示談を強要して強要未遂罪で逮捕 

示談を強要して強要未遂罪で逮捕 

示談強要行為による強要未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県柳川市に住むAさんは、元交際相手だったVさんと喧嘩になり、Vさんに対し暴行を加えた件で柳川警察署に被害届を出されました。Aさんは自らのしたことを認めて反省し、Vさんと示談交渉をはじめました。しかし、Vさんの態度はかたく、示談交渉は一向に進展しませんでした。そこで業を煮やしたAさんは、Vさんに「はやく示談書にサインしろ」「示談しなければ、お前の過去のこととか写真をインスタに挙げるからな」などというメールを送りました。Aさんは、これでVさんが示談に応じるだろうと思っていましたが、Vさんから何ら音沙汰はなく、反対に強要罪の被害届を柳川警察署に提出され、その結果、暴行罪、強要未遂罪逮捕されてしまいました。Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 示談とは ~

示談」とは、紛争の当事者同士が合意によって事件を解決することをいいます。広い意味で和解といいます。通常、示談に記載された内容以外の損害賠償請求はできなくなるという条項が示談書に記載されます(清算条項)。一方、「被害弁償」とは、単に相手方に損害賠償金(示談金)を支払うことをいい、それ以上の損害賠償請求されないことを確約するものではありません。両者の違いに注意する必要があります。

~ 刑事事件で示談すると? ~

被害者が示談を成立させる場合、そこには事件に対する被害者の一定の納得が示されていることになります。
そして、被害者との間で交わした示談書を捜査機関(警察、検察)に提出すれば、警察の場合、

・事件の立件化の見送り
・立件されていたとしても検察への送致の見送り(不送致)

などという効果が期待できます。検察の場合、

・不起訴処分の獲得

などという効果が期待できます。なお、被害者が捜査機関に被害届や告訴状を提出する前に示談を成立させることができれば、捜査機関へ被害届、告訴状を提出されることを阻むことができるかもしれません。

~ 示談交渉は弁護士を入れなくてもできる? ~

もっとも、これらの効果は、示談が有効に成立した場合に期待できるものです。あなたがごり押しして作成した示談、内容に不備がある示談では有効とはいえず、上記の効果を期待できないかもしれません。
もちろん、示談は、当事者の紛争を話し合いによって解決するものですから、示談交渉は弁護士を入れず紛争の当事者同士(加害者、被害者)で進めていくことも可能です。しかし、法律の素人である当事者同士では、そもそも感情の縺れなどから示談交渉を進展させることが難しいでしょうし、仮に進展させることができたとしても、有効な示談かどうかが分かりません。
よって、示談交渉は弁護士に依頼した方が無難です。

~ もしもごり押しした場合は? ~

もしも、被害者に示談することを強要した場合は、Aさんのように強要罪で逮捕される可能性もあるということを頭に入れておかなければなりません。

強要罪は刑法223条に規定されています。

刑法223条1項
 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

Aさんの「示談しなければ、お前の過去のこととか写真をインスタに挙げるからな」という行為は、Vさんの「名誉」に対し「害を加える旨の告知(害悪の告知)」に当たるでしょう。また、示談するかどうかは、Vさんの意思に委ねられる事柄ですから、これを強要することは「人に義務のないことを行わせ」たことに当たるでしょう。なお、本件は、Vさんが実際に示談書にサインをしなかったことから未遂罪にとどまった模様です。強要罪は未遂罪を処罰する旨の規定も置かれていますから注意が必要です。

刑法223条3項
 前2項の罪の未遂は、罰する。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

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