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【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(駐車中の車のフロントガラスにマジックペンで落書きなどをしたケース)
【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(駐車中の車のフロントガラスにマジックペンで落書きなどをしたケース)
今回は、駐車中の車のフロントガラスにマジックペンで落書きなどをしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:駐車中の車のフロントガラスにマジックペンで落書きなどをしたケース
福岡市内の駐車場で、駐車中の乗用車のボンネットを叩いて複数個所凹ませたほか、フロントガラスにマジックペンで落書きするなどしたとして、福岡市内に住むAさんが器物損壊の疑いで逮捕されました。
被害者が被害を警察に届け出たことから事件が発覚。
その後、警察が現場付近の防犯カメラの解析や聞き込みなどの捜査を行い、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,器物損壊罪について
〈器物損壊罪〉(刑法第261条)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪は、他人の物を損壊し、又は傷害した場合に成立します。
「他人の物」とは、前3条に規定するもの以外のすべての他人の物、すなわち公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪の客体となる物以外の他人の物すべてが器物損壊罪の客体となります。
土地や動植物が含まれるだけでなく、例えば公職選挙法に反する選挙ポスターなど法律上違法なものであっても、刑法において保護に値するものであれば、「他人の物」に含まれることになります。
「損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
過去の裁判例で、効用を侵害して「損壊」に当たるとしたものは、食器に放尿する行為(大審院判決明治42年4月16日)や自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗り付ける行為(東京高裁判決平成12年8月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは「他人の物」である乗用車のボンネットを叩いて複数個所凹ませるほか、フロントガラスにマジックペンで落書きするなどした行為は、当該乗用車の効用を侵害するものであり「損壊」に該当するため、Aさんには器物損壊罪が成立することが考えられます。
2,前科回避に向けた弁護活動
器物損壊罪で逮捕され、その後起訴を経て裁判により有罪判決を受けると、たとえ罰金刑や執行猶予付判決であったとしても、前科が付いてしまいます。
前科が付くことで、職場からの解雇や就職活動時に前科の有無を確認され採用するうえでの判断材料にされることや実名報道されてしまうおそれなど、様々な不利益が生じることが考えられます。
しかし、器物損壊罪は、被害者が存在する犯罪であり、また、公訴を提起するためには被害者の刑事告訴が必要となる犯罪です。
公訴の提起に被害者の刑事告訴が必要となる犯罪のことを親告罪といいます(刑法第264条参照)。
そこで、被害者との間で、刑事告訴をしない、あるいは刑事告訴の取消しを内容とする示談を成立させることができれば、検察官は公訴を提起できなくなり、前科が付くことを避けられます。
そのため、器物損壊罪で前科がつくことを回避するためには、被害者と示談交渉を試み、示談を成立させることが重要となります。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできますが、器物損壊罪の被害者は、被害を受けたことで怒り、あるいは怖い思いをしており、加害者に対して強い処罰感情を有していると考えられます。
しかし、相手が弁護士であれば、被害者側も安心して示談交渉に臨むことができ、交渉に応じていただければ、示談成立の期待が大いに高まります。
以上より、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、交渉に強い弁護士に相談することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において器物損壊罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
器物損壊罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
【事例解説】公然わいせつ罪とその弁護活動(コンビニエンスストアの駐車場で全裸になったケース)
【事例解説】公然わいせつ罪とその弁護活動(コンビニエンスストアの駐車場で全裸になったケース)
今回は、コンビニエンスストアの駐車場で全裸になったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:コンビニエンスストアの駐車場で全裸になったケース
福岡県警は、福岡県内のコンビニエンスストアの駐車場で全裸になったとして、同県内に住むAさんを公然わいせつの疑いで現行犯逮捕しました。
福岡県内にあるコンビニエンスストアの駐車場の近くにいた人から「全裸で立っている人がいる」との110番通報があり、現場に駆け付けた警察官が全裸で立っているAさんを確認し、公然わいせつの疑いで現行犯逮捕しました。
警察の調べに対して、Aさんは「全裸の状態でいたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,公然わいせつ罪について
〈公然わいせつ罪〉(刑法第174条)
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法の公然わいせつ罪は、①公然と②わいせつな行為をした場合に成立します。
