軽犯罪法違反で逮捕?~福岡県嘉麻市
軽犯罪法違反での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県嘉麻市内に住むAさんは、同市内の公衆便所のタイルの上に大便をしたとして、福岡県嘉麻警察署に軽犯罪法違反(排せつ等の罪)で逮捕されました。公衆便所を管理する市職員が、市民から「毎日、トイレのタイルの上に大便が置かれている。」「困っているのでどうにかして欲しい。」との苦情を受け、嘉麻警察署に警戒を依頼していたところ、嘉麻警察署の警察官がAさんらしき人が公衆便所内に入っていくのを発見。公衆便所から出てきたところ、タイルの上に大便が置かれてあったたためAさんに職務質問すると、Aさんがたった今大便したことを認めたため通常逮捕に至ったようです。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
この記事は、今年8月30日、徳島県美馬市にある道の駅「藍ランドうだつ」にある公衆トイレの男性用個室内で、住居不定無職の男性が、同個室内の物が置ける台(高さ75センチ)のタイルに大便をした軽犯罪法違反の疑いで、警察に逮捕された事例を基に作成しています。
報道によると、今年6月ごろから同様の被害が10回以上続いていたとのことで、警察官や施設関係者が警戒しており、男性がトイレから出てきた後、施設関係者がトイレ内を確認して警察官に知らせ「御用」となったようです。
~ 排せつ等の罪と罰則 ~
男性の罪は、軽犯罪法1条26号に規定されている「排せつ等の罪」に当たります。
26号
街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
この者は、
拘留又は科料
に処せられます。
なお「拘留」は身柄拘束の「勾留」と異なり刑罰の一種で、「1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置(拘束)される」というものです。「科料」も刑罰の一種で、「1000以上10000円未満」とされています。
行為の場所は「街路又は公園その他公衆の集合する場所」、禁止される行為は「たんつばを吐くこと、大小便をすること、大小便をさせること」です。
普段何気なく、道路などにたんつばを吐かれる方がおられますが排せつ等の罪に当たり得ることは知っておいた方がよいでしょう。また、大小便は自らするだけではなく、させる行為(この場合、行為の主体は幼児などの責任能力のない者)も排せつ等の罪に当たり得ることから注意が必要です。
~ 軽犯罪法違反で逮捕? ~
軽犯罪法のみでも逮捕されることはあります。
通常逮捕について規定した刑事訴訟法199条は次のように定めています。
刑事訴訟法199条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
つまり、ただし書き以下は
30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪
については、
原則、逮捕できない
ことを定め、例外として、
被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合
には逮捕できる、としているのです。
では、現行犯逮捕の場合はどうでしょうか?
この点、現行犯逮捕について規定した刑事訴訟法213条は
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
としています。つまり、通常逮捕のような原則、例外に関係なく逮捕できるのです。
今回、Aさんがどちらで逮捕されたかまでは不明ですが、こうしたこともあり得ることは知っておいた方がよさそうです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。