人から借りたお金で投資する、出資法違反に抵触する危険があることについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事例
Aさんは、友人から、儲かる投資話を持ち掛けられ、それに興味を持ちました。
しかし、Aさんは、手元に、その投資をするだけのお金がなかったため、複数の友人から少しずつ投資の資金を募ることにしました。
Aさんは、自身の友人だけではなく、さらにはその友人に対し、「儲かる投資話があるので、10万円預けてくれないか。返すときには2割上乗せするから。」と話を持ち掛け、結局、10名から合計で100万円預かりました。
(フィクションです。)
出資法違反について
出資法(正式名称:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)1条は、不特定多数の者から、「後日、出資してくれた金額よりも上乗せして支払う」などと言って(そうしたことを示唆する場合も含みます)、出資金を受け取ることを禁止しており、Aさんの行為は、これに該当します。
そして、出資法1条に違反した場合の罰則は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、または罰金を併科する」とされています(出資法8条3項1号)。
出資とは、そもそも、リスクを伴うもので、出資をする側がそうしたリスクなどを加味して出資するかどうか決めるべきものです。
それにもかからず、後日、利益を上乗せして、つまりは確実に利益が出るといって出資をさせることは、出資する側の判断を誤らせるおそれがあるため、上記のような規制がなされています。
出資法においては、こうした規制のほか、預り金の禁止(2条)、浮貸しの禁止(3条)、金銭貸借の媒介手数料の制限(4条)、高金利の処罰(5条)もなされています。
その他の犯罪の成立について
仮に、Aさんがそもそも、友人に話したような投資をするつもりがないにもかかわらず、友人に、事例に記載したような話しを持ち掛けた場合、詐欺罪(刑法246条1項)に該当する可能性があります。
出資法違反が決して軽い犯罪というわけではありませんが、詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役と非常に厳しいものです。
警察が介入すると…
出資法違反として警察が介入してくると、被害者多数、被害金額も多額などの事情から、Aさんは逮捕される可能性があります。
仮に、Aさんに詐欺の容疑が掛けられた場合、逮捕される可能性はより高いといえます。
上記のような出資法違反については、出資した人たちの手元にお金が返っているかどうか、つまり被害弁償や示談ができているかどうかという点は一つのポイントになると思います。
早期に被害者と示談をすることができれば、そもそも警察沙汰になることを回避できる可能性もあります。
また、警察が介入し、捜査を受けることになると、最終的には、刑事責任を問われる可能性があります。
具体的にどのような活動をしていくかについては、事案によって様々ですが、たとえば、先ほど話した示談というのは、この刑事責任としてどのような処分が下るかという点にも影響があります。
出資に関してトラブルを起こしてしまった場合、早期に一度弁護士に相談する必要があります。
まずは弁護士に相談を
日本には様々な法律があり、「大丈夫だろう・・・」と信じてしてしまった行為が犯罪となることもあります。
このコラムをご覧の方で、知らぬ間に犯罪を犯してしまっていた…自分の行為が法律に違反していた…という方は、一度、法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件を専門に扱っている法律事務所ですので、特にこういった事件でお悩みの方は是非ご相談ください。