「公然と」とは、不特定又は多数人が認識することができる状態を言い、現実に不特定又は多数人が認識する必要はなく、認識可能性があれば公然性が認められます。
例えば、不特定多数人が通行する可能性がある場所でわいせつ行為を行った場合に、たとえ実際にその場に通行人が全くいなかったとしても、不特定多数人の認識可能性は存在するため、公然性は否定されません。
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激または興奮させる行為で、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義的観念に反する行為を言います。
「わいせつな行為」に当たるとされた具体的な行為は、陰部を露出するストリップショーや見物客に覗かせて密室内で性交の演技などがあります。
上記の事例では、Aさんは、コンビニエンスストアの駐車場で全裸になっているところ、コンビニエンスストアやその駐車場は、一日を通して間断なく不特定又は多数の人が存在する場所であるため公然性が認められると言えます(①)。
また、そのような場所で全裸になることは、いたずらに性欲を刺激または興奮させる行為で、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為であると言えます(②)。
したがって、Aさんのコンビニエンスストアの駐車場で全裸になった行為には公然わいせつ罪が成立することが考えられます。
2,身体拘束の回避に向けた弁護活動
公然わいせつ罪で逮捕されると、72時間、捜査機関のもとで身柄拘束をされ、取調べを受けることになります。
その後、検察官が被疑者の身柄拘束をさらに拘束する必要があると判断した場合、勾留請求をすることになります。
被疑者勾留は、検察官が請求し、裁判官がその請求を認めるもとで勾留決定となり、被疑者は原則10日間(延長が認められればさらに10日間)身柄拘束をされます。
その間、被疑者は職場に出勤することや学校に登校することなどができなくなり、10日間も無断欠勤すれば職場からの解雇や、犯罪の被疑者として捜査を受けていることが学校側に発覚すれば停学や退学など重い処分を下される可能性もあります。
しかし、身柄拘束を阻止できれば、そのような不利益を回避できるかもしれません。
前述の通り、被疑者勾留は、検察官が勾留請求して裁判官がその請求を認めることで勾留決定となります。
そこで、弁護士は、検察官と裁判官に意見書を提出することで身柄拘束をしないようはたらきかけることができます。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定や被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められるため、被疑者がそれらの要件に該当しないことを示す客観的な証拠を収集し、意見書と一緒に提出します。
意見書の提出は、検察官に対して勾留請求しないよう1回と、それでも検察官が勾留請求した場合は裁判官に勾留請求を認めないよう1回の計2回の機会があります。
もっとも、被疑者勾留が決定した後は意見書を提出することはできませんので、ご家族などが逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内で公然わいせつ罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が公然わいせつ罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したケース)
【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したケース)
今回は、経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したケース
経理として勤務する会社の口座から現金約50万円を引き出し横領したとして、福岡県警中央警察署は、同社従業員のAさんを業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察によると、同社の別の従業員が通帳を確認し、被害が発覚。
その後、警察に被害を届け出、警察が捜査を経てAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「生活に困ってお金を降ろして使ってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,業務上横領罪について
〈業務上横領罪〉(刑法第253条)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪(刑法第252条第1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条第1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪は窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「物」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪(刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは会社の経理として勤務しており、会社の金銭を管理する立場にあり、会社の口座から現金を引き出し使い込む行為は横領に該当するため、Aさんが勤務先の口座から現金約50万円を引き出し使い込む行為には業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,示談交渉の重要性
業務上横領罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試み、示談成立を目指します。
被害者との間で示談が成立すれば、検察官の処分や裁判になった場合には判決に影響を持ちます。
また、被疑者が身柄を拘束されている場合には、身柄拘束からの解放も期待できます。
