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住居侵入罪で緊急避難
住居侵入罪で緊急避難
Aさんは,Bさんら複数人の者から突然因縁をつけられ,殴る蹴るの暴行を受けたので逃げようとしましたが,他に逃げ場がなかったことから,近くのVさんの家の敷地内に無断で立ち入りました。Vさんは,見知らぬAさんが無断で自分の家の敷地内に立ち入ったことに驚き,とっさに110番通報をしたので,Aさんは駆けつけた福岡県柳川警察署の警察官により住居侵入罪で逮捕されてしまいました。Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(事実を基にしたフィクションです)
~ 住居侵入罪とは ~
刑法130条
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,(略)た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
= 人の住居 =
「人の」とは,自己以外の他人のという意味です。よって,行為者(Aさん)が単独で居住する住居や,他の者と共同生活を営んでいる住居は,人の住居とは言えません。次に,「住居」とは,日常生活に使用するため人が占有する場所をいい,起臥寝食に使用されていることを必要とすると解されています。「住居」である以上,居住者が常に居住していることを要しないとされており,一時旅行に出て家人不在の留守宅も「住居」です。ただし,空き家や建築中の家,オフシーズンの別荘は後記の「邸宅」あるいは「建造物」に当たります。
= 邸宅 =
「邸宅」とは「住居」として使用する目的で造られた家屋で「住居」に使用されていないものをいい,空き家やオフシーズンの別荘などがこれに当たります。
= 建造物 =
「建造物」とは,一般に屋根を有し,障壁又は支柱によって支えられた土地の定着物であって,その内部に出入りできる構造を有するものとされており,官公署の庁舎,,学校,工場,倉庫,駅舎などがこれに当たります。
「建造物」については,建物の周りを囲む塀が建造物に当たるかどうかが争われた裁判例があり,裁判所は,塀が建物とその敷地を外部からの干渉を排除するという建物利用の工作物であるということを指摘して,塀が「建造物」に当たると判断しました。
= 人の敷地内に立ち入ったら? =
人の敷地が「囲繞地」の場合は,敷地も「住居」,「邸宅」に当たります。その敷地が「囲繞地」というためには様々な要件をクリアすることが必要ですが,要は,外観的にも機能的にも住居の一部と言えるかどうかがいちおうの基準となるものと思います。
= 侵入 =
「侵入」とは,住居等の平穏を害する形で立ち入ること,すなわち,住居者・看守者の意思又は推定的意思に反して立ち入ることをいいます。
= まとめ =
以上を踏まえると,AさんがVさんの敷地内に立ち入ったという行為は,敷地が「囲繞地」であれば住居侵入罪あるいは邸宅侵入罪に当たる可能性があります。
~ 緊急避難とは ~
刑法37条1項
自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない。ただし,その程度を超えた行為は,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。
= 正対正の関係 =
緊急避難は,正当防衛(刑法36条1項)と似ていますが,正当防衛が悪いことをしようとする人に対する反撃(正対不正の関係)であるのに対し,緊急避難は何ら悪いことをしていない人に対する反撃(正対正の関係)です。そのため,緊急避難では正当防衛と異なり,「やむを得ずにした行為より生じた害」が「避けようとした害」の程度を超えないことが必要とされています。
上の事案でいうと,「やむを得ずにした行為より生じた害」とは,「住居」や「邸宅」に誰を立ち入らせるのかというVさんの住居権です。他方,「避けようとした害」とは,AさんがBさんらからの暴行から身を守ろうという身体の安全に対する権利です。一般的に,前者よりも後者の方が重要だと考えられますので,本件では,「やむを得ずにした行為より生じた害」が「避けようとした害」の程度を超えないといえそうです。
= 緊急避難の効果 =
ある行為が緊急避難に当たる場合,その行為が罰せられることはありません。つまり,本件では,3年以下の懲役刑や10万円以下の罰金刑を受けることはありません。ただし,そうであるからといって,逮捕や起訴されないという保証はありません。仮に起訴された場合は裁判で緊急避難の成立を主張し,無罪判決獲得に努める必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,住居侵入罪,邸宅侵入罪などをはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。お困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスの受付を行っています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
口座譲渡で逮捕
口座譲渡で逮捕
福岡県北九州市市に住むAさんは,お金に困っていたことから,いわゆる闇金にお金を借りることにしました。
闇金に借りた金額は,30万円とそれほど大きい金額ではなかったのですが,利子が非常に高かったこともあり,最終的には支払いが滞るようになりました。
そのような状況で,Aさんは,闇金の担当者から「今の状況では,いつまでたっても返済できないだろう。銀行で口座を開設してきて,それを郵送してくれたら借金をチャラにしてやる」と言われました。
この話に乗るしかないと考えたAさんは,最寄りのB銀行に行き,A名義で口座を開設し,通帳とキャッシュカードの交付を受けました。
そして,通帳とキャッシュカードを指定された住所に送ると,それから借金の返済の催促がなくなりました。
しばらくすると,福岡県八幡東警察署からAさんのところに連絡があり,「あなたの口座の件で話が聞きたいから一度警察に来てくれ」と言われてしまいました。
