料金倒しで恐喝罪

2019-10-24

料金倒しで恐喝罪

料金踏み倒しと恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市博多区に住むAさんは、同区内にあるバーで飲んでいました。Aさんはバーで飲み終わり、店員Vさんに「つけでよろしく。」と言ったところ、Vさんから「お客様、当店ではつけは承っておりません。」「現金でお支払いいただいております。」と言われました。Aさんは、これにかっとなってVさんをにらみつけ、「つけにしろといったらつけにしろ、この野郎!」と語気鋭くしてVさんに迫りました。そして、AさんはVさんが怯んだすきにバーから出ていき、飲食代金9000円を免れました。数日後、Aさんは自宅にいたところ、福岡県博多警察署の訪問を受け、恐喝罪で逮捕されてしまいました。Aさんは警察官に「後で払おうと思っていた。」などと話しています。Aさんの知人が、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 恐喝罪 ~

恐喝罪は刑法249条に規定されています

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に「脅迫」が行われることが多いと思われます。「暴行」、「脅迫」の程度は、

相手方の反抗を抑圧するに至らない程度

であること、つまり、相手方に畏怖あるいは困惑の念を抱かせる程度(人の意思決定、意思実行の自由を制限、妨害するに足りる程度)であることが必要とされています。
他方で、相手方の反抗を抑圧する程度、である場合は「強盗罪」の「暴行」、「脅迫」と評価される可能性があります。

そして、飲食店に対する飲食代金の支払いを免れた場合は、2項恐喝罪が適用されます。

~ 2項恐喝罪 ~

「前項の方法により」とは、恐喝手段により、という意味です。
「不法の利益」とは、利益取得の手段が不法であることを意味し、利益そのものが不法であることを意味しません。
不法利得の態様としては、

・飲食代金
・宿泊代金
・運賃

などの支払債務を免除する旨の意思表示をさせるほか、代金の請求を一時猶予させる、代金の請求を事実上断念させる、役務(サービス)を提供させる、などがこれに当たります。

~ 被害者の財産的処分行為が必要 ~

恐喝罪が成立するには、被害者の「財産的処分行為」が必要とされています。
「財産的処分行為」は、被害者が加害者に財産(お金など)を渡す、などの被害者の行為をいいます。

もちろん、2項恐喝罪でも被害者の財産的処分行為は必要ですが、判例は、恐喝犯人が飲食店主を脅迫して畏怖させて飲食代金の請求を一時断念させ支払いを免れた事案

に関し、

財産的処分行為は必ずしも積極的意思表示によってなされる必要はない

と判示し、

本件においては、被害者側の黙示的な少なくとも支払猶予の処分行為が存在する

として恐喝罪の適用を認めています。

~ 2項恐喝罪の既遂時期 ~

2項恐喝罪の既遂時期(犯罪の完成時期)は、

被害者の財産的処分行為があった時点

です。すなわち、本件においては、VさんがAさんから脅迫行為を受けた段階で黙示の財産的処分行為があった、と認められる可能性があり、その時点で2項恐喝罪が既遂となってしまう可能性があるのです。
ですから、Aさんのように、「後で飲食代金を支払うつもりがあった。」などと言っても、その時点で犯罪は完成しているのですから、

意味がない

という結論となります。

お店側からつけを拒否されたら、その場で支払う必要です。注意しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

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