そのため、被害者と示談交渉を試み、示談の成立を目指すことは重要な弁護活動であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士で行うこともできます。
しかし、上記の事例のような業務上横領事件では、行為者は被害者の財産などの所有権を侵害するだけでなく、被害者との間の信頼関係を破壊することにもなります。
そのような事情を考慮すると、被害者は加害者側に対して強い処罰感情を有し、当事者同士での示談交渉は上手くいかないこともあり得ます。
以上より、示談交渉は当事者同士で行うよりも、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に相談することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
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【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(「マンションで未成年者が性犯罪の被害に遭った」など警察に虚偽通報したケース)
【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(「マンションで未成年者が性犯罪の被害に遭った」など警察に虚偽通報したケース)
今回は、「マンションで未成年者が性犯罪の被害に遭った」など警察に虚偽通報したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:「マンションで未成年者が性犯罪の被害に遭った」など警察に虚偽通報したケース
福岡県警は、警察に虚偽の通報をして業務を妨害したとして、福岡市に住むAさんを偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、「福岡市中央区にあるマンションで未成年が性犯罪の被害に遭った」などと自身のスマートフォンから虚偽の110番通報を行い、臨場した警察官に不必要な捜査を行わせるなど警察の業務を妨害した疑いが持たれています。
通報を受け、臨場した警察官が現場付近での聞き込みや防犯カメラの映像などを捜査したところ、Aさんの通報が虚偽だと判明しました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,偽計業務妨害罪について
〈偽計業務妨害罪〉(刑法第233条後段)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
偽計業務妨害罪は、信用毀損罪とともに刑法の同じ条文に定められています。
刑法第233条がその条文であり、虚偽の風説を流布または偽計を用いることにより、人の信用を毀損した場合には信用毀損罪が、業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪が成立することになります。
「虚偽の風説を流布」とは、客観的真実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
例えば、そのような事実は無いのに、「あのスーパーで取り扱っている生鮮食品はすべて消費期限が切れている」という噂を、不特定又は多数人に広めた場合などが「虚偽の風説を流布」に該当します。
「偽計」とは、人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いることをいいます。
人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用する「偽計」には、例えば、インターネットの掲示板に虚偽の犯行予告を書き込んだ場合などが挙げられます。
計略や策略を講じるなど威力以外の不正な手段を用いるものとしては、上記の事例のように比較的短期間で多数回の無言電話をかけ続けることなどが挙げられます。
「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う事務又は事業をいいます。
そして、「妨害」の結果は実際に業務が妨害されることは必要ではなく、業務の平穏かつ円滑な遂行が妨害されるおそれのある行為がされれば、偽計業務妨害罪は成立します。
このように、犯罪の結果が実際に発生しなくても、結果が発生するおそれがあれば犯罪の成立が認められる犯罪のことを抽象的危険犯といい、偽計業務妨害罪や現住建造物等放火罪などがあります。
上記の事例では、Aさんは実際には未成年者が性犯罪の被害に遭っていないにもかかわらず、未成年者が性犯罪の被害に遭ったなど虚偽の110番通報をするという「偽計」を用いて、警察官を臨場させて現場付近の聞き込みや防犯カメラの映像を解析するなどの必要のない業務に従事させることで警察の「業務」を「妨害」したといえるため、Aさんには偽計業務妨害罪(刑法第233条後段)が成立することが考えられます。
2、身体拘束の回避に向けた弁護活動
偽計業務妨害罪で逮捕され、その後勾留されると、原則10日間、延長が認められた場合にはさらに10日間、最長で20日間身柄を拘束されることになります。
そして、被疑者勾留による身柄拘束中は、被疑者は留置施設内で生活を厳しく管理・規制され、家族や友人など外部との交流も制限されるなど、身体的・精神的に多大な負担を被ることが考えられます。
また、身柄拘束により職場への出勤や学校への出席などできなくなるため、職場からの解雇や、犯罪の被疑者として捜査されていることが学校へ発覚することで、学校側から停学処分や退学処分を下されてしまう可能性もあります。
しかし、被疑者勾留による身柄拘束を回避することができれば、そのような不利益を被らずに済むかもしれません。
被疑者勾留は、検察官が勾留請求し、裁判官が請求を認めることで行われます。
そこで、弁護士は、検察官や裁判官に対して意見書を提出することで被疑者を勾留しないようはたらきかけます。
そもそも、被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による逃亡や証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
