は身柄拘束されることになります。
被疑者勾留は、逮捕に比べて長い間身柄拘束を受けることになり、例えば勤め先に出勤することができなくなり解雇になる危険性があるなどの不利益が生じることになります。
また、勾留による身柄拘束中は、生活を厳しく監視・規制される、被疑者は家族や友人など外部と自由に会えない、そして、一人きりで捜査機関による取調べに臨まなくてはならないなど、被疑者が抱える精神的・身体的な負担は過大なものになると言えるでしょう。
そのような不利益や負担を回避するために、弁護士は、検察官や裁判所に対して意見書を提出して、勾留請求しないように働きかけることができます。
被疑者勾留は、検察官が裁判官に勾留を請求し、裁判官が被疑者勾留の要件を満たすと判断した場合に認められます。
そして、被疑者勾留による身柄拘束の要件は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合です。
それらの要件を否定し得る客観的な証拠が存在すれば、意見書と一緒に提出し、身柄拘束をしないように働きかけます。
もっとも、意見書は被疑者勾留による身柄拘束が決定される前に提出する必要があるため、被疑者勾留を回避したい場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において器物損壊罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
器物損壊罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】空き巣をした場合に成立する犯罪とその弁護活動(面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだケース)

2025-05-18

【事例解説】空き巣をした場合に成立する犯罪とその弁護活動(面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだケース)

今回は、面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだケース

福岡県警東警察署は、同区に住むVさんの自宅に侵入し、金庫に保管してあった現金30万円を盗んだとして、福岡市中央区に住む会社員のAさんを住居侵入窃盗の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Vさんは犯行時刻に不在で、その後帰宅した際に何者かが入った形跡があり金庫を調べたところ、金庫内に保管してあった現金30万円が無くなっていることに気付き警察に通報しました。
通報を受けた警察は、現場検証や付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を行い、Aさんの犯行を特定し逮捕に至りました。
また、2人は面識がありました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,事例に成立する犯罪について

上記事例のAさんの行為は、一般的には空き巣といわれる行為であり、空き巣をしたときに成立する刑法の犯罪を2種類、それにより科せられる刑罰について解説致します。

(1)住居侵入罪について

正当な理由がないのに、人の住居…に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。刑法第130条前段

住居侵入罪は、一般的には不法侵入という言葉で広く社会で使われており、①正当な理由がないのに、②人の③住居に④侵入した場合に成立する犯罪です。
②の「人の」とは犯人自身がその住居の居住者ではないことを意味します。
③「住居」とは、人が起臥寝食に利用する場所のことをいいます。
起臥寝食とは起きたり寝たり食べたりすることを言うので、分かりやすく言えば、人が生活するために使う場所のことであり、具体的には家やマンション、さらに一時的に利用するホテルの部屋であっても「住居」に含まれます。
④「侵入」とは、住居権者の意思に反する立ち入りをいいます。
最後に、①「正当な理由がないのに」とは、侵入の違法性を排除する理由がないことを意味します。
立ち入りに対して住居権者の承諾がある場合には、そもそも「侵入」に当たらず住居侵入罪は成立しないので、この要件は、住居権者の意思に反する立ち入りであることを前提に、例えば刑事訴訟法に基づく捜索のための立ち入りなど「侵入」を正当化する理由がないことを言います。
上記の事例でいえば、Aさんは、Vさんが不在にしている自宅に、Vさんの意思に反して立ち入っています(②,③,④)。
また、侵入の目的は金庫内に保管されている現金を盗むことであったことが推認されるところ、それをVさんが知っていたら面識があるといえどもAさんの立ち入りを許すことはなかったと考えられます。
そのため、AさんのVさんの自宅への立ち入りには正当な理由は無かったといえます(①)。
したがって、Aさんには住居侵入罪刑法第130条前段)が成立することが考えられます。

(2)窃盗罪について

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。刑法第235条

窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。
上記の事例では、Aさんは、Vさんの自宅の金庫で保管されていた現金30万円(①)を、持ち主であるVさんの意思に反してAさん自身の占有に移しています(②)。
したがって、Aさんには窃盗罪も成立することが考えられます。