不安に思ったAさんは,いそいで刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
Aさんに成立する犯罪
Aさんは,最初から自分で口座を使用するつもりがなく,第三者に譲渡するつもりであったにもかかわらず,そのようなことを言わずに銀行口座を開設しています。
キャッシュカードや,通帳の説明文をよく読むと記載がある場合もあるのですが,銀行などでは,銀行の許可がない口座の譲渡等を禁止しています。
そのため,もしAさんが本当のことを銀行の窓口職員に話していれば,銀行の職員は口座開設の手続きを進めなかったということができます。
このような場合には,人をだまして通帳やキャッシュカードを取得したと言えますから,刑法にある詐欺罪が成立することになります。
今回のような事例と異なり,もともとは自分で使用するつもりで口座を開設し,その後Aさんと同じように口座の郵送を求められ,それに応じて郵送したような場合には,犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称犯収法)違反の罪が成立する可能性が高くなります。
口座譲渡の取調べ対応
先ほど述べた通り,最初に口座を開設した時点でどのような意図があったかによって成立する罪名が異なる可能性があります。
また,詐欺罪には罰金刑が無いのに対し,犯収法には罰金刑の定めがあります。
罰金刑がある場合には,略式手続が選択される可能性があります。
略式手続とは,罰金刑の前科が必ず付きますが,一般的に想像されるような裁判ではなく,書類のみが裁判官の所へ運ばれ,裁判所から略式命令という書類が郵送され,後日検察庁に罰金を納付しに行くというような,簡単な手続のことをいいます。
口座譲渡は,ほとんどの場合犯罪になることが否定できません。
ただし,どのような罪名で処理されるかは,最終的な処分に大きな影響を与える可能性があります。
そして,先ほど述べた通り,罪名選択のポイントは,口座開設の際の意図ですから,警察や検察といった捜査機関に対して,開設当時の認識等をしっかりと主張していくことが必要になります。
口座譲渡の弁護活動
口座譲渡をしてしまう方の中には,Aさんと同じように闇金などに手を出して,自らも違法な金利等によって苦しんでおられる方もおられます。
検察官が起訴するかどうかを判断する際には,犯罪の動機など,一切の事情を考慮した上で決定されます。
そのため,検察官に対し,今回の事件の動機や,原因,自らの責任の程度など,最終的に処分を決めるにあたって,自分に有利な事情をしっかりと主張できれば,事案の性質によっては,起訴猶予になる可能性も十分感がられます。
口座を他人に譲渡したことで、捜査機関より取調べを受けている、呼び出しを受けた、とお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談は無料です。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。
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売春周旋罪で逮捕
売春周旋罪で逮捕
福岡県福岡市博多区在住のAさんは、女性になりすまし、インターネットの掲示板に売春相手を募集する旨の書き込みをしました。
そして、連絡してきた福岡県内の男性などに対し、Aさんがスカウトして雇った女性らを派遣して買春させました。
Aさんは、売春防止法違反(周旋等)の容疑で福岡県博多警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)
~売春防止法違反~
売春防止法は、売春を助長する行為等を処罰し、性行又は環境に照らして買春するおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることで、売春の防止を図ることを目的としています。
売春の周旋等は、売春防止法で禁止されており、違反した場合には刑罰が科されます。
第六条 売春の周旋をした者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 売春の周旋をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者の処罰も、前項と同様とする。
一 人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
周旋とは、仲立ちをすることです。
売春防止法では、周旋目的で人を売春の相手方となるように勧誘することや、売春の相手方となるように勧誘するため道路その他の公共の場所で人の身辺に立ちふさがり又はつきまとうこと、
広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引することも禁止されています。
ここでは、これらをまとめて周旋等といいます。
Aさんの行為は、周旋等に当たると考えられます。
なお、売春防止法6条1項の周旋罪が成立するためには、買春の客である男性が、Aさんの周旋行為があったことを知らなくても、売春が行われるように周旋行為がなされれば足りるとされます。(最決平成23年8月24日)。
売春防止法違反(周旋等)を行った場合、逮捕されて刑事事件化する可能性があります。
逮捕されて刑事事件化した場合、売春防止法違反(周旋等)は被害者がいない犯罪であることから、示談をすることができません。
そこで、売春防止法違反(周旋等)を行って刑事事件化した場合には、贖罪寄付を行い、反省していることをアピールすることが考えられます。
贖罪寄付とは、被疑者・被告人が、反省と贖罪の情を表すために慈善団体などに寄付を行うことです。
贖罪寄付は、被告人の反省の態度を示す情状として量刑に有利に働く可能性があります。
贖罪寄付の効果については、Aさんの資力等さまざまな事情が考慮されるため、一概に語ることはできませんが、起訴前に贖罪寄付をすることで不起訴になる可能性を高めたり、起訴後であれば、裁判官に贖罪寄付を行ったことを評価してもらい、執行猶予となる可能性を高めることにもなります。
