【少年事件解説】非行を繰り返し家庭裁判所に送致された少年(架空の虞犯事件に基づく解説)

 この記事では、架空の事例を基に、少年法で定められている「虞犯少年」について解説します。

事例紹介:福岡県の16歳の家出少女のケース

 福岡市内に住むAさん(16歳)は、高校を退学後、両親との折り合いが悪く、家出をしていました。Aさんは家出中、風俗で働いたり、援助交際をしたりして生活費や遊ぶお金を稼いでいました。
 しかし、ある晩、Aさんは警察官に補導され、家庭裁判所に虞犯少年として送致されました。
(事例はフィクションです。)

虞犯少年とは

 少年法は、少年の健全な育成を目的とし、非行少年に対して性格の矯正や環境の調整を行うことを目指しています。
 少年法では、何らかの罪を犯したわけではないものの、一定の事由があり、その性格や環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年(「虞犯少年」)について、家庭裁判所の審判に付すると規定しています(少年法第3条)。
 その理由として、未だ犯罪行為に至ってはいないけれども、不良な行為をしている少年を早期に発見して適切な保護を加えることにより、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪の発生を未然に防止するためであることがあげられます。

虞犯少年の要件

 虞犯少年を特定するためには、「虞犯事由」と「虞犯性」という主に二つの要素が考慮されます。

虞犯事由
少年法第3条は、虞犯事由として以下の四つを挙げています。
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること: 保護者の監督を必要としながらも、これに従わないことなど。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと: 家庭環境や少年の状況を考慮した上で、家庭に戻らないことに正当な理由がない場合など。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること: 暴力団や暴走族などの非行を誘発する集団への参加や、不健全な風俗営業への出入りなど。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること: 社会的・倫理的規範に反する行為を行う、または他人にさせることなど。

虞犯性
「虞犯性」とは、少年の性格や環境を考慮して、将来的に罪を犯したり、刑罰法令に触れる行為をする可能性があることを指します。この判断は、単なる推測ではなく、経験則に基づく蓋然性が必要とされます。

家庭裁判所送致までの流れ

虞犯少年が家庭裁判所に送致されるまでの流れを詳しく見ていきます。
・虞犯調査の開始: 警察やその他の捜査機関が虞犯少年を認知した際、犯罪としての捜査は行えませんが、虞犯調査を開始します。
・調査内容: この調査では、少年本人や保護者、参考人からの聞き取りを通じて、事件の事実、原因や動機、少年の性格・行状・経歴・教育程度、家庭や学校の状況、交友関係などが調査されます。
・通告と送致: 14歳未満の少年の場合は児童相談所に通告され、14歳以上18歳未満の場合は児童相談所に通告されるか、家庭裁判所に送致されます。
・家庭裁判所での手続き: 家庭裁判所に送致された後、犯罪少年の場合と同様に、家庭裁判所による調査が行われ、その後審判に付されます。

弁護士の役割と重要性

少年事件における弁護士の役割とその重要性について掘り下げます。

少年事件における弁護士の役割
・手続き上の権利の擁護: 弁護士は、少年が法的手続きの中で適切に扱われ、その権利が保護されることを確保します。
・更生へのサポート: 弁護士は、少年の更生と社会復帰をサポートするために、環境調整や改善教育の提案を行います。
・家庭裁判所との連携: 弁護士は家庭裁判所と連携し、少年の状況や背景を理解し、最適な処分を模索します。

弁護士の重要性
 少年事件は、少年の将来に大きな影響を与える可能性があります。弁護士は、少年が再び非行に走らないよう支援し、健全な社会復帰を促進する重要な役割を担います。
 弁護士は、少年とその家族に法的アドバイスを提供し、彼らが直面する複雑な法的プロセスをナビゲートする手助けをします。
 少年事件における弁護士の介入は、少年の人生にとって正の転機をもたらす可能性があり、その重要性は計り知れません。

福岡県の少年事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、少年事件における弁護活動や付添人活動の豊富な実績があります。
 ご家族が非行により家庭裁判所に送致されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

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