(3)牽連犯について

…犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。刑法第54条第1項後段

牽連犯とは、数個の行為が手段・目的または原因・結果の関係にある場合をいいます。
例えば、上記の事例のように、窃盗のために住居侵入をした場合には、住居侵入窃盗を遂行するための手段となっているため、牽連犯が成立します。
そして、牽連犯が成立する場合、その最も重い刑により処断されます。
上記事例では、Aさんには住居侵入罪窃盗罪が成立しますが、住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています。
したがって、Aさんはその最も重い刑である窃盗罪の刑罰により処断されることになります。

以上より、上記事例のAさんには住居侵入罪窃盗罪が成立し、窃盗罪の刑罰が科せられることになります。

2,身柄拘束からの早期解放を目指す弁護活動

逮捕・勾留されると、最長で23日間身柄拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
身柄拘束されると、被疑者は一挙手一投足が厳しく規制・監督される環境に身を置くことになり、また、家族や友人など外部との接触も厳しく制限されることになります。
そして、被疑者勾留は原則10日(延長されればさらに10日)続きますが、その間は会社に出勤することもできなくなるため、無断欠勤が10日間も続けば会社をクビになり職を失う可能性もあります。
以上より、被疑者勾留にはさまざまな不利益が生じるため、そのような不利益を回避するために、身柄拘束から少しでも早く解放を目指すことが重要となります。
そもそも被疑者勾留による身柄拘束は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を実現するためには、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張する必要があります。
例えば、被疑者の家族や親族が被疑者の身元を監督し、裁判所や捜査機関への出頭を確保することを約束する身元引受を行い、それを書面化すれば、被疑者による逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
そのような弁護活動を行い、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を目指します。
ご家族やご親族が逮捕・勾留されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼して身柄拘束による不利益を回避することが重要といえます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において住居侵入窃盗事件の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が住居侵入窃盗事件の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
住居侵入窃盗事件の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が住居侵入窃盗事件の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(ガラス製の灰皿で知人の顔面を殴打しけがをさせたケース)

2025-05-15

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(ガラス製の灰皿で知人の顔面を殴打しけがをさせたケース)

今回は、ガラス製の灰皿で知人の顔面を殴打しけがをさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:ガラス製の灰皿で知人の顔面を殴打しけがをさせたケース

福岡県警南警察署は、ガラス製の灰皿で知人男性Vさんの顔面を複数回殴り、打撲などのけがを負わせたとして、福岡市南区に住むAさんを傷害の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、2人は知人で、犯行当時、2人は職場で仕事のことで話し合いをしていたところ口論になり、Aさんが近くにあったガラス製の灰皿でVさんの顔面を複数回殴打した疑いが持たれています。
Vさんは顔面に打撲など加療約2週間のけがをしました。
被害に遭ったVさんが警察に相談し事件が発覚。
その後、関係者への聴き取りなどの捜査を経て、Aさんを逮捕するに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「暴力をふるったことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法第204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させたりすることなども「傷害」に該当します。
傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんはガラス製の灰皿でVさんの顔面を複数回殴るという有形力を行使して、Vさんに顔面に打撲などの「傷害」の結果を発生させています。
以上より、上記事例のAさんには傷害罪が成立することが考えられます。

2,示談の重要性

傷害罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試みます。
被害者との示談成立は、検察官の処分や量刑判断などに影響を与えるだけでなく、身柄拘束からの早期解放も期待できます。
このことから、被害者との示談成立はとても重要であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、事件の被害者は、加害者側に対して恐怖や怒りなどから強い処罰感情を有しており、示談交渉に応じてもらえないこともあります。
もっとも、弁護士であれば、被害者の方に加害者側が反省・謝罪の意思を有していることや、被害の弁償を行う準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することで、示談交渉に応じていただけることも少なくありません。
そのため、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、交渉は法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(元交際相手の女性に、女性の性的な画像を送りつけ脅迫したケース)

2025-05-12

【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(元交際相手の女性に、女性の性的な画像を送りつけ脅迫したケース)

今回は、元交際相手の女性に、女性の性的な画像を送りつけ脅迫したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:元交際相手の女性に、女性の性的な画像を送りつけ脅迫したケース

福岡県警は、元交際相手の女性Vさんに、「ネットに晒すぞ」などというメッセージとともにVさんの性的な画像を送りつけ脅迫したとして、福岡市に住むAさんを脅迫の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、Vさんに対して通信アプリを使って、「お前の画像をネットに晒すぞ」などというメッセージとVさんの性的な画像を送り脅迫した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,脅迫罪について