そこで、弁護士と相談し、贖罪寄付の金員の捻出方法や寄付先をどこにするかなどの事情に配慮した上で贖罪寄付をすべきといえます。
売春周旋罪で取調べを受けている方、ご家族が逮捕されてお困りであれば、売春防止法違反事件にも対応する刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事件の詳細を伺った上で、どのような弁護活動を行うのがベストであるか、ご相談される方と一緒に考え、結果につなげていきます。
刑事事件はスピードが重要です。
お悩みの方は、まずはフリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
(福岡県博多警察署までの初回接見費用:34,300円)
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特殊詐欺と幇助罪
特殊詐欺と幇助罪
福岡県春日市に住むAさんは、友人のBさんから、いいバイトがあるんだけど、やってくれる人を探していると言われました。
Aさん自身は、その時他のバイトが忙しかったこともあって、Bさんのバイトをすることはできませんでしたので、代わりの人を探すと答えました。
その時AさんがBさんから言われた仕事の内容は、①仕事が入る日は、大体4時間くらい入る②荷物を受け取って、別の人のところに届ける仕事である③1回仕事が終われば、大体3万円くらい報酬を渡すというものでした。
Aさんとしては、時間の割にかなり報酬が良い仕事だと思いましたが、特段不審には思わず、友人のCさんを紹介しました。しかし、実際はいわゆる特殊詐欺での仕事でした。
AさんがCさんをBさんに紹介すると、CさんとBさんは直接連絡をとりあっているようでしたが、時々AさんのところにもBさんから「Cに○日仕事って伝えといて」といったような伝言が来たり、「これCに渡す報酬だから」といってBさんから報酬を渡されたりしました。
また、Aさん自身もCさんを紹介した対価として、Bさんから1万円を受け取りました。
Aさんが、ある日バイトのために家を出ようとすると、家の前に福岡県春日警察署の人がいて、そのまま逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、突然のことに驚き、特殊詐欺事件にも強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~Aさんに何罪が成立するのか~
それでは、Aさんにはどのような罪が成立するのでしょうか。
そもそも、Aさんは、自分が紹介した仕事が詐欺であるという事は知っていたのかが問題となります。
今回であれば、荷物を受け渡すという、典型的な詐欺の手段であることや、仕事の内容からして報酬があまりにも高すぎること等から考えれば、Aさんが詐欺であると知らなかったと主張したとしても、それが認められるとは限らないという可能性もあります。
では、仮にAさんが詐欺であることを知っていたという風に認定されたとして、その場合Aさんに成立する罪はどのような罪でしょうか。
Aさんは、詐欺罪に加担したのですから、詐欺罪になるとも考えられます。
この場合は、10年以下の懲役という刑で処断されることとなります。
これに対し、Aさんの関与の程度が低いと考えられた場合には、詐欺幇助罪という別の罪となります。
詐欺幇助罪は、詐欺には加担したけれども、その関与の程度が低い場合に成立する罪です。
では、詐欺罪か、詐欺幇助罪かは、どのような基準で別れているのでしょうか。
これについて明確な決まりがあるわけではないのですが、「重要な役割を果たした」といえる場合には、詐欺罪が成立し、そこまでではない場合には、詐欺幇助罪が成立すると考えられています。
この場合、刑が半分になり、5年以下の懲役という刑で処断されます。
本件について考えてみましょう。
今回の詐欺事件は、実行犯はCさんですし、特殊詐欺によくある電話(息子を装ってかけるような電話です)も、Aさんがかけたわけではありません。
このような意味では、Aさんは詐欺に当たる行為を特別しているわけではありません。
しかし、Cさんがいなければ詐欺が実行できなかったといえる以上、Aさんがいなければ、BさんにCさんのことが伝わることはなかったといえるのですから、Aさんは、今回の犯行に不可欠な役割を果たしたとも言えそうです。
しかし、AさんがCさんを紹介して以降、BさんとCさんは直接やり取りをしていますから、今回の事件に限れば、Aさんは関係ないとも言えます。
また、Aさんは実際に報酬も受け取っていることからすると、重要な役割を担っていない人物に報酬を渡すとは考えにくいですから、Aさんはそれなりに重要な役割なのかもしれません。
しかし、金額は1万円と、あまり大きな金額ではありませんから、そのような意味では、Aさんは重要な役割とは評価されていなかったのかもしれません。
以上のような事実からすると、今回の場合には、Aさんには詐欺幇助罪が成立するにとどまる可能性があります。
しかし、上で上げた事実の多くは、Aさんの取調べの中で分かってくる事実です(Aさんが逮捕されるとき、Cさんは逮捕されていますが、Bさんは逮捕されていないことが多くあります)。
そのため、取調でどのような事実を話していくのかは重要になります。
Aさんの取調べでの答え方次第で、法定刑を半分にすることが出来る可能性がありますから、早期に弁護士に相談して、取調べにどのように答えるかは大切になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が特殊詐欺事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお電話ください。
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検察官の不起訴とは
検察官の不起訴とは
~ ご相談内容 ~
私は,昨年の9月に痴漢をした件で不起訴処分(起訴猶予)を受けました。しかし,その2か月後の11月にまた痴漢をしました。現在はその件で検察庁から呼び出しを受けています。11月の件では起訴されても仕方ないと思っているのですが,9月の件でも起訴されてしまうのでしょうか??
