バイトテロと犯罪

バイトテロと犯罪

福岡市博多区のすし店でアルバイトをしているAさんは,廃棄済みの魚を拾って再度調理する動画をSNSを通じて公開しました。そうしたところ、この動画を見た店長が福岡県博多警察署に被害届を提出。Aさんは、信用毀損罪、偽計業務妨害罪の被疑者として博多警察署から呼び出しを受けました。大変なことをしてしまったと不安になったAさんは、弁護士に今後の対応を相談しました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ バイトテロとは ~

Aさんの行為は「バイトテロ」と呼ばれています。「バイトテロ」とは、主にアルバイトなどの非正規雇用で雇われている飲食店や小売店の(正社員も含めた)従業員が、勤務先の商品(特に食品)や什器を使用して悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して炎上させる現象を指す日本の造語です。
これまでには、他に

・牛丼店のアルバイト店員が、メニューに存在しない超大盛りの豚丼を盛りつけ「テラ豚丼」として投稿。
・コンビニの店員がアイスのケースに入り込んで写真を撮影し、フェイスブックに投稿。
・定食店で、マスクをした男性の店員が下半身丸出しにしてお盆を股間にあてる動画を投稿。
・コンビニの店員が、売り物のおでん鍋から直接しらたきを食べて踊る動画をツイッターに投稿。

などの「バイトテロ」がありました。

Aさんとすれば面白半分で行った行為なのでしょうが、最悪の場合、刑事責任、民事責任を問われる場合も出てきます。そこで、今回は、どんな刑事責任を問われ得るのか解説したいと思います。

~ バイトテロは信用毀損罪、業務妨害罪に当たり得る ~

Aさんもしかり、バイトテロを行えば、刑法上の信用棄損罪、偽計業務妨害罪に当たり得ます。両罪は刑法233条に規定されています。

刑法233条 
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

懲役刑が規定されているということは、

 刑務所に服役する可能性もある

ということを十分に自覚しましょう。

~ 「信用を毀損」、「業務を妨害」とは ~

まず、「信用を毀損し」の「信用」とは、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼のみならず、

販売される商品の社会的な信頼も含まれる

とされています。「毀損」とは、人の信用を低下するおそれのある状態をつくることをいい、

現実に信用が低下したことを要しない

と解されています。
次に、「業務を妨害」とは、業務の執行自体を妨害する場合に限らず、ひろく業務の経営を阻害する一切の行為をいうとされており、通説・判例は、

業務妨害の結果を発生するおそれのある行為をすれば足り、現実にその結果の発生したことを要しない

としています(大判昭和11年5月7日)。

信用棄損罪も業務妨害罪も、

企業の損失・損害如何に関係なく、バイトテロ行為をしただけで成立する可能性がある

ということは十分自覚するべきでしょう。

~ 刑事責任の他にも民事責任 ~

刑事責任は刑罰を与えられ、与えられた刑に服さなければならない責任のことです。一方、バイトテロにおける民事責任とは、企業が被った損失・損害に対する損害賠償責任です。刑事責任を負ったからといって民事責任を免れるわけではありません。バイトテロによって

・売り上げが減った
・機材等を買い替えた
・株価が暴落した

などという場合は損失・損害が認められ、損害賠償責任を負う必要が出てくるものと考えます

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、信用棄損罪、偽計業務妨害罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

 

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