上記の事例で言えば、Aさんは自身のスマートフォンで虚偽の110番通報をしているところ、当該スマートフォンが既に捜査機関に押収されていれば、Aさんによる犯罪の証拠隠滅の可能性や実効性は低いと言え、Aさんによる証拠隠滅のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者勾留による身柄拘束の回避を目指します。
もっとも、意見書の提出は、検察官が勾留請求して裁判官がその請求を認めて被疑者勾留を決定するまでに行う必要があるため、ご家族等が身柄拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において偽計業務妨害罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が偽計業務妨害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
偽計業務妨害罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が偽計業務妨害罪の当事者なり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
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【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたケース)
【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたケース)
今回は、職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたケース
福岡県警は、職務質問中の警察官に殴りかかる暴行を加えたとして、会社員のAさんを公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんは、深夜にパトロール中の警察官に職務質問を受け、その際に警察官に殴りかかる暴行を加え、職務を妨害した疑いが持たれています。
暴行を受けた警察官に怪我はありませんでした。
警察の調べに対して、Aさんは「警察の態度に腹が立った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,公務執行妨害罪について
〈公務執行妨害罪〉(刑法第95条第1項)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
そして、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例では、「公務員」である警察官が職務質問という「公務を執行」をしており、それに対してAさんは殴りかかるという「暴行」を加え公務の円滑な遂行を妨害しています。
以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立することが考えられます。
2,身体拘束からの解放に向けた弁護活動

公務執行妨害罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身体拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は家族や友人など外部との接触を制限され一人きりとなる、留置施設で一挙手一投足を監視・規制される環境に身を置くことになるなど、被疑者が感じる不安やストレスは相当なものであると考えられます。
また、勾留による身体拘束中は、職場に出勤したり、学校に登校したりすることができなくなります。
仮に23日間も職場を無断で欠勤すれば、職場から解雇される可能性が極めて高く、身柄拘束前の社会生活を送ることが難しくなるでしょう。
このように、勾留による身体拘束にはさまざまな不利益が生じることが考えられるため、少しでも早く被疑者を身体拘束から解放することが重要となります。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定の場合、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、これらの要件を否定し得る客観的な証拠を収集・主張していくことで、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
例えば、被疑者が定職に就いている、家族と同居している、身元引受が有るなどの事情は、被疑者の逃亡のおそれを否定する方向に働くため、それを書面にして証拠化すれば、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者の身体拘束からの早期解放を目指します。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内においてご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
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【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(複数回にわたって交際相手を電話で脅迫したケース)
【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(複数回にわたって交際相手を電話で脅迫したケース)
今回は、複数回にわたって交際相手を電話で脅迫したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:複数回にわたって交際相手を電話で脅迫したケース