〈脅迫罪〉(刑法第222条第1項)

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

刑法脅迫罪は、①生命、身体、自由、名誉又は財産に対して②害を加える旨を告知して③人を④脅迫した場合に成立します。
脅迫罪における③「」とは、自然人を言い、④「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
また、脅迫罪は害悪の告知が相手方に伝わった時点で既遂となり、その結果として相手方が現実に畏怖したかどうかは問われません。
そのため、例えば、職場の同僚に殺害予告を内容とするメールを送ったところ、それを一読した同僚が豪胆な性格であったために畏怖しなかった場合でも、脅迫罪が成立することになります。
また、①加害の対象は、「生命、身体、自由、名誉又は財産」に限定されています。
そして、②告知の方法については何の制限もありません。
そのため、文書、口頭、態度などいずれの方法でもよく、また、行為者が直接相手方に告知する場合でだけでなく、第三者を媒介にして間接的に告知する場合でも脅迫罪は成立します。
上記の事例では、AさんはVさんに対して通信アプリを使って、「お前のネットに晒すぞ」などというメッセージとともに、Vさんの性的な画像を送り脅迫しており、Vさんの「名誉」に対して「害を加える旨告知」し「脅迫」しています。
以上より、Aさんには脅迫罪刑法第222条第1項)が成立することが考えられます。

2,身体拘束の回避にむけた弁護活動

脅迫罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関の取調べを受けることになります。
その間、被疑者は生活を厳しく管理・規制され、家族や友人など外部との自由な接触も制限され、捜査機関の取調べにも一人きりで臨まなければならないなど、身体的・精神的に多大な負担を被ることになります。
また、身柄拘束期間中は当然のことながら職場に出勤することもできなくなるので、そのような長期間を無断欠勤すれば、職場から解雇される可能性もあり、身柄拘束前の社会生活を送ることができなくなるかもしれません。
しかし、勾留による身柄拘束を回避すれば、そのような不利益を受けずに済むかもしれません。
被疑者に勾留の理由と必要性があると検察官が判断した場合、検察官が裁判所に勾留請求します。
検察官の勾留請求を裁判所が認めると、被疑者は勾留されることになり、最長で20日間身柄拘束されることになります。
もっとも、弁護士であれば、検察官と裁判所に対して、意見書を提出することで被疑者勾留をしないようはたらきかけることができます。
勾留の理由とは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合を言うため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、意見書と一緒に提出することで、身柄拘束の回避を目指します。
以上のような弁護活動は、被疑者勾留が決定する前に行う必要があるため、ご家族等が脅迫罪で逮捕されて身柄拘束されてしまったら、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において脅迫罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が脅迫罪の当事者となり身柄拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ1度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
脅迫罪の当事者となり在宅事件で捜査機関の捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が脅迫罪の当事者となり逮捕・勾留により身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】福岡県迷惑防止条例違反とその弁護活動(同僚宅の玄関ドア前に動物の死体を置いたケース)

2025-05-08

【事例解説】福岡県迷惑防止条例違反とその弁護活動(同僚宅の玄関ドア前に動物の死体を置いたケース)

今回は、同僚宅の玄関ドア前に動物の死体を置いたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:同僚宅の玄関ドア前に動物の死体を置いたケース

福岡県警は、正当な理由がないのに福岡市に住む会社員Vさんの自宅に押し掛けた上、玄関ドアの前に動物の死体を置くなどの嫌がらせ行為を繰り返したとして、同市在住のAさんを福岡県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕しました。
Vさんからの通報を受けて警察が防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経てAさんの犯行を特定し逮捕に至りました。
警察に調べに対して、Aさんは「間違いありません」「嫌がらせをしたかった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,福岡県迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為の禁止)について

第8条本文 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為…を反復して行ってはならない。
第6号 汚物、動物の死体その他著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
第11条第1項 …第8条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

福岡県の迷惑防止条例は、県民及び滞在者の平穏な生活を保持することを目的として定め(第1条)、その平穏を害するおそれのある嫌がらせ行為を禁止しており(第8条)、違反者には刑事罰が科せられます(第11条)。
嫌がらせ行為として処罰対象となる行為については第8条各号に掲げられており、何人も、正当な理由なく、第8条各号に掲げられている行為を行えば、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処されます。
上記の事例では、「正当な理由がないのに」、AさんはVさんの自宅に押し掛けた上で、玄関ドアの前に「動物の死体」を置くことで、Vさんがそれを「知り得る状態に置」いたといえます。
また、Aさんは当該行為を繰り返し(「反復して」)行っています。
したがって、Aさんの行為は福岡県迷惑防止条例第8条第6号に違反し、第11条第1項により「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられることになります。

