あおり運転を受け速度超過で緊急避難?

2019-04-13

あおり運転を受け速度超過で緊急避難?

佐賀県鳥栖市に住むAさんは,一般道(指定最高速度50キロメートル)において,普通自動車を時速約50キロメートルで運転中,あおり運転を受けたたと感じたため,スピードを上げ時速約110キロメートルで運転していたところ,道路に設置されていたオービスに反応され,後日,道路交通法違反(速度違反の罪)で佐賀県鳥栖警察署から呼び出しを受けました。Aさんは,あおり運転から逃げるために速度を上げただけで検挙されたことに納得がいっていません。そこで,弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ オービス ~

オービスとは,正式には,自動速度違反取締装置といいます。スピード違反車のナンバープレートと運転者の顔が判明できるよう自動で撮影する装置です。日中でも夜間でも時間帯に限らず24時間作動しており,常にスピード違反者がいないか目を光らせています。

なお,これまでは,高速道路やバイパスなど「速度違反が行われる蓋然性の高い道路」にオービスが設置されることが多かったと思います。しかし,先日,4月9日,佐賀県内では「通学路」に(移動式)オービスが設置され,スピード違反者の取り締まりが行われたとのことです。このように,今後は,高速道路など以外にもオービスが設置され,スピード違反者の取り締まりが行われることが予想されます。

~ スピード違反と緊急避難 ~

Aさんは,一般道の指定最高速度を60キロメートル超過していることから,Aさんの行為は指定最高速度違反の罪(道路交通法22条1項)に当たりそうです。しかし,刑事事件一般についてそうなのですが,ある行為が罪に当たっても,その行為の違法性がない場合は,その行為をした人を罪に問うことはできません。違法性がない場合とは,具体的には正当防衛,緊急避難などが成立する場合をいいます。

ところで,正当防衛は「(相手方の)急迫不正の侵害」があった場合に成立するところ,今回はそのような事情は認められませんから解説を省略いたします。では,緊急避難は成立するのでしょうか?そもそも緊急避難とは何なのでしょうか?

= 緊急避難とは =

緊急避難とは,

自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない(刑法37条1項本文)

というものです。

~ 緊急避難は成立するか? ~

この点に関し,参考となる札幌高等裁判所の裁判例(平成26年12月2日)があります。この裁判では,

スピード運転は,あおり行為を行う後続車との事故を回避するためにしたもので,やむを得ない行為だったか否か

が大きな争点となっていました。この裁判の第一審(札幌地方裁判所)では,被告人側の主張が認められ無罪判決が出ています。しかし,第二審の札幌高等裁判所は,

・進路変更など後続車の接近を避ける方法は他にもあった
・あおられた場合、制動灯で注意喚起したり、路側帯に退避したりして追い越しを促すのが常識的で通常の対処方法だ

などと指摘し,求刑通り罰金4万円の有罪判決が言い渡しました。
このように,緊急避難が成立するためには,その行為が「やむを得ない行為」だったと言えなければなりません。「やむを得ない行為」だったかどうかは,「他に取りうる方法がなかったかどうか」が基準となります。札幌高裁も,まさにこの点について言及し,被告人にはスピード運転以外にも,危険を回避する方法があったことを理由に,緊急避難の成立を否定したのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,交通違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件,少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。
佐賀県鳥栖警察署までの初回接見費用:38,200円)

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