(フィクションです)
~ 不起訴って何? ~
不起訴とは,検察官が下す終局処分(その事件について起訴・不起訴を終局的に決める処分)の一種で,その意味は文字通り,起訴されないということです。以下,具体的にみていきましょう。
= 誰が決めるの? =
不起訴は,検察官が下す終局処分の一種ですから,不起訴を決めるは警察官でもなければ,裁判官でもなく,
検察官
です。検察官の元には,警察や検察の捜査で収集した証拠が全て届けられます。その証拠の中には,被疑者(犯人)にとって不利な証拠もあれば,有利な証拠も含まれています。したがって,検察官は,それらの証拠を総合的に判断して,事件を起訴するか,不起訴にするか判断できる立場にあるのです。なお,刑事訴訟法には不起訴について次の規定が設けられています。
刑事訴訟法247条(国家訴追主義)
公訴は,検察官がこれを行う。
刑事訴訟法248条(起訴裁量(便宜)主義)
犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは,公訴をしないことができる。
= いつ決めるの? =
上記のとおり,起訴するか,不起訴にするかの判断は検察官に委ねられていますから,その判断の時期も
検察官の判断(裁量)
に委ねられます。
検察官は,捜査の過程で収集した証拠に基づいて終局処分を決めますし,証拠の収集には一定程度時間を要しますから,終局処分の判断までにも一定の時間を要します。ただし,身柄事件の場合は時間的制約がありますから,在宅事件に比べて証拠収集のスピードがあがり,その分,終局処分を下す時期も早くなります。
= 何を基準に決めるの? =
検察官が収集した証拠
に基づき判断します。そして,検察官は,起訴するだけの証拠が集まったか否かを見極めます。証拠が集まっていないと判断した場合,あるいは集まっているが,
犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況
から起訴を必要としないとき(刑事訴訟法248条)は不起訴とします。
= 不起訴にも種類があるの? =
検察官が不起訴と判断するに至った理由の「題名」のことを裁定主文といいます。よく目にするのが,「嫌疑不十分」と「起訴猶予」です。
嫌疑不十分とは,検察官が起訴するに足りる証拠が集まっていないと判断したときに裁定するものです。起訴猶予とは,検察官が,証拠から犯罪であることは明らかであるが,犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況から起訴する必要がないと判断したときに裁定するものです。
実は,この裁定主文は「嫌疑不十分」「起訴猶予」の他にもいろいろあります。例えば,そもそも被疑者が死亡している場合は「被疑者死亡」により不起訴となりますし,訴訟条件が欠けている場合も不起訴となります。
= 不起訴になったらどうなるの? =
不起訴になれば,
刑事裁判にかけられること
刑罰を受けること
前科が付くこと
がなくなります。したがって,裁判所や検察からの呼び出しに応じる負担もなくなります。また,不起訴獲得によって職場の雇用や資格取得の場面でもよい影響が出るでしょう。
~ 不起訴の理由は教えてくれるの? ~
お客様の中には,
不起訴になった理由を知りたい
とご相談される方もおられますが,原則,検察官が不起訴とした具体的理由については教えてはくれません。被疑者に対する不起訴処分の告知について定めた刑事訴訟法259条にはその旨の文言が書かれていないからです。
刑事訴訟法259条
検察官は,事件につき公訴を提起しない処分をした場合において,被疑者の請求があるときは,速やかにその旨をこれに告げなければならない。
~ 今後,逮捕,起訴されることはないの? ~
裁判と違って,不起訴処分には,それ以上事件を蒸し返してはいけないという決まりはありません。したがって,不起訴となったからといって,
逮捕,起訴されないという保証はありません
証拠が足りなくて不起訴となっても(嫌疑不十分の場合),処分後に新たな証拠が出てきた場合,起訴猶予で不起訴となっても,処分後に再犯を犯し情状が悪くなった場合などは,再度,逮捕,起訴されることがあります。前者のケースは少ないと思われますが,後者のケースは十分にあり得ることです。したがって,起訴猶予で不起訴となった場合は,それだけで安心せず,その後の生活態度には十分気を付ける必要があります。
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(福岡県中央警察署までの初回接見費用:35,000円)
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強制性交等未遂罪が暴行罪?
強制性交等未遂罪が暴行罪?
Aさんは,知人女性Vさん方で,Vさんに対し,殴る,蹴るの暴行を加えた上,床に押し倒してVさんが履いていたズボンを,Vさんの膝半分まで脱がしました。しかし,ちょうどそのとき,Vさん方近くをサイレンを鳴らしたパトカーが通ったことから,Aさんは「Vさんが110番通報したのではないか」と怖くなり,それ以上,Vさんに危害を加えることを止め,Vさん方を後にしました。Aさんは,後日,福岡県折尾警察署の警察官に強制性交等未遂罪(旧:強姦未遂罪)で逮捕されました。Aさんの家族から接見の依頼を受けた弁護士がAさんと接見したところ,弁護士は,本件では暴行罪が成立するにとどまるのではないかと考えました。
(フィクションです)
~ 強制性交等罪(刑法第177条) ~
刑法177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役い処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。
= 13歳以上の者とは =
改正前の刑法177条は
13歳以上の「女子」を姦淫した者は
と規定されていました。しかし,改正後は13歳以上の「者」と改められ,男子も保護の対象となりました。したがって,女子による男子への,男子による男子への性交等も処罰の対象となります。
= 暴行・脅迫とは =
