柳川市の窃盗事件

2019-01-06

柳川市の窃盗事件 

福岡県柳川市に住むAさんは,知人Vさんから鍵がかかっていないVさん所有のカバンを預りましたが,その際カバンの中に入っていたVさん所有の財布を抜き取りました。Aさんは財布から現金2万円を抜き取った後,財布を近くの川に投棄しました。Aさんからカバンを受け取ったVさんは,カバンの中から財布がなくなっていることに気づき,福岡県柳川警察署に被害届を提出しました。柳川警察署は,VさんがAさんにカバンを預けた後に財布がなくなった事実などからAさんを窃盗罪の被疑者と認めました。Aさんは,Vさんから柳川警察署に被害届を提出したと言われ,柳川警察署から呼び出しを受けたので,刑事事件に強い弁護士に今後の対応や見通しなどを相談すべく,弊所の無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

本件で犯罪となりうるAさんの行為は

1 Vさんのカバンの中からVさんの財布を抜き取ったこと
2 Vさんの財布から現金2万円を抜き取ったこと
3 Vさんの財布を川に投棄したこと

です。

それぞれ犯罪として成立し,成立するとしてどんな罪が成立するのでしょうか?Aさんは警察から窃盗罪の容疑をかけられています。また,その他にも,横領罪(刑法252条1項)の成立が考えられますので,まずはそれぞれの条文から確認することにします。

窃盗罪(刑法235条)

 他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

横領罪(252条1項)

 自己の占有する他人の物を横領した者は,5年以下の懲役に処する。

~ 行為1について(窃盗罪か横領罪か) ~

行為1については,窃盗罪が成立するのか,横領罪が成立するのかが問題となります。なぜなら,Vさんの財布は「他人の財物」とも「自己の占有する他人の物」とも言えそうだからです。VさんがAさんにカバンを預けた時点で,財物(財布)の占有がAさんに移ったといえる場合は,Aさんは「自己の占有する他人の物」を横領したとして横領罪が,そうではなく,以前として財物(財布)の占有はVさんにあるといえる場合は,Aさんは「他人の財物」を窃取したとして窃盗罪が成立します。
この点,似たような事例で判例(大判明治44.12.15など)は,包装物全体についてはAさんが占有を有するが,その在中物については,Aさんがこれを自由に支配し得る状態にないから,依然として占有はVさんにあると解してAさんに窃盗罪の成立を認めています。これからすると,Aさんがカバン自体をVさんに勝手に持ち去った場合は横領罪が成立することになります。

~ 行為2,3(不可罰的事後行為) ~

行為2,3は不可罰的事後行為に当たります。不可罰的事後行為とは,

ある犯罪終了(行為1)後の行為で,それだけで別罪を構成するように見えても,元の犯罪の違法評価に包含されているために別罪を構成(成立)しない行為をいいます

= 行為2について =

確かに,財布から現金2万円を抜き取るという行為だけみれば窃盗罪が成立しそうです。しかし,Aさんとすればお金が欲しいから,Vさんのカバンから財布を抜き取った(行為1)のであって,行為2は行為1からの自然的な流れと言え,行為2の違法性(悪いこと)は行為1によってすでに評価しつくされていると言えそうです。よって,行為2は不可罰的事後行為であり,窃盗罪は成立しません。

= 行為3について =

行為3は器物損壊罪に当たりそうです。器物損壊罪の「損壊」には隠匿することも含まれるからです。しかし,Vさんの財布の占有が害された(財布が隠匿された)という違法性は,行為1,つまり,他人の財物を窃取することによってすでに評価しつくされていると言えます。よって,行為3も不可罰的事後行為として器物損壊罪は成立しません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗罪,横領罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。上記のように,事案によって成立する犯罪が異なりますから,どの犯罪が成立するか不安な方,お困りの方は,まずは弊所の無料法律相談のご利用をご検討ください。
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