少年事件における家裁送致後の観護措置回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県北九州市若松区のA君(16歳)は,コンビニで万引きをした件で,福岡県若松警察署に窃盗罪で逮捕されました。その後、A君は「勾留に代わる観護措置」の結果,少年鑑別所に収容されました。そして、収容から8日後、検察官による家庭裁判所送致によって事件は検察庁から家庭裁判所へ送致されました。そして、A君の身柄は引き続き少年鑑別所で収容されることになりました。一刻もはやい少年鑑別所からの釈放を望んでいるA君の両親は,少年事件に強い弁護士にA君との接見を依頼し、今後について相談することにしました。
(フィクションです)
~逮捕から身柄拘束、身柄拘束から家裁送致までの流れ~
逮捕後家裁送致までの流れは以下のとおりです。
①逮捕
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②警察官による弁解録取→釈放
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③送致(送検)
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④検察官による弁解録取→釈放
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⑤検察官による「勾留請求」OR「勾留に代わる観護措置請求」
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⑥勾留質問→釈放
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⑦裁判官による「勾留決定」OR「勾留に代わる観護措置決定」
また、身柄拘束から家裁送致までの流れは以下のとおりです。
⑧捜査
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⑨家庭裁判所送致
~少年鑑別所と釈放について~
A君が収容されている少年鑑別所と少年院とは全く性質の異なる施設です。
少年院とは,家庭裁判所の少年審判で少年院送致という保護処分が出た後に収容される施設で,少年に対する矯正教育を目的としています。
他方,少年鑑別所とは,保護処分が出る前に収容される施設で,少年審判に向けて,少年の資質や性格などの調査を行うことを目的しています。
A君は,現在,「勾留に代わる観護措置決定」により少年鑑別所に収容されています。
これは,Aさんの万引き事件(刑事事件)が家庭裁判所に送致される前の少年に対する身柄措置の一種で,期間は,検察官が万引き事件の送致を受けた日から10日間と決まっています(上記③から⑨までの期間)。
もちろん,この決定に対しては,準抗告申立てなどの不服申し立て手段を取ってAさんの釈放を求めていくことが可能です。
仮に,不服申し立てが認められず,万引き事件が家庭裁判所に送致された場合(上記⑨の場合),Aさんは引き続き少年鑑別所に収容されたままになります。よって,A君の釈放を求める場合,Aさんの万引き事件が家庭裁判所に送致される前か同時期に,家庭裁判所に対して意見書等を提出するなどする必要があります。
家庭裁判所送致後の少年鑑別所における収容期間は,はじめ裁判所に万引き事件の送致があった日から2週間で,特に継続の必要があるときは1回に限り更新することができます(また,特別事由がある場合は,さらに2回の更新が認められています)。
仮に,意見書等を提出してもAさんが釈放されなかった場合は,③さらに異議申立てにより釈放を求めていくことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。