【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース)

【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース)

今回は、インターネットの匿名掲示板に被害者の実名を書いたうえで被害者の名誉を毀損する書き込みを行ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース

福岡県春日市在住のAさんは、約1年の間、インターネットの匿名掲示板に元職場の同僚であるVさんの実名を含めた個人情報や「Vからお金を騙し取られた」、「Vは会社のお金を盗んでいる」などの虚偽の書き込みを複数回行いました。
Aさんは、その件で警察署に出頭するよう求められています。
(事例はフィクションです。)

1,名誉毀損罪について

〈名誉毀損罪〉(刑法230条)

1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

①公然と②事実を摘示し、③人の④名誉を⑤毀損した場合、⑥摘示された事実の有無にかかわらず、刑法名誉毀損罪が成立します。
①「公然」とは、不特定又は多数人が認識できる状態を言います。
また、摘示の相手方が特定又は少数人であっても、その人たちを通じて不特定又は多数人へと広がっていくときには「公然」性が認められます。(伝播性の理論)
②摘示される「事実」は、人の社会的評価を害するに足りるものであることを要します。
さらに、その「事実」は、必ずしも非公知のものに限られず、公知の事実でも、それを摘示することによりさらに社会的評価を低下させるおそれがあれば、「事実」に該当します。
また、「事実」はある程度具体的な内容を含むものでなければならず、単なる価値判断(例:この本は良いまたは悪い)や評価(例:○○さんは仕事ができるまたはできない)は「事実」に該当しません。
③「」とは、犯人以外の自然人、法人及びその他の団体が含まれます。
そして、名誉毀損罪は、人が円滑な社会生活を行うための前提であるその人に対する積極的評価を保護するものであるから、④「名誉」とは、社会が与える評価としての外部的名誉を言います。
⑤「毀損」行為とは、人の社会的評価を害するに足りる行為がなされればよく、実際に人の社会的評価が害されたことまでは必要となりません。
⑥「摘示された事実」が真実であるか否かにかかわらず、名誉毀損罪は成立します。

2,名誉毀損罪で捜査を受ける前段階の弁護活動

名誉毀損罪は、親告罪であり、公訴の提起には被害者の刑事告訴が必要となります。

〈親告罪〉(刑法232条1項)

この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

この章」とは、刑法230条から231条を指しています。
告訴とは、犯罪の直接の被害者が、捜査機関に対して、加害者が犯した犯罪事実とその処罰を望む意思表示を申し出ることを言います。

〈告訴〉(刑事訴訟法230条)

犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

前述の通り、親告罪は被害者の告訴が公訴提起の要件となっているため、弁護活動としては、被害者との示談交渉を試み、示談の成立を目指します。
もっとも、示談と一口に言っても、その内容は多岐にわたります。
被害者に対して反省・謝罪の意を述べ、被害弁償や示談金の支払い等を行うことで示談を成立させるのではなく、宥恕条項(加害者の反省・謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴をしている場合には刑事告訴の取消し等の約定を内容に加えて示談を成立させることが重要となります。
示談交渉は、加害者と被害者の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、犯罪の被害者は加害者と直接コンタクトをとることを避けることが考えられ、当事者同士での交渉は拗れて上手くいかないことが十分に予想されます。
そこで、弁護士が間に入り、捜査機関経由で被害者の方にコンタクトをとり、被害者の方に安心して示談交渉に臨んでいただき、冷静かつ丁寧に加害者が反省していること等を説明することで、前述した内容での示談の成立が期待できます。
そのため、名誉毀損罪でこれから捜査機関による任意捜査の対象となっている、あるいは被害者から刑事告訴される可能性がある場合には、少しでも早く弁護士に依頼し、刑事事件化させない、刑事告訴の取消しなどの実現を目指すことが肝要です。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において名誉毀損罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方、あるいはこれから名誉毀損罪で刑事告訴される可能性のある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、名誉毀損罪の当事者となりお悩みの方に対しては、弁護士が直接「無料相談」を行います。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

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