【事例解説】詐欺罪と否認事件における弁護活動(コンサートのチケットをめぐり被害者かお金を騙し取ったケース)

【事例解説】詐欺罪と否認事件における弁護活動(コンサートのチケットをめぐり被害者かお金を騙し取ったケース)

今回は、コンサートのチケットをめぐり、被害者からお金を騙し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:コンサートのチケットをめぐり被害者からお金を騙し取ったケース

「チケットが余っていて、買ってくれる人を探している」などとSNS上でかたり、20代の女性Vさんから現金約50万円を騙し取ったとして、福岡県春日市在住のAさんが詐欺の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、AさんはSNS上で「チケットが余っていて、買ってくれる人を探している」などとかたり、コンサートのチケットの購入を呼び掛けていました。
そこに、Vさんがチケットの購入を希望してきたため、Aさんは、Vさんに宿泊交通費やその他の費用など約50万円を自分の銀行口座に振り込ませ、騙し取った疑いがもたれています。
被害に遭ったVさんが、品物が届かないことを不審に思い、警察に相談して事件が発覚し、被害届を提出しました。
警察の調べに対して、Aさんは「品物はあとで送るつもりだった」などと供述し、容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,詐欺罪について

〈詐欺罪〉(刑法246条1項)

人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、刑法に定められた人を欺いて財物を交付させた場合に成立する犯罪です。
人を欺」く行為(欺罔行為)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為、すなわち相手方が財物や財産上の利益を交付(処分)しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。
財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護されますが、経済的にも主観的にも全く無価値な物は保護されません。
過去の裁判例では、メモ紙1枚(大阪高等裁判所判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高等裁判所判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付(処分)行為→財物または財産上の利益の移転がそれぞれ原因と結果の関係になければなりません。
欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付(処分)行為を行った場合は、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。
そして 、詐欺罪は他人の財産を侵害する犯罪であるため、条文上の記載はありませんが成立には財産的損害の発生が必要とされています。
財産的損害が発生したか否かは経済的に評価して損害が発生したかどうかを実質的に見て判断されることになります。
過去の裁判例では、価格相当の商品を提供したとしても、事実を知ればお金を払わないといえるような場合において、商品の性能等につき真実に反する誇大な事実を告知して相手方を誤信させてお金を受け取った場合には、相手方に対する詐欺罪が成立するとしたものがあります。(最高裁判決昭和34年9月28日

2,取調対応

上記の事例において、Aさんは「品物は後で送るつもりだった」と供述し、詐欺罪の容疑について否認しています。
また、Aさんは逮捕により身柄拘束を受けています。
身柄拘束を受けている被疑者は、外部との接触ができなくなることで不安や恐怖を抱え、そのような状態で密室の取調室で捜査官による取調べを受けることになります。
密室で一人きりで取調べを受けることになり不安を抱えた被疑者の精神状態などを考慮すると、冷静に取調べに臨むことが難しいと言えます。
また、容疑を否認しているからと言って、やみくもに黙秘権を行使すれば、取調官の取調べがきつくなったり、「このままじゃ帰れなくなる」などの逮捕に続く勾留を匂わせて被疑者を不安や恐怖をあおって被疑者に供述させるような取調べが行われることも考えられます。
また、取調べにおける被疑者の供述は供述調書となり、その後裁判が開かれる場合には証拠として重要な役割を持つことになるため、取調べにおいては慎重な供述が求められます。
もっとも、被疑者の精神状態や適切な黙秘権の行使については、刑事事件の専門的や知識や経験が要求されると言えます。
しかし、弁護士であれば、被疑者と接見し、適切な黙秘権の行使など取調べの対応についてアドバイスをすることができます。
また、被疑者に対して違法または不当な取調べが行われた場合には、被疑者が黙秘権を行使することが難しくなります。
そのような違法または不当な取調べが行われたことを被疑者から報告を受けた場合には、然るべき機関(警察の場合は捜査官や警察署長)に対して抗議します。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

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