一般に,暴行とは,人の身体に対する有形力の行使,脅迫とは,人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。ただし,同じ暴行や脅迫と言っても,罪名により犯罪成立に必要とされる暴行,脅迫の「程度」が異なります。
例えば,強盗罪(刑法236条)の場合は,
相手方(被害者)の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫
が必要とされているのに対し,強制性交等罪の場合は,必ずしもそこまで必要とせず,
相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度の暴行・脅迫
で足りるとされています。
ただ,実際の事件では,相手方(被害者)の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫が加えられることが多いと言われており,この場合でも強制性交等罪に問われることになります。
= 性交等とは =
規定にも記載されているとおり,性交の他に,肛門性交,口腔性交も含まれます。ただし,手淫,口淫などの性交類似行為は含まれません。
~ 強制性交等未遂罪(刑法第180条・177条) ~
刑法180条
第176条から前条までの罪の未遂は,罰する。
刑法では,未遂罪を罰する場合は,新たにその旨規定を設けるとしており(刑法44条),強制性交等罪の未遂規定がこの刑法180条になります。
= 未遂罪とは =
さらに,刑法43条では,未遂罪が成立する場合を以下のように規定しています。
刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は,その刑を減軽することができる。ただし,自己の意思により犯罪を中止したときは,その刑を減軽し,又は免除する。
すなわち,未遂罪が成立するには
・犯罪の実行に着手したこと(実行の着手)
・犯罪が既遂に至らなかったこと(犯罪の不成立)
が必要となるのです。
また,刑法43条前段は障害未遂と呼ばれ,任意的に(裁判官の裁量で)刑が減軽されるのに対し,後段は中止未遂と呼ばれ,必要的に刑が減軽されます。
= 強制性交等罪の未遂罪とは =
上記の未遂罪の成立要件からすると,強制性交等罪の未遂罪が成立するには
・相手方に対し,暴行・脅迫を加えたこと(実行の着手)
・性交等に至らなかったこと(犯罪の不成立)
が必要となるのです。男子の女子に対する性交についていえば,男子の陰茎を女子の膣内に挿入すること(必ずしも射精は要しない)により既遂に達すると解せられていますが,暴行・脅迫を加えたものの,何らかの事情により,陰茎を膣内に挿入できなかったという場合に強制性交等罪の未遂罪が成立することになります。
~ なぜ,強制性交等罪が暴行罪? ~
他方で,外形的事実(客観的事実)だけ見れば,Aさんの行為は暴行罪にしか当たらないようにも思えます。では,強制性交等罪の未遂罪と暴行罪を区別する基準はどこにあるのでしょうか?それは,
Aさんが,Vさんに暴行・脅迫を加える時点で,Vさんに対する性交等の意図があった否か
によるものと考えられます。そのような意図があったか否かはAさんの内心の問題ですから,そのような意図があったか否かは,犯行時のAさんの言動や行為態様,犯行動機,犯行に至るまでの経緯,犯行後の状況などから判断されます。Aさんが,Vさんに「させろや!」などと言いながら暴行を加えていた場合は強制性交等罪の未遂罪が成立しやすくなりますし,Vさんに恨みつらみがあって暴行を加えたというような場合は暴行罪が成立するに留まることも考えられます。
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強盗・強制性交等の罪で逮捕
強盗・強制性交等の罪で逮捕
Aさんは,深夜,福岡県嘉麻市の路上で,Vさん(22歳)の後を付け,Vさんが一人で住んでいるアパートの部屋の鍵を開けようとしたところでVさんの口を右手で抑え,「死にたくなければオレの言う通りにしろ」などと言いました。VさんはAさんに言われるがまま部屋の鍵を開け,AさんはVさんの部屋の中に入り,玄関ドアの鍵を閉めました。そして,予め持ってきていたナイフ(刃体の長さが6センチメートルを超える刃物)をVさんに突きつけながら,Vさんを床に押し倒し,Vさんと性交しました。その後,Aさんは,テーブルの上に財布が置かれてあるのを見つけました。Aさんは「パチンコで負けてしまったし,お金もないので盗ってやろう」と思って,財布の中から1万円札2枚を引き抜き,Vさんの部屋を後にしました。後日,Aさんの犯行であることが判明し,Aさんは福岡県嘉麻警察署に強盗・強制性交等罪で逮捕されました。
(フィクションです)
~ 強盗・強制性交等の罪(刑法241条1項) ~
刑法241条1項
強盗の罪若しくは未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179条2項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき,又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは,無期又は7年以上の懲役に処する。
平成29年刑法改正で,従来の強姦罪に代わり強制性交等罪が新設されたことは有名ですが,それに伴って刑法241条(改正前の強盗強姦罪)も改正されました。
改正前の強盗強姦罪では,強姦の後に強盗の犯意(意思)を生じて強盗をした場合,強盗強姦罪(無期又は7年以上の懲役)は成立せず,強姦罪と強盗罪の併合罪として5年以上30年以下の有期懲役にとどまり,強盗強姦罪との法定刑に大きな差がありました。
そこで,改正法では,同一機会に強盗(若しくはその未遂)と強制性交等(若しくはその未遂)が行われた場合には,その先後を問わず,改正前の強盗強姦罪と同じ法定刑で(つまり,強盗・強制性交等の罪=無期又は7年以上の懲役)で処罰できるようになりました。
= 強盗・強制性交等の罪が成立する場合とは? =
刑法241条1項をまとめると,強盗・強制性交等罪は以下の場合に成立します。