福岡県警は、交際相手の女性Vさんに対して「包丁で刺し殺すぞ」などと電話で複数回にわたり脅したとして、福岡市在住のAさんを脅迫の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、Vさんに対して複数回にわたって自身のスマートフォンで電話を掛け、「別れたくない」「(別れるなら)包丁で刺し殺すぞ」などと脅迫した疑いが持たれています。
Vさんは電話を録音しており、脅迫された直後に警察に110番通報しました。
警察はVさんから提出された録音データやVさんへの聴き取りなど捜査を経て、Aさんを逮捕するに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません。」「別れを切り出されカッとなって言ってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,脅迫罪について
〈脅迫罪〉(刑法第222条第1項)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
刑法の脅迫罪は、①生命、身体、自由、名誉又は財産に対して②害を加える旨を告知して③人を④脅迫した場合に成立します。
脅迫罪における③「人」とは、自然人を言い、④「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
また、害悪の告知が相手方に伝わった時点で既遂となり、その結果として相手方が現実に畏怖したかどうかは問われません。
そのため、例えば、職場の同僚に殺害予告を内容とするメールを送ったところ、それを一読した同僚が豪胆な性格であったために畏怖しなかった場合でも、脅迫罪が成立することになります。
また、①加害の対象は、生命、身体、自由、名誉または財産に限定されています。
そして、②告知の方法については何の制限もありません。
そのため、文書、口頭、態度などいずれの方法でもよく、また、行為者が直接相手方に告知する場合でだけでなく、第三者を媒介にして間接的に告知する場合でも脅迫罪は成立します。
上記の事例では、AさんはVさんに対して電話口で、包丁で刺し殺すぞなどVさんの「生命」に対して「害を加える旨告知」し「脅迫」しています。
以上より、Aさんには脅迫罪(刑法第222条第1項)が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
脅迫罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」と定められているため、脅迫罪で逮捕され、その後起訴を経て裁判になり有罪判決を受けると、懲役刑で刑務所に服役しなければならなくなる可能性があります。
また、罰金刑でも前科が付くため、職場からの解雇や就職活動の採用面接時に前科の有無を確認され、不利に働くことも考えられます。
しかし、不起訴処分を獲得できれば、裁判が開かれることはなくなり前科が付くこともありません。
脅迫罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分獲得への期待が高まります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、脅迫事件を含む犯罪被害者は、被害を受けたことで加害者側に対して恐怖や怒りから強い処罰感情を有しており、また加害者側から直接連絡されることに抵抗感を覚えることなどを考えると、当事者同士での示談交渉は上手くいかないことや、そもそも示談交渉に応じてもらえないこともあり得ます。
しかし、弁護士であれば、被害者の連絡先が加害者に伝わることは無いこと、加害者が反省・謝罪の意思を有していることなどを冷静かつ丁寧に説明することができることから、示談交渉に応じてもらえることや、示談成立の期待が高まります。
以上より、不起訴処分獲得のためには、被害者との示談成立は重要な役割を果たしますが、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えず、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において脅迫罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が脅迫罪の当事者となり身柄拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
脅迫罪の当事者となり在宅事件で捜査機関の捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が脅迫罪の当事者となり逮捕・勾留により身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニエンスストア店内で店員にペットボトルを投げつけ怪我を負わせたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニエンスストア店内で店員にペットボトルを投げつけ怪我を負わせたケース)
今回は、コンビニエンスストア店内で店員にペットボトルを投げつけ怪我を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:コンビニエンスストア店内で店員Vさんにペットボトルを投げつけ怪我を負わせたケース

福岡市内のコンビニエンスストア店内で、店員にペットボトルを投げつけて怪我を負わせたとして、福岡県警は、同市在住のAさんを傷害の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市内のコンビニエンスストア店内で、Aさんのレジ対応をしていた店員Vさんに向かって、買ったペットボトル飲料を投げつけ右手に打撲傷を負わせた疑いが持たれています。
被害に遭ったVさんが警察に被害を届け出、防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「店員の態度に腹が立った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法第204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、AさんはVさんに対してペットボトル飲料を投げつけるという有形力を行使して、Vさんの右手に打撲傷を負わせ「傷害」の結果を発生させているため、Aさんには傷害罪が成立することが考えられます。
