チケット転売防止法が施行②
~ ケース1 ~
福岡市博多区に住むAさんは、スポーツ観戦チケットの不正転売を行ったとしてチケット転売防止法違反で博多警察署から呼び出しを受けてしまいました。今後のことが不安になったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談を申込みました。
~ ケース2 ~
福岡市中央区に住むAさんは、有名芸能人グループのコンサートチケットを不定転売する目的で、知人のBさんからコンサートチケットを譲り受けたとしてチケット転売防止法違反で福岡県中央警察署から呼び出しを受けてしまいました。
(いずれもフィクションです。)
~ はじめに ~
前回は、チケット転売防止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(以下、法律といいます))の目的、特定興行入場券の内容等、法律の概要についてご説明いたしました。今回は、法律で禁止される
・不正転売
・不正転売目的の譲り受け
についてご説明した上で、
・転売目的でのネット上のチケット購入に対する罪
についても簡単にご説明したいと思います。
~ 不正転売の禁止(法律3条) ~
法律3条には
何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない
と規定されており、これに違反した場合は、
1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又は併科する
とされています(併科とは、懲役刑と罰金刑を同時に処せられる、という意味です)。
ここで、「特定興行入場券の不正転売」とは、法律2条4項で、
「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものという」
とされています。特定興行入場券については前回説明しております。
* 業として行う *
「業として」とは、反復継続する意思をもって、という意味です。
・購入した後すぐに転売している
・転売で得た収益が大きい
・過去に多数回の取引がある
・販売額が定価をはるかに上回っている
などという事実が認められる場合は、
検挙された事実が、たまたま一回の取引であっても、「業として行う」に当たる
可能性があります。では、
コンサートのチケットを入手したものの、急用が入って行けなくなったことから転売した
という場合はどうでしょうか?この場合は、それが真実で、上に挙げた事実が認められない場合は「業として行う」には当たらないと考えます。
いずれにせよ、法律ができたことでチケットの転売はしずらくなってきた、ということは間違いありません。不安な方は、一度、弁護士へ相談されることをお勧めいたします。
~ 不正転売目的の譲り受け(法律4条) ~
法律4条には
何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない
とされており、罰則は法律3条と同様
1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又は併科
です。不正転売ではなく、その前段階の、譲り受け行為を規制するものです。
~ 転売目的でチケットを購入したら? ~
転売目的でチケットを購入したら、法律ではなく刑法246条の2の
電子計算機使用詐欺罪
に問われる可能性があります。同罪は詐欺罪の補充規定で、法定刑は詐欺罪と同様
10年以下の懲役
です。転売目的でチケットを購入し、それを転売すれば、
電子計算機使用詐欺罪と特定興行入場券の不正転売罪の両罪が成立する
と考えられます。
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