強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判

2020-07-13

強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県福岡市東区の駅から、帰宅する女性をつけていたAさんは、「ナンパしてご飯とか行けたらラッキー。」と思い、人気がない路地に入ると、女性に声をかけました。
女性は、知らない人に声をかけられたため、無視していましたが、Aさんはしつこく女性につきまといました。
そのうちムラムラしてきたAさんは、女性の背後から抱きつき、服の中に手を入れ、胸などを無理やり触り始めました。
驚いた女性は、地面に倒れ込み、その際に脚や膝に擦り傷を負いました。
Aさんは、その場から逃げましたが、福岡県東警察署強制わいせつ致傷の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

強制わいせつ致死傷罪

強制わいせつ致傷罪は、刑法181条に以下のように規定されています。

第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

刑法176条は、強制わいせつ罪について、178条1項は準強制わいせつ罪について規定しています。

つまり、強制わいせつ致傷罪は、強制わいせつ・準強制わいせつ、又はこれらの未遂罪を犯した結果、被害者を死傷させた場合に成立する罪です。

強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪です。
相手方が13歳未満の場合は、暴行・脅迫を用いずともわいせつな行為をしれば強制わいせつ罪は成立します。

「わいせつな行為」というのは、性的な意味を有し、本人の性的羞恥心の対象となるような行為をいいます。
胸や陰部を触るなどの行為だけでなく、キスも「わいせつな行為」に当たる可能性があります。
わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はありませんが、犯行を著しく困難にする程度のものであることが必要です。
この判断は、犯人や被害者の年齢、犯行の状況、凶器の有無等に基づいてされます。
なお、暴行自体がわいせつな行為である場合にも、強制わいせつ罪が成立します。
つまり、殴るといった暴行を加えずとも、胸を触るという行為それ自体が強制わいせつ罪の手段でる「暴行」であると同時に「わいせつな行為」でもある場合です。

Aさんのように背後から抱きついて、相手方の胸を無理やり触るなどの行為は、強制わいせつ罪に当たるでしょう。

裁判員裁判

裁判員裁判とは、一般市民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑にすべきかを裁判官と一緒に決める裁判制度のことをいいます。
裁判員裁判となる事件は、刑事裁判の中でも一定の重大事件だけです。
最も重い刑として死刑や無期懲役が定められている罪や、故意の犯罪行為で人を死亡させた罪に問われている事件です。
強制わいせつ致傷事件も裁判員裁判の対象となります。

裁判員は、裁判官と一緒に刑事事件の公判に出席します。
公判では、証拠として提出された物や書類を取り調べるほか、証人や被告人に対する質問も行われます。
そして、証拠に基づき、被告人が有罪か無罪かを検討し、決定します。
有罪とした場合には、被告人にどうような重さの刑罰を科すべきかについても判断します。
これらの判断は、裁判官3名と裁判員6名の合計9名で行なわれ、過半数の5名の意見が一致すれば決定となります。
ただし、被告人を有罪にする場合や、被告人に不利益な判断をする場合には、裁判官のうち少なくとも1名が加わっていなければなりません。

以上のように、裁判員裁判では、一般市民が裁判員となり、事実認定や刑の量定を決めることになります。
そのため、裁判員が十分に理解し納得するために、通常の裁判よりも分かり易く丁寧な説明を心がける必要があると言えます。

また、裁判員裁判では、実際の裁判が開かれる前に、公判前整理手続という手続きが行われます。
公判前整理手続とは、裁判員に実際に審理をしてもらう前に、裁判官・検察官・弁護人の三者により、本件事件の争点や、実際に裁判に提出する証拠を整理する手続きです。
このような手続きの中で、事件の争点や、重要な事実が整理され、裁判員には、最初から争点や判断の対象が提示されるようになっています。
公判前整理手続において、どの証拠を公判で取り調べるかが決定されます。
原則として、公判前整理手続において請求しなかった証拠を後日請求することはできません。
被告人に有利な証拠を提出することができないようなことのないよう、証拠開示の制度をうまく利用して、被告人に有利な証拠を検察官に開示させることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱っており、これまでも数多くの刑事事件を経験してきました。
刑事事件における豊富な経験や知識を活かし、裁判員裁判にもしっかりと対応し最善の弁護活動を行います。

強制わいせつ致傷事件で、ご家族が逮捕されてお困りの方、裁判員裁判に対応する刑事事件に強い弁護士をお探しであれば、弊所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

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