2,示談の重要性
傷害罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試みます。
被害者との示談成立は、検察官の処分や量刑判断などに影響を与えるだけでなく、身柄拘束からの早期解放も期待できます。
このことから、被害者との示談交渉はとても重要であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、事件の被害者は、加害者側に対して恐怖や怒りなどから処罰感情を有しており、示談交渉に応じてもらえないこともあります。
しかし、弁護士であれば、被害者の方に加害者側が反省・謝罪の意思を有していることや、被害の弁償を行う準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することで、示談交渉に応じていただけることも少なくありません。
そのため、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、交渉は法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
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【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(スーパーマーケットで食料品など商品を万引きしたケース)
【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(スーパーマーケットで食料品など商品を万引きしたケース)
今回は、スーパーマーケットで食料品など商品を万引きしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:スーパーマーケットで食料品など商品を万引きしたケース
福岡市東区のスーパーマーケットで食料品など3点(合計約4000円)を万引きしたとして、福岡県警東警察署は、同区在住のAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
被害店舗では、過去にAさんと特徴が似ている人物による窃盗被害に遭っていたことから、Aさんが来店した際に店員が監視するなどの対策をとっていました。
そして、Aさんが持参した買い物袋に食料品など3点を入れて、そのまま会計を済ませず店を出たため、店員がAさんに声をかけ取り押さえ警察に通報しました。
その後、警察の取調べでは、Aさんは「お金を使いたくなかった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,窃盗罪について
〈窃盗罪〉(刑法第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一般的に万引きと呼ばれる行為は、刑法での窃盗罪に該当します。
そして、窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法第38条第1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪と使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思は窃盗罪と毀棄・隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪(刑法第261条)の成立が検討されることになります。
上記の事例では、Aさんは、スーパーマーケット側が所有する「財物」である商品を、持参した買い物袋に入れて会計を済まさず店を出た行為はスーパーマーケット側の意思に反して商品に対する占有をAさん自身に移していると言え「窃取」に該当します。
そのため、Aさんには窃盗罪が成立することが考えられます。
2,身柄拘束の回避に向けた弁護活動
窃盗罪で逮捕されると、捜査機関の下で最長72時間身柄拘束され、その間に取調べを受けることになります。
そして、検察がさらに証拠の収集などの捜査のために被疑者を身柄拘束する必要性があると判断した場合、検察官は勾留請求することになります。
勾留請求が認められた場合、原則10日間、延長が認められればさらに10日間、被疑者は身柄を拘束されることになります。
被疑者勾留は、逮捕に比べて長い間身柄拘束を受けることになり、例えば勤め先に出勤することができなくなり解雇になる危険性があるなどの不利益が生じることになります。
また、勾留中は、生活を厳しく監視・規制される、被疑者は家族や友人など外部と自由に会えない、そして、一人きりで捜査機関による取調べに臨まなくてはならないなど、被疑者が抱える精神的・身体的な負担は過大なものになると言えるでしょう。
そのような不利益や負担を回避するために、弁護士は、検察官や裁判所に対して意見書を提出して、身柄拘束しないように働きかけることができます。
被疑者勾留は、検察官が裁判官に勾留を請求し、裁判官が被疑者勾留の要件を満たすと判断した場合に認められます。
そして、被疑者勾留の要件は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合です。
それらの要件を否定し得る客観的な証拠が存在すれば、意見書と一緒に提出し、勾留請求をしないように働きかけます。
もっとも、意見書は被疑者勾留が決定される前に提出する必要があるため、身柄拘束を回避したい場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
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【事例解説】横領罪とその弁護活動(返却期限が過ぎたレンタカーを返却せずに私的に乗り回したケース)
【事例解説】横領罪とその弁護活動(返却期限が過ぎたレンタカーを返却せずに私的に乗り回したケース)