2,身体拘束の回避に向けた弁護活動

福岡県迷惑防止条例違反で逮捕され、それに続いて勾留されてしまうと、最長で23日間、身体拘束され、捜査機関の取調べを受けることになります。
被疑者勾留は、検察官が請求し、裁判官がその請求を認めることで勾留決定となり、被疑者は原則10日間(延長が認められればさらに10日間)身体拘束されます。
その間、被疑者は職場に出勤することや学校に登校することなどができなくなり、10日間も無断欠勤すれば職場からの解雇や、犯罪の被疑者として捜査を受けていることが学校側に発覚すれば停学や退学など重い処分を下される可能性もあります。
しかし、身体拘束を阻止できれば、そのような不利益を回避できるかもしれません。
前述の通り、被疑者勾留による身体拘束は、検察官が勾留請求して裁判官がその請求を認めることで勾留決定となります。
そこで、弁護士は、検察官と裁判官に意見書を提出することで身体拘束をしないようはたらきかけることができます。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定や被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められるため、被疑者がそれらの要件に該当しないことを示す客観的な証拠を収集し、意見書と一緒に提出します。
意見書の提出は、検察官に対して勾留請求しないよう1回と、それでも検察官が勾留請求した場合は裁判官に勾留請求を認めないよう1回の計2回の機会があります。
もっとも、被疑者勾留が決定した後は意見書を提出することはできませんので、ご家族などが福岡県迷惑防止条例違反で逮捕され身体拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において福岡県迷惑防止条例違反の当事者となりお困りの方、ご家族等が福岡県迷惑防止条例違反の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
福岡県迷惑防止条例違反の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が福岡県迷惑防止条例違反の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネット上に元同僚の実名を出して誹謗中傷をする投稿をしたケース)

2025-05-05

【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネット上に元同僚の実名を出して誹謗中傷をする投稿をしたケース)

今回は、インターネット上に元同僚の実名を出して誹謗中傷をする投稿をしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:インターネット上に元同僚の実名を出して誹謗中傷をする投稿をしたケース

福岡県警は、インターネット上に元同僚Vさんの実名を出して誹謗中傷する内容の投稿をしたとして、福岡市に住むAさんを名誉毀損の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんはインターネット上に元同僚の実名を出して、「Vは不倫している」「Vには多額の借金があり水商売をしている」などVさんの名誉を毀損する内容の投稿をした疑いが持たれています。
Vさんから被害届の提出を受けた警察がサイトやプロバイダーなどの捜査を行い、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「イライラしてやってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,名誉毀損罪について

〈名誉毀損罪〉(刑法第230条第1項)

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法名誉毀損罪は、①公然と②事実を摘示し、③人の④名誉を⑤毀損した者は、⑥その事実の有無にかかわらずに成立し、刑罰を受けることになります。
①「公然」(公然性)とは、不特定又は多数人が認識できる状態を言います。
また、摘示の相手方が特定かつ少数の者であったとしても、その人たちを通じて不特定又は多数の者に広がっていき摘示された事実が認識できる状態になっていれば、公然性が認められます(伝播性の理論)。
②摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りるものでなければなりません。
そして、摘示される事実は非公知の事実に限られず、公知の事実でも、摘示される人の社会的評価を害するに足りるものと認められれば、名誉毀損罪にいう事実の摘示に該当します。
また、摘示される事実はある程度具体的な内容を含むものでなければならないので、単なる価値判断や評価は含まれません。
そして、事実の摘示において対象とされる者が誰であるかが明示される必要はありませんが、それにより人の社会的評価が害される危険性が必要となるため、例えば、モデル小説や新聞記事などで仮名を使ったとしても特定の人物のことを指すことが見た人にとって認識できる程度に具体的であれば、その特定の人物の社会的評価を害する危険性が認められ「事実を摘示し」たと言えます。
③「」とは、自然人のみならず法人(例えば株式会社など)やその他の団体もこれに含まれます。
④「名誉」とは、既に述べましたが、外部的名誉、すなわち社会が人に与える評価(社会的評価)を言います。
なお、名誉毀損罪にいう「名誉」とは法的保護に値するものでなければならず、消極的な評判や悪評のようなものは「名誉」には含まれません。
⑤「毀損」とは、人の社会的評価を害するに足りる行為を行うことを言います。
また、名誉毀損罪抽象的危険犯(実際に結果が発生する必要はなく、結果発生のおそれが認められれば犯罪が成立)であるため、実際に人の社会的評価が害された結果の発生は必要ではなく、害される行為があればそれにより「毀損」行為と認められます。
⑥「その事実の有無にかかわらず」とは、摘示された事実が真実であるか虚偽であるかは問わないことを意味します。
例えば、ある男女が不倫関係にあることを「公然と」暴露するような行為は、不倫という事実が真実であれ虚偽であれ、社会的評価を害するおそれがある以上、名誉毀損罪が成立することになります。
上記の事例では、Aさんはインターネット上のサイトという不特定又は多数人が認識し得るところ(①)で、Vさんが不倫をしているや多額の借金があり水商売をしているなど、Vさんの名誉を害する内容の投稿をしています(②,③,④,⑤)。
また、名誉を害する内容の投稿は、Vさんの社会的評価を害するおそれがある以上、その内容が事実であるか虚偽であるかは問題となりません(⑥)。
以上より、上記事例のAさんの行為には名誉毀損罪が成立することが考えられます。

