【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)

【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)

今回は、顔見知りの女子中学生とみだらな行為をして逮捕されたというニュース記事を参考にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース

去年12月、福岡県粕屋郡にある駐車場で顔見知りの女子中学生Vさんとみだらな行為をしたとして、会社員のAさんが不同意性交の疑いで逮捕されました。
不同意性交の疑いで逮捕されたのは、福岡県春日市の会社員Aさんです。
Aさんは、福岡県粕屋郡にある駐車場でVさんが16歳未満であることを知りながら、みだらな行為をした疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんは、Vさんの親族と知り合いで、Vさんとも顔見知りだったということです。
Vさんが通院先の看護師に被害を相談し、看護師から連絡を受けたVさんの母親が警察に被害を届け出たことで事件が発覚しました。
取り調べに対し、Aさんは、「被害者と性行為したことは間違いありません」と容疑を認めているということです。
rkb 4/2(火)13:37配信の記事を参考にして、内容や地名を一部変更し引用しています。)

1,不同意性交等罪について(刑法177条)

1項
前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項
16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。

※前条(刑法176条)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由

暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

不同意性交等罪は、①~⑧までの行為や原因により、被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。
(1)は被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性交等をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性交等をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)は被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)は被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4
性交等」には、性交、肛門性交、口腔性交の他に、膣や肛門に、陰茎以外の身体の一部または物を挿入する行為も含まれます。
そのため、無理やり相手の陰部に手で触れた場合には不同意わいせつ罪刑法176条)の成立が検討されることになりますが、指を陰部に挿入した場合には不同意性交等罪が成立することになります。
また、「わいせつなもの」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを言います。
当該行為がわいせつなものではないと誤信させ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした場合にも成立します。(2項
被害者が16歳未満の者である場合に、その者に対して性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
ただし、被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
被害者が13歳~15歳の場合、加害者が18歳~20歳だと問題になります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんに対して性交等を行った場合、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため処罰の対象外となります。

2,前科を避けるための弁護活動

不同意性交等罪は被害者が存在する犯罪です。
そのため、被害者側との間で示談交渉を進め、被害者側に対して謝罪や被害に対する弁償等を行い、示談の成立を目指します。
示談は当事者同士でもすることはできますが、通常は拗れて上手くいかないことが多いです。
また、特に性犯罪の場合は、捜査機関は加害者に対して被害者の連絡先を教えることは非常に少なく、被害者側も加害者からの連絡を受けてくれる可能性も極めて低いです。
しかし、弁護士が間に入ることで、被害者の方に丁寧な説明を行うことができ被害者の方も安心して交渉を行うことができ、示談成立の可能性が高まります。
示談といっても加害者側だけに都合のいい内容での示談は期待できません。
被害者側の意向や意見をくみ取りつつ、宥恕条項(被害者の謝罪等を受け、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や、刑事告訴の取消や被害届の取下げなどの約定を加えたかたちでの示談を成立させることが必要不可欠であると言えます。
これらの示談交渉は、法律についてあまり詳しいとは言えない一般の方が行うことは難しいため、法律の専門家である弁護士に依頼することがオススメです。
不同意性交等罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されていても、示談が成立していれば、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれはないと判断され、早期の身柄解放が期待できます。
被疑者が逮捕されてから起訴されるまで最大でも23日間しかありません。
その間に示談を成立させることができれば、公訴を提起されずに済むことが期待できます。
公訴を提起されてしまえば、例えば勤め先を解雇されるとか、結婚している場合には離婚など社会生活を送るうえで大きな障害となることが予想されます。
そのため、不同意性交等罪で逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士の力をかりることが重要と言えます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県粕屋町において不同意性交等罪の当事者となってしまった方、またはご家族等が不同意性交等罪で身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部ぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っており、刑事事件・少年事件に対する様々な経験や高い実績があります。
不同意性交等罪で在宅捜査を受けている方や刑事告訴されるおそれのある方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が不同意性交等罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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