今回は、返却期限が過ぎたレンタカーを返却せずに私的に乗り回したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:返却期限が過ぎたレンタカーを返却せずに私的に乗り回したケース
レンタカーの返却期限を約1年過ぎても返却しなかったとして、福岡県警は、福岡市に住むAさんを横領の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、福岡市内のレンタカー会社Vで乗用車1台(時価80万円相当)を1カ月の期間を定めて契約しましたが、返却期限を約1年過ぎても車を返却しないまま仕事やプライベートで乗り回し、横領した疑いが持たれています。
返却期限を過ぎても車が返却されないため、レンタカー会社VがAさんに連絡したところ音信不通になり、被害届を提出したとのことです。
車は既に押収済みです。
警察の調べに対して、Aさんは「返却期限を過ぎても車を返さなかったのは間違いない」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,横領罪について
〈横領罪〉(刑法第252条)
第1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
刑法の横領罪は、①自己の占有する②他人の物を③横領した場合に成立します。
また、窃盗罪や強盗罪など、他人の占有をその占有者の意思に反して自身または第三者の占有に移転する奪取罪とは異なり、横領罪は既に他人の物が自身の占有下にあるため、保護法益は第一次的には所有権であり、第二次的に物を預けた人との信任関係も保護の対象となります。
そのことから、横領罪は、委託信任関係により他人の物を占有している者という身分を持っている人に成立する犯罪と言えます。
①「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力をいい、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を及ぼす状態にあることを意味します。
法律上の支配とは、法律上自身が容易に他人の物を処分し得る状態にある場合を言います。
例えば、不動産の登記名義人は、当該不動産を自由に処分できる地位にあるため、法律上の支配が認められます。
②「他人の物」とは、他人の所有に属する物を言います。
③「横領」行為とは、不法領得の意思を発現する一切の行為をいいます。
不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
「横領」行為は、費消(使い込むこと)、着服(バレないように盗むこと)、拐帯(持ち逃げすること)、抑留(借りたものを返さないこと)などの事実行為だけでなく、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
上記の事例では、Aさんはレンタカー会社Vとの賃貸借契約により乗用車を借りており、当該乗用車の所有者はレンタカー会社Vです。(②)
また、借りているAさんには当該乗用車に対して事実上の支配力が認められます。(①)
そして、Aさんは、返却期限を過ぎても当該乗用車を返却することなく仕事やプライベートなどで乗り回しています。(③)
以上より、Aさんには横領罪が成立することが考えられます。
2,身体拘束の回避にむけた弁護活動
横領罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身体拘束されて捜査機関の取調べを受けることになります。
その間、被疑者は生活を厳しく管理・規制され、家族や友人など外部との自由な接触も制限され、捜査機関の取調べにも一人きりで臨まなければならないなど、身体的・精神的に多大な負担を被ることになります。
また、身体拘束期間中は当然のことながら職場に出勤することもできなくなるので、そのような長期間を無断欠勤すれば、職場から解雇される可能性もあり、身体拘束前の社会生活を送ることができなくなるかもしれません。
しかし、勾留による身体拘束を回避すれば、そのような不利益を受けずに済むかもしれません。
被疑者に勾留の理由と必要性があると検察官が判断した場合、検察官が裁判所に勾留請求します。
検察官の勾留請求を裁判所が認めると、被疑者は勾留されることになり、最長で20日間身柄を身体拘束されることになります。
もっとも、弁護士であれば、検察官と裁判所に対して、意見書を提出することで被疑者勾留をしないようはたらきかけることができます。
勾留による身体拘束の理由とは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合を言うため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、意見書と一緒に提出することで、被疑者勾留の回避を目指します。
以上のような弁護活動は、被疑者勾留が決定する前に行う必要があるため、ご家族等が身体拘束されてしまったら、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内で横領罪の当事者となってしまった方、あるいは横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
横領罪の当事者となり捜査機関に捜査されているなど身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
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【事例解説】遺失物等横領罪とその弁護活動(拾った財布から現金を抜き取り持ち去ったケース)
【事例解説】遺失物等横領罪とその弁護活動(拾った財布から現金を抜き取り持ち去ったケース)
今回は、拾った財布から現金を抜き取り持ち去ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:拾った財布から現金を抜き取り持ち去ったケース
福岡市内のゲームセンターで、置き忘れられていた財布から現金2万円を抜き去り持ち去ったとして、福岡県警中央警察署は、同市中央区に住むAさんを遺失物等横領の疑いで逮捕しました。