1 強盗+強制性交等の罪(ただし,監護者性交等罪(刑法179条2項)を除く)又はその未遂罪
2 強盗未遂+強制性交等の罪又はその未遂罪
3 強制性交等の罪+強盗又はその未遂罪
4 強制性交等の罪の未遂罪+強盗又はその未遂罪
・「強盗」とは
「強盗」には,刑法236条の「強盗」だけでなく,刑法238条の「事後強盗」や刑法239条の「昏睡強盗」も含まれます。
・「強制性交等の罪」とは
「強制性交等の罪」には,刑法177条の「強制性交等の罪」だけでなく,刑法178条2項の「準強制性交等の罪」が含まれます。ただし,規定にもあるように,刑法179条2項の「監護者性交等の罪」は,強盗と同一機会に犯されることが想定しがたいため除かれます。
・「~を犯した者が,~をも犯したとき」とは
これは,強盗行為と強制性交等の行為とが同一の機会になされる必要があることを意味しています。同一機会になされたかどうかは,強盗行為と強制性交等の行為との時間的,場所的関係などから判断されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強盗罪,強制性交等の罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。ご家族の方などが刑事事件で逮捕された,今すぐ接見して欲しい,被害者と示談して欲しいなどという方,その他でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。専門のスタッフが24時間,無料法律相談,初回接見サービスの受付を行っております。弁護士の都合がつくかぎり,速やかに対応させていただきます。
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半年前の覚せい剤使用で逮捕
半年前の覚せい剤使用で逮捕
北九州市小倉北区に住むAさんは,平成30年7月12日,福岡県小倉北警察署のガサを受けました。Aさんは,その際,警察官から尿を提出するよう求められたことからこれに応じ,警察官に尿を提出しました。Aさんは,取調べのため小倉北警察署まで出頭し,覚せい剤使用について事情聴取を受け,覚せい剤を使用したことを認めました。Aさんが事情聴取を受けている最中,尿検査の結果が出たようで「陽性」だったようです。しかし,Aさんは警察官から「後日,呼ぶからその際は必ず出頭するように」とだけ言われて自宅へ帰されました。 そして,その半年後のことです。再び,警察官がAさんの自宅へやってきました。Aさんは,警察官による所持品検査を受けた後,「昨年7月頃,福岡市内で覚せい剤を使用した」件(覚せい剤取締法違反)で通常逮捕されました。
(フィクションです)
~ 半年経った後でも逮捕できるのか ~
結論からいいますと,できます。
理由の一つとして,まず,覚せい剤使用の場合,極端な言い方をすれば,尿中に覚せい剤成分が含まれていた旨の鑑定書さえあれば,逮捕の要件である「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」(刑事訴訟法199条)と疑われてしまうからです。具体的には,鑑定書の存在によって,被疑者(Aさん)が「罪を犯したこと」,つまり覚せい剤を「意図的に」「使用した」ことが疑われてしまうというわけです。この疑いは,鑑定書が存在する限り,覚せい剤使用の時効(7年)が完成する場合を除いて,晴れることはありません。なお,覚せい剤使用事案において,その他の事実,例えば,いつ使用したのか(時期),どこで使用したのか(場所),どのように使用したのか(方法・態様)についてはそれほど重要な事実ではありません。これは,そもそも,覚せい剤使用は密航性が高い犯罪であるため,犯人が自白しない限り,覚せい剤の使用時期,場所,方法・態様は判明しようがないからです。したがって,覚せい剤使用の場合,他の犯罪と違って,覚せい剤の使用時期,場所,方法・態様が明らかとはなっていなくても逮捕されてしまいます。
次に,逮捕は,裁判官が発する逮捕状に基づかなければなりませんし,逮捕状には有効期限が定められています。しかし,逮捕状の有効期限が切れた場合は再度,裁判官に請求することができますし,請求や発布に関する回数の制限は設けられていません。したがって,警察や検察の捜査機関は,何度でも逮捕状を請求できますし,逮捕状さえ取得できれば,独自の裁量・判断で逮捕することができるのです。
~ 逮捕の理由,タイミングは正直分からない ~
では,「なぜ半年経ってから逮捕されたのか」という疑問が生じますし,そもそも,なぜ「陽性」という結果が出た時点で逮捕されなかったのかという疑問が生じます。ですが,逮捕するか,しないかの判断は,警察や検察の捜査機関に委ねられていますから,正直はっきりとした理由は分かりません。ただ,後者の理由として,一般的に考えられるは
逃亡のおそれがなかったから
だということになるでしょうか。そして,半年経って,被疑者(Aさん)に逃亡のおそれが出てきたことから逮捕されたとも考えられます。
では,なぜ,Aさんに逃亡のおそれがあると判断されたのでしょうか?
考えられる理由の一つとしては,余罪の判明です。つまり,覚せい剤使用の事実のみよりも,余罪が加わった方が刑が重くなる可能性があるわけですから,余罪が判明した場合,Aさんが,
重い刑罰を受けることをおそれて逃亡するおそれがある
と判断されてしまい,逮捕されてしまうのです。
~ 逮捕を回避するための対策 ~
ここでは逮捕を回避するための対策をいくつかご紹介します。
= 通常の生活を送る =
とにかく,通常通りの生活を送ることが大切です。そして,これ以上,犯罪を手を出さないことが逮捕のリスクを下げる方法だと思います。Aさんのように,一度,警察に目をつけられた方は,警察から終始見張られていると思って生活しましょう。特に,薬物事件の場合は再犯率が高い上に,他にも薬物の取引にも関与していると疑われることが多く,警察は,あなたが再度薬物を使用する機会,あるいは,取引に関与する機会を狙っているかもしれません。あなたが再度,犯罪に手を出した場合は,上記のとおり逮捕される可能性は極めて高くなりますし,刑の重さも重くなります。
