監護者わいせつ罪
監護者わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市博多区に住む会社員のAさんは、妻、長女Vさん(12歳)、次女の4人家族です。Aさんは長女Vさんに対し、日頃から性的虐待を繰り返していたと認められたことから、Vさんは児童相談所に一時保護されました。そして、Aさんは、Vさんに対してわいせつ行為に及んだとして監護者わいせつ罪で福岡県博多警察署に逮捕されてしまいました。Aさんの妻は、突然のことに驚き、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです)
~ 監護者わいせつ罪 ~
監護者わいせつ罪は刑法179条に規定されています。
刑法179条
1項 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。
「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指し、「例による」とは法定刑を強制わいせつ罪と同様
6月以上10年以下の懲役
とするという意味です。
「その者を現に監護する者=監護者」とは、事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者をいいます。必ずしも、法律上の監護権(民法820条)を有する必要はありません。反対に、法律上の監護権を有していても、実際に監護している実態がなければ監護者に当たりません。監護者かどうかは、
・同居の有無や居住状況
・指導や身の回りの世話などの生活状況
・生活費の負担などの経済的状況
・未成年者に対する諸手続の状況
などを考慮して判断されます。
「影響力があることに乗じて」とは、監護者の被監護者に対する生活全般に対する影響力が一般的に存在し、行為時にその影響力が存在している状態で、という意味です。
判例によれば、「わいせつな行為」とは
・乳房を触る、揉む、舐める
・性器を触る、舐める
・自己の陰茎を性器に押し当てる
など、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。
~ 監護者わいせつ罪は非親告罪 ~
監護者わいせつ罪は身内の犯罪であるが故に、
・許してくれるだろう
・告訴はされないだろう
と考えていると大きな間違いです。監護者わいせつ罪は非親告罪であり、被害者の告訴を必要としません(強制わいせつ罪も同様です)。つまり、被害者(身内)の意思に関係なく逮捕され、起訴され処罰される可能性がある
ということだけはぜひ覚えていただきたいものです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、監護者わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。