財布は福岡市内に住むVさんの所有で、現金の他に運転免許証などが入っていました。
財布はAさんがゲームセンターの店員に届けており、その後、財布の所有者であるVさんが受け取っていました。
しかし、その場で財布を確認したVさんから「財布の中の現金がなくなっている」との届け出があり、被害が発覚しました。
そして、防犯カメラの映像などからAさんの犯行を特定して逮捕に至りました。
Vさんは、Aさんが届けた前日に店を訪れており、その際に財布を置き忘れていたとのことです。
警察の調べに対して、Aさんは「お金を抜き取って財布を届けたことに間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,遺失物等横領罪について
〈遺失物等横領罪〉(刑法第254条)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

遺失物等横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合に成立します。
そして、刑法に定められた単純横領罪(刑法第252条)や業務上横領罪(刑法第253条)と比べ、所有者との委託信任関係を裏切ることはなく、また、遺失物等横領罪が他人の占有を侵害しないことから、法定刑が軽くなっていると考えられています。
遺失物とは、占有者の意思によらず、その占有を離れ、まだ誰の占有にも属していないものを言い、いわゆる落とし物などがこれに該当します。
漂流物とは、遺失物のうち、水面又は水中に存在するものをいいます。
もっとも、これらは例示されたものであり、遺失物等横領罪の客体となるか否かは、他人の占有を離れたものであるかどうかによって判断されます。
占有とは、物に対する事実上の支配力が及んでいる状態をいい、「占有を離れた他人の物」とは、占有者の事実上の支配力が及んでおらず未だ誰の占有にも属していない物で、その占有が委託信任に基づかずに始まった物と考えられます。
「占有を離れた他人の物」にあたると判断されたものとして、電車内に乗客が置き忘れた荷物や被害者が無施錠のまま自転車を長時間空き地に放置して遠くへ出かけてしまった場合のその自転車などがあります。
なお、その物に占有が及んでいる場合、すなわち「占有を離れた他人の物」に当たらないものを自分の物にしてしまった場合には、それは占有者に意思に反してその占有を自分の占有下に移すことになり、遺失物等横領罪ではなく窃盗罪が成立する可能性があります。
横領とは、不法領得の意思を発現する一切の行為、すなわち、その物の経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をすることをいいます。
上記の事例では、Vさんが財布を店に置き忘れAさんが届けるまでに1日経っています。
そして、ゲームセンターは、通常、一日を通して不特定多数の人が間断なく出入りするため、仮に財布が置いてあったとしても、財布とその中身にVさんの事実上の支配力は及ばないといえ、置き忘れた財布とその中身はVさんの「占有を離れた」と言えます。
もっとも、置き忘れた財布とその中身がVさんの占有を離れたとしても、Vさんが所有権を有する所有物であることに変わりはありません。
そして、Aさんが財布の中身である現金2万円を抜き取る行為は、「占有を離れた他人の物」を「横領」したと言えます。
以上より、Aさんには遺失物等横領罪が成立することが考えられます。
2,前科回避に向けた弁護活動
遺失物等横領罪の法定刑は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金若しくは科料です。
もし、遺失物等横領罪で逮捕され、起訴を経て有罪判決を受けると、たとえ罰金刑もしくは科料であったとしても、前科が付くことになります。
前科が付けば、職場からの解雇や、学生であれば停学や退学になる可能性があります。
また、就職面接時に前科の有無を確認されて、採用の判断材料になることもあり、就職に影響が生じることもあります。
しかし、遺失物横領罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
検察官が事件を不起訴処分にすれば、裁判が開かれず有罪判決を受けることはなくなるため、前科を回避することができます。
そのため、被害者と示談交渉を試み、示談の成立を目指します。
示談交渉は、当事者間でも行うことはできますが、被害者はお金をとられたことで怒りや悲しみから強い処罰感情を有していることが考えられ、交渉は上手くいかない、あるいは交渉に応じてすらもらえないこともあります。
しかし、弁護士であれば、加害者が反省・謝罪の意思を有していることや被害の弁償をする準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することができ、被害者の方に安心していただくことで交渉に応じてもらえることも珍しくありません。
以上より、示談交渉は、当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメと言えます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において遺失物等横領罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が遺失物等横領罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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逮捕などにより身柄拘束を受けていない方には初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が逮捕等により身柄拘束を受けている方には初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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