= 薬物治療の専門機関を受診する =
また,警察の捜査(ガサ)を受けたことが更生のためのいい機会だととらえて,薬物治療の専門機関を受診されてはいかがでしょうか?定期的に通院していればご自身の再犯のリスクを下げ,逮捕のリスクも下げることに繋がります。また,仮に逮捕,その後勾留されたとしても,定期的に通院していれば早期に釈放されたり,執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まります。そのためにも,日頃の通院時から,通院・受診したことの証明書(領収書等)はきちんと保管しておくべきでしょう。
= ご家族のご協力 =
薬物に手を染めてしまった場合,自力で更生することはほぼ不可能だと考えた方がいいでしょう。本人の更生のためには,周囲の協力が不可欠です。特に,ご家族は,ご本人にとって一番身近な存在です。ご家族としてできることは,そのご家庭の事情により様々だと思いますが,最低限,
・本人の所持品を検査する(部屋の中から,洋服,バックの中まで全て)
→薬物に関する物(パケ,注射器等)を持っていないかどうか
・同居し,生活状況や行動を監視,監督する
→逃亡しないかどうか
ことは必要となってきます。また,専門機関への受診を本人任せにせず,通院・受診に付き添ったり,事後的に報告させたりするなどしてご家族ぐるみでご本人を更生させていくことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、覚せい剤をはじめとする薬物・刑事事件を専門の法律事務所です。お困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
(福岡県小倉北警察署までの初回接見費用:39,740円)
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盗撮で風俗トラブル
盗撮で風俗トラブル
Aさんは,性的サービスを受けようと思い,福岡市東区内にある店舗型風俗X店に入りました。AさんはX店に所属するVさん(20歳)を指名し,Vさんがいる個室に入りました。Aさんは,Vさんのことが気に入り,Vさんの裸の動画を撮って後で自分で楽しみたいと思いました。そこで,Aさんは,Vさんに知られないように,部屋の片隅に予め起動させたスマートフォンを設置しました。Aさんは,Vさんから性的サービスを受けた後,一人でシャワーを浴びました。そのとき,Vさんが部屋の片隅に設置されてあるスマートフォンを見つけました。AさんはVさんから問い詰められたあげく,内容を確認すると,動画にはVさんの裸などが映っていたので,Aさんは盗撮したことを認めました。Aさんは,その後,Vさんの上司であるXさんから「店に罰金100万円払わなければ警察に被害届を出す」と言われました。そこで,Aさんは盗撮や風俗トラブルの対応に慣れた弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ Aさんの行為はどんな罪? ~
まず,Aさんが行った盗撮行為(スマートフォンを部屋の片隅に設置し,Vさんの裸などを撮る行為)はどんな罪に当たるのでしょうか?
= 福岡県迷惑行為防止条例 =
福岡県迷惑行為防止条例(以下,条例)6条3項には次の規定があります。
条例6条3項
何人も,正当な理由がないのに,第1項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態を のぞき見し,又は写真機等を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること。
「その他公衆が通常衣服の全部又は一部を付けないでいるような場所」とは,例えば,旅館・ホテル等に設附された宿泊客用の大浴場(「公衆浴場」とは公衆浴場法第1条に規定する公衆浴場をいいます),百貨店・スーパーマーケット等に設附された来客用の便所(「公衆便所」とは,公園内,道路端等に設四されている公衆の用に供する便所をいいます),ショッピングセンターの授乳室などが挙げられます。
「公衆」とは不特定多数の者という意味ですから,「その他公衆が通常衣服の全部又は一部を付けないでいるような場所」というためには,上記の場所が不特定多数の者の用に供される場所でなければなりません。この点,本件の風俗店の個室は不特定多数の者の用に供される場所とは言い難いと思われます。
したがって,条例については場所の要件を欠き,Aさんの盗撮行為は条例には当たらないものと考えられます。
= 軽犯罪法 =
軽犯罪法23号(窃視の罪)に次の規定があります。
同号では,
正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
を「拘留又は科料」に処する旨定めています。
まず,「正当な理由がなく」と規定されていますが,ひそかにのぞき見る行為自体違法性を帯びる行為ですから,よほど例外的な場合でないかぎり「正当な理由あり」とされることはないでしょう。
次に,「人が通常衣服をつけないでいるような場所」とは,例えば,病院・医院の診察室,処置室,旅館の一室,キャンプ場におけるテント,船舶の船室などが挙げられます。「人」とは自分以外の他人という意味です。また,上記の条例と異なり「公衆」ではなく「人」と限定的に規定されています。「ような場所」とは,衣服を着けないでいる可能性があれば足りることを示しています。そのような場所であれば,現に人がいるかどうか,衣服を着けているかどうかは問わないとされています。
最後に,「のぞき見る」とは,肉眼で物陰や隙間からこっそり見ることを意味しますが,ビデオカメラを設置し録画した行為自体を「のぞき見る」に当たる旨判示した裁判例があります(福岡高裁平成27年4月15日判決)。
以上から,Aさんの盗撮行為は軽犯罪法23号に当たる可能性が高いです。
~ 弁護活動について ~
Aさんに対する弁護活動は,示談交渉が中心になってくるかと思います。
しかし,示談交渉を行うにあたって,いったい誰と示談交渉を行う必要があるのかという問題に当たることがあります。本件では,Vさんでしょか?XさんあるいはX店でしょうか?
