【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース)

【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース)

今回は、福岡市の商業施設において、女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース

福岡市の商業施設で、20代女性Vさんの下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したとして、福岡県警は、福岡市在住のAさんを、性的姿態等撮影の疑いで逮捕しました。
Aさんは、福岡市の商業施設で、サンダルに取り付けた小型カメラで、女性のスカートの下から下着を撮影した疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんはサンダルに取り付けた小型カメラとスマートフォンをコードでつないで撮影していたところ、不審に思った保安員が警察に通報したことで事件が発覚しました。
警察の調べに対して、Aさんは「盗撮したことは間違いない」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,性的姿態等撮影罪について

〈性的姿態等撮影罪〉

2条1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
 イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2項 前項の罪の未遂は、罰する。
3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。

いわゆる盗撮については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)」が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、正当な理由なく性的な姿態等を撮影すれば性的姿態等撮影罪が成立します。
被害者が13歳から15歳の場合、加害者が18歳から20歳の場合が問題となります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんの性的な姿態等を撮影すれば、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため、性的姿態等撮影罪は成立せず、処罰の対象外となります。
なぜ、被害者が13歳以上16歳未満の場合には、年齢差が5歳以上年長の者の行為しか処罰されないのかについて、13歳以上16歳未満の者は、相手との関係が対等でなければ性的姿態等を撮影されることについて自由な意思決定が難しくなると考えられているからです。
どのような場合に相手との関係が対等でなくなるのかについて、一般的に、相手との年齢差が大きくなればなるほど、社会経験等の差から対等ではなくなると考えられます。
上記の事例では、Aさんは、「正当な理由なく」、「ひそかに」、Vさんのスカートの中という「人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接または間接に覆っている部分」をサンダルに取り付けた小型カメラで「撮影」しているので、Aさんには性的姿態等撮影罪性的姿態等撮影処罰法2条1号イ)が成立することが考えられます。

2,身体拘束からの解放に向けた弁護活動

性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は一挙手一投足を監視され、家族や友人など外部との交流を制限されるなど、厳しい環境に身を置かれることになります。
また、被疑者が勤め人であれば、身柄拘束中は出勤することができなくなりますが、そのような長期間を無断で休ませてもらえる会社など普通は存在しません。
そうなれば、被疑者は職を失い、収入が無くなり、それまでの生活を送ることが難しくなるといった不利益が生じることになります。
そのような不利益を回避するためにも、勾留されてしまった場合には、少しでも早く身柄拘束からの解放を実現する必要があります。
被疑者が勾留されるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。
そのため、身柄拘束からの早期解放を実現するためには、被疑者がそれらの要件を充たさないことを客観的な証拠や事情を収集・主張していく必要があります。
上記の事例で言えば、Aさんが撮影に使った小型カメラとスマートフォンが既に捜査機関に押収されていれば、Aさんが盗撮した画像を消去するなど証拠を隠滅できる可能性は低いといえるため、Aさんの証拠隠滅のおそれを否定し得る客観的な事情となります。
そのような弁護活動を通じて、被疑者の身柄拘束からの早期解放を目指します。
身柄拘束が長引けば、前述の不利益も大きくなることが考えられるため、ご家族等が身柄拘束をされてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

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