2,前科回避に向けた弁護活動

名誉毀損罪で逮捕され、その後起訴を経て裁判により有罪判決を受けると、たとえ罰金刑や執行猶予付判決であったとしても、前科が付いてしまいます。
前科が付くことで、職場からの解雇や就職活動時に前科の有無を確認され採用するうえでの判断材料にされることや実名報道されてしまうおそれなど、様々な不利益が生じることが考えられます。
しかし、名誉毀損罪は、被害者が存在する犯罪であり、また、公訴を提起するためには被害者の刑事告訴が必要となる犯罪です。
公訴の提起に被害者の刑事告訴が必要となる犯罪のことを親告罪といいます(刑法第232条第1項)。
そこで、被害者との間で、刑事告訴をしない、あるいは刑事告訴の取消しを内容とする示談を成立させることができれば、検察官は公訴を提起できなくなり、前科が付くことを避けられます。
そのため、名誉毀損罪で前科がつくことを回避するためには、被害者と示談交渉を試み、示談を成立させることが重要となります。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできますが、名誉毀損罪の被害者は、被害を受けたことで怒り、あるいは怖い思いをしており、加害者に対して強い処罰感情を有していることから、交渉が上手くいかない可能性があります。
しかし、相手が弁護士であれば、被害者側も安心して交渉に臨むことができ、加害者側が反省・謝罪の意思を有していることや被害の弁償を行う準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することで、示談の成立に期待が持てます。
以上より、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、交渉に強い弁護士に相談することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において名誉毀損罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が名誉毀損罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
名誉毀損罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が名誉毀損罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したケース)

2025-05-01

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したケース)

今回は、勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したケース

福岡県警は、勤務先の口座から自分の口座に金銭を送金して引き出したとして、同社に経理として勤めていた従業員Aさんを業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市にある会社で経理として勤めていた約1年の間に、複数回にわたって会社の口座から合計約5000万円を自分の口座に送金し、引き出して費消した疑いが持たれています。
別の経理担当の従業員が会社の口座に不審な動きがあることを発見し、会社に報告。
報告を受けた会社が警察に相談し、事件が発覚しました。
その後の聴き取り捜査などを経てAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「借金の返済やギャンブルに使った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法第253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪刑法第252条第1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは会社Vの元経理担当で金銭を管理し得る立場にあったといえます(「業務上」)。
そして、会社の口座から合計で約5000万円を自分の口座に送金した時点でその金銭につき法律上の支配力が及んでいるため占有が認められます(①)。
また、当該金銭を引き出し借金の返済やギャンブルに使った行為は横領に該当します(②)。したがって、上記事例におけるAさんの行為には、業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,実刑判決を回避するための弁護活動

