春日市の万引き事件を参考に、窃盗罪と強盗罪・事後強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
万引き
万引きとは、スーパーなどに陳列されている商品を手に取り、その商品の代金を支払わずに、お店の承諾なく店外に持ち出して盗む犯罪です。
万引きは、刑法で規定されている『窃盗罪(刑法235条)』に該当し、起訴されて有罪が確定すれば「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。
万引きは、窃盗罪の中でも非常に身近な犯罪です。
被害額が少額なことから、罪の意識が希薄になりがちですが、物欲を満たすことを目的に犯行に及ぶ人もあれば、犯行時のスリルを味わいたくて犯行に及ぶ人もおり、常習性のある、再犯率が高い事件でもあります。
事後強盗罪
事後強盗罪とは、刑法238条に
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪証を隠滅するために、暴行又は脅迫したときは、強盗として論ずる。
と規定されています。
「~強盗として論ずる」の強盗とは、刑法第236条に規定されている犯罪で、その内容は「暴行や脅迫を用いて他人の財物を強取する」ことによって成立します。
それでは事後強盗罪について解説します。
まず事後強盗罪の主体となるのは、窃盗又は窃盗未遂の犯人です。
この犯人が
- 財物を得てこれを取り返されることを防ぐ
- 逮捕を免れる
- 罪跡を隠滅する
の、何れかの何れかの目的で、暴行又は脅迫をした時に成立するのが事後強盗罪です。
事後強盗罪が成立するためには、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫が必要とされています。
相手方の反抗を抑圧するに足りる程度とは、どの程度なのかと思われた方もいるとは思いますが、イメージとしては「財産を力づくで奪ったかどうか」が、一つの判断基準ということになります。
事後強盗罪で起訴されて有罪が確定すれば「5年以上の有期懲役」が科せられます。
万引き(窃盗罪)が強盗(事後強盗罪)
万引き(窃盗罪)が強盗(事後強盗罪)に発展するのはよくあるケースです。
例えば、スーパーの商品をポケットに入れて、そのまま店外に持ち出したが、店を出たところで店員に声を掛けられたので、その店員を突き飛ばして逃走した場合などは、事後強盗罪となる可能性が高いでしょう。
注意しなければならないのが、ここで店員が怪我をしてしまった場合は、事後強盗罪ではなく、強盗致傷罪が成立してしまうことです。
強盗致傷罪は、刑法で規定されている他の犯罪と比べても非常に厳しい罰則が規定されている犯罪で、起訴された場合は、裁判員裁判によって裁かれます。
強盗致傷罪で起訴されて有罪が確定した場合は「無期又は6年以上の懲役」が科せられます。
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