この点,少なくとも刑事事件における直接の示談交渉の相手方はVさんです。上記の軽犯罪法で保護しようとしているのはVさんの権利,利益であって,Aさんの盗撮行為によって,Vさんの権利,利益が害されたと言えるからです。ただ,民事上は異なります。盗撮行為によってVさんが体調不良をきたし仕事を休み,それによって店側に損害が出たなどという場合はX店(実際はX店)と交渉する必要があるでしょう。
また,示談金額をいくらにするかということもしばしば問題となります。一概に,この事案だからいくら,この罪名だからいくらとは申し上げることはできません。事案の内容や交渉しだいで変動が生じるものです。それにしても,仮に,本件の示談金が100万円だったという場合は,通常の相場からすると高額のような印象も受けます。
以上,示談交渉には様々な問題点がつきものです。風俗トラブルで示談交渉の必要が出てきたら,決して一人で解決しようとせず,示談交渉を得意としている弁護士にお任せください。
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久留米市の傷害事件
久留米市の傷害事件
福岡県久留米市で工場を経営するAさんは,日頃のVさんの勤務態度やVさんの営業成績に不満を持っていました。そして,ある日,AさんはVさんに勤務態度や営業成績について口頭で指導,注意したところ,Vさんから「あんたの指示が曖昧やけん,こっちも困っとるちゃんね」「毎日,2時間も,3時間も残業させられりゃ,そりゃ効率も悪くなりますよ」などと言われました。AさんはVさんからそう言われたことに腹を立て,近くにあった鉄パイプで1回,Vさんの脚を叩き,地面に転倒したVさんの腹部等を鉄パイプで数回殴打しました。周囲にいた社員がAさんとVさんを引き離し,なんとか自体は沈静化しましたが,Vさんは病院に運ばれ,医師の診察を受けた結果「加療約1か月間」との診断を受けました。Aさんは,110番通報により現場に駆け付けた久留米警察署の警察官に傷害罪で逮捕されました。
~ 犯罪が成立する場合とは? ~
犯罪が成立するためには,行った行為が
1 法律に規定する構成要件に該当し(構成要件該当性)
2 違法であり(違法性)
3 行った行為の責任を行為者に帰責できる(有責性)
ことが必要とされています。
1の構成要件該当性とは,行った行為が,法律などで規定されている文言に該当することをいいます。例えば,殺人罪を規定する刑法199条には「人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と書かれていますが,これからすると殺人罪の構成要件該当性とは,ある行為が「人を殺した」ことに該当すること,ということになります。
2の違法性とは,行った行為が正当防衛(刑法35条1項)や緊急避難(刑法37条1項)など正当化事由に当たらないことをいいます。正当防衛や緊急避難は刑法で規定されている要件に該当しなければ成立しません。単に,悪口を言われていた,金を返さなかったから殴ったなどというだけでは,情状面では一定の配慮があるとしても,違法性のレベルでは検討される余地はありません。
3の有責性とは,行為者が責任能力を有すること(心神喪失や心神耗弱(刑法39条)などに該当しないこと)をいいます。暴行・傷害事件ではよく「酔っていて覚えていない」と言われる方がおられます。しかし,あくまで,有責性は行為時を基準に判断されます。行為時に酩酊状態だったという場合は話は別ですが,言動,態度がしっかりしていて意識が明瞭だったと認められる場合は,やはり責任能力はあるとされてしまうでしょう。
~ 傷害罪が成立する場合とは? ~
では,傷害罪が成立する場合とはどんな場合なのでしょうか?
まず,傷害罪の構成要件該当性を検討するにあたって,傷害罪が規定されてある刑法204条の規定を確認しましょう。
刑法204条
人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
まず,傷害罪の規定から分かることは,傷害の対象者は「人」の身体だということです。つまり,「人」以外の動物などを傷害しても傷害罪に問われることはありません(この場合は,器物損壊罪(刑法261条)に問われることになります)。また,「傷害」の意義については諸説ありますが,判例,裁判例は,人の生理機能に障害を与えること,又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害説に立っているものと思われます。打撲,骨折,創傷が「傷害」に当たることは明らかですが,中毒症状を惹起し,めまい,嘔吐をさせる,病菌を感染させるなども「傷害」に当たるとされています。
次に,規定上は単に「人の身体を傷害した」と行為の結果しか書かれていませんが,その前提として,
1 暴行の故意+暴行行為
2 傷害の故意+傷害行為
が必要とされています。暴行とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい,殴る,蹴る,突く,押す,投げ飛ばすなどがその典型といえるでしょう。暴行の故意とは,要は,怪我させるつもりはなかったという場合です。この,暴行の故意で暴行行為を働き,結果,傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われ得ることになります。他方,傷害の故意とは,傷害させるつもりだったという場合です。傷害の故意で傷害行為を働き,結果,傷害を発生させた場合は傷害罪に,傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われ得ることになります。
最後に,暴行行為,又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。この因果関係の考え方についても諸説ありますが,基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。よって,例えば,暴行行為により被害者に骨折を負わせたとされても,暴行行為の前に,被害者が別の原因で骨折していたということが判明した場合は,「その行為がなくても結果は発生していた」といえますから因果関係は否定されることになり,傷害罪は成立しないことになります。
~ 重大犯罪・事件に発展する可能性も? ~
本件では,幸いにもVさんの一命は取り留められたようですが,仮に,その後Vさんが死亡した場合,Aさんはどんな罪に問われるのでしょうか?
刑法205条
身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,3年以上の有期懲役に処する。
これは傷害致死罪と呼ばれる罪名の規定で,Vさんが死亡した場合,Aさんは傷害致死罪に問われる可能性が出てきます。有期懲役の上限は20年(刑法12条1項)ですから,傷害罪に比べると格段に刑は重くなっています。また,裁判員裁判対象事件であるため,起訴されれば一般人が裁判員としえ裁判に参加することになります。ただし,傷害致死罪の場合も,行為(暴行行為,傷害行為)と死亡との間に因果関係があることが必要です。したがって,Vさんの入院中に,医師の手術が原因でVさんが死亡したという場合は,傷害致死罪ではなく傷害罪が成立する可能性が高いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,傷害罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。傷害罪などでご家族の方が逮捕された,警察の捜査,呼び出しを受けて困っている,被害者と示談したいなどとお考えの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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