業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役刑のみであり、起訴されて有罪判決を受けると刑務所に服役することになります。
服役することになれば、職場から解雇されることや家族や友人と自由に会えなくなるなど外部との交流を制限されることになり自由な社会生活を大幅に制限されることになります。
しかし、執行猶予付判決を獲得することができれば、刑務所に服役せずに済むため、社会生活への影響を抑えることができます。
執行猶予は、判決によって言い渡される量刑が3年以下であることが条件の1つです。
そのため、量刑を3年以下にする必要がありますが、被害者に対して被害弁償をしているか、被害者の被害感情が緩和されているかなど事情は量刑判断に影響を持ちます。
したがって、被害者との間で示談が成立していることは執行猶予付判決を獲得するうえで非常に重要となるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、業務上横領罪の被害者側は加害者から財産的被害を受けるだけでなく、加害者との間にあった信頼関係も破壊されているといえるため、加害者が直接連絡しても示談交渉に応じてもらえない可能性があります
しかし、弁護士が相手であれば、被害者も示談交渉に応じてもらえることも珍しくなく、また弁護士であれば、示談交渉において加害者が反省していることや被害弁償の意思があることなどを冷静かつ丁寧に伝えることができるため、示談の成立が十分に期待できます。
以上より、示談交渉は当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設内のゲームセンターで女性のスカート内を盗撮したケース)

2025-04-28

【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設内のゲームセンターで女性のスカート内を盗撮したケース)

今回は、商業施設内のゲームセンターで女性のスカート内を盗撮したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:商業施設内のゲームセンターで女性のスカート内を盗撮したケース

福岡県警は、福岡市の商業施設内にあるゲームセンターで、プリントシール機にいた女性Vさんのスカート内をスマートフォンで撮影したとして、市内在住の会社員Aさんを性的姿態等撮影の疑いで現行犯逮捕しました。
警察によりますと、Aさんはゲームセンターを訪れた際、プリントシール機内にいたVさんのスカート内をスマートフォンで撮影した疑いが持たれています。
Aさんが撮影している様子を店の従業員が見つけて声をかけ、盗撮が発覚し、110番通報しました。
その後、Aさんは駆け付けた警察官により現行犯逮捕されました。
また、その場でVさんのスマートフォンを確認したところ、Vさんのスカート内を撮影した画像データが残っていたとのことでした。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません。仕事のストレスを発散するためにやりました。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,性的姿態等撮影罪について

〈性的姿態等撮影罪〉

第2条第1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
第1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

いわゆる盗撮については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)」が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
上記の事例では、Aさんは、Vさんの意思に反して(「ひそかに」)、プリントシール機にいたVさんのスカートの中という「人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接…に覆っている部分」を、スマートフォンで「撮影」しています
また、Aさんの行為に「正当な理由」も見受けられません。
したがって、上記事例におけるAさんの行為には性的姿態等撮影罪性的姿態等撮影処罰法第2条第1項第1号イ)が成立することが考えられます。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

性的姿態等撮影罪で逮捕され、検察官により起訴されて有罪判決を受けると、たとえ執行猶予付判決を獲得できたとしても前科が付いてしまいます。
前科が付くと、職場から解雇されたり、公務員または会社の採用時に前科の有無を確認され判断材料にされ得るなどの不利益が生じます。
しかし、不起訴処分を獲得することができれば、裁判は開かれないため有罪判決を受けるおそれはなく、前科が付くこともありません。
性的姿態等撮影罪を含む性犯罪事件では、検察官が起訴する前に被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分の獲得を十分に期待できます。
そのため不起訴処分を獲得するには、なるべく早い段階で被害者と示談交渉を試みることが重要となります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、性的姿態等撮影罪を含む性犯罪事件では、被害者側は加害者に怖い思いをさせられており、直接連絡されることは避けたいと考えるのが通常と言えます。
また、被害者側も自分の連絡先を加害者に教えることはしたくないと考え、捜査機関に自分の連絡先を加害者に教えないよう求めるでしょう。
そのような状態で、示談交渉を試みることは難しいと言えます。
しかし、示談交渉の相手が弁護士であれば、被害者の連絡先が加害者側に伝わるおそれもないため、安心して示談交渉に応じてもらえることも珍しくありません。
示談交渉の際に、まずは被害者に加害者が反省していることや被害弁償をする準備があること、犯行現場には近寄らないなどの再犯防止への取り組みなどを伝えることで、示談の成立を目指します。
もっとも、上述の通り、検察官が起訴するまでに被害者との間で示談が成立していることが、不起訴処分獲得を実現するうえで重要となるので、性的姿態等撮影罪を含む性犯罪事件を起こしてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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