Author Archive
強要罪と執行猶予
強要罪と執行猶予
福岡県大川市に住むAさんは,福岡県筑後警察署に強要罪で逮捕され,その後起訴されました。まさか起訴されるとは思っていなかったAさんのご両親でしたが,Aさんが5年前に犯した暴行罪で罰金刑を受けていることから,今度は裁判で執行猶予を獲得できるのか,刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです)
~ 執行猶予とは ~
皆さんもご存知のように,執行猶予とは,その罪で有罪ではあるが,言い渡された刑(懲役刑,罰金刑)の執行を一定期間猶予する(見送る)ことをいいます。たとえば,懲役刑を受けた方であれば,刑の確定後,猶予期間中に犯罪などしなければ刑務所に入らなくて済みますし,罰金刑を受けた方であれば,罰金を納付する必要はありません。
= 執行猶予を受けるための要件 =
執行猶予を受けるための要件は,刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり,執行猶予を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号,あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
= 強要罪ではどうか? =
* 上記1の点 *
まず,上記1からすると,執行猶予を獲得する可能性があるかどうか,その可能性はどの程度のものかどうか知るには,犯した罪について定められている刑(法定刑)を確認する必要があります。
この点,強要罪は刑法223条に規定があります。
刑法223条1項
生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対して害を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者は,3年以下の懲役に処する。
これからすると,強要罪だけで処罰される場合は,3年以上の懲役に処せられることはありませんから,上記1の要件を満たすことになります。
* 上記2の点 *
「前に」とは,執行猶予判決を言い渡される前にという意味です。「禁錮以上の刑に処せられた」とは,禁錮以上の刑を言い渡した判決確定したことをいうのであって,その確定判決の執行を受けたことを意味しませんから,刑の執行を猶予された場合も含まれます。つまり,刑法25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」とは,
・なんら前科のない人
・前科があっても罰金刑(実刑,執行猶予付きを含む)以下の前科を有する人
を意味することになります。なお,裁判を受けたものの無罪判決を獲得し,その裁判が確定した人も「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に含まれることはいうまでもありません。Aさんの場合,前科こそ有するものの,その内容とは罰金刑ということですから,刑法25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に当たります。
* 上記3について *
「情状」は,犯罪そのものに関する情状(犯情)とその他の一般情状に区別されます。犯情とは,犯行動機・態様,被害結果などの要素があり,犯行が終わった後ではいかんともしがたい事実です。他方,一般情状とは,
・被害弁償(示談)の有無,被害感情
・被告人の反省の有無
・反省の態度,更生可能性(被告人の更生意欲や家族等の支援,就職先の確保等),再犯可能性(前科前歴の有無,常習性の有無,犯行原因の消滅等)
などの要素があります。
~ 執行猶予を獲得するためには? ~
執行猶予を獲得するためには,上記1から3の要件を満たさなければならないことはお分かりいただけたと思いますが,上記1,2については弁護活動によってもどうすることもできません(前科があったことをなかったとすることはできません)。他方で,上記3の情状,特に一般情状に関する事実については,犯行後,逮捕後,起訴後でも弁護活動によって有利にもっていくことが可能です。
例えば,被害者との示談交渉がその一例でしょう。示談交渉によって,上手く示談を成立させることができれば,被告人に有利な情状として認められ(上記3の要件に該当し),執行猶予を獲得できる可能性は高まるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強要罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をお考えの方は,フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
窃盗罪と微罪処分
窃盗罪と微罪処分
福岡県春日市に住むAさんは,スーパーで万引きし,福岡県春日警察署で事情を聴かれることになりました。Aさんのご両親は,今後のことが不安になって刑事事件に強い弁護士に相談すると,弁護士から微罪処分のことを教えてもらいました。
(フィクションです)
~ 微罪処分とは ~
微罪処分とは,警察が事件を検察庁を送致せず,被疑者への厳重注意,訓戒等で終了させる手続きのことをいいます。本来,警察が立件した事件は警察→検察へと送致することが基本です(刑事訴訟法246条本文)。
刑事訴訟法246条
司法警察員は,犯罪の捜査をしたときは,この法律に特別の定がある場合を除いては,速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し,検察官が指定した事件については,この限りでない。
しかし,刑事訴訟法246条但書では,検察官が指定した事件については,この限りでない,つまり「送致しなくてもよい」とされており,これが微罪処分の根拠規定となっています。
~ どんな事件が対象となるの? ~
なお,「検察官が指定した事件」とありますが,検察官がいちいち事件が立件された都度指定しているのではなく,通常は,各都道府県を管轄する地方検察庁の検事正という役職の人が,各地域の実情に合わせて予め指定しています。一般的に,
・窃盗罪
・横領罪
・占有離脱物横領罪
・暴行罪
などの事件は微罪処分の対象とされていることが多いでしょう。
ただ,微罪処分の対象事件であっても,概ね,次の基準を満たす必要があります。
・ 犯情(犯罪事実そのものの情状)が極めて軽微であること
・ 被害弁償,示談済みであること
・ 被害者が処罰を望んでいないこと
・ 前科,前歴がないこと
~ 微罪処分のメリット ~
微罪処分となれば,どんなメリットがあるのでしょうか?
= 検察庁からの呼び出しがないで済む =
微罪処分となれば,事件が検察官の元に送致されませんから,検察庁から呼び出しを受けることはありません。お勤めの方であれば,休みをとって出頭するという手間が省けます。
= 刑事処分を受けないで済む =
検察庁に送致されないということは,検察官の刑事処分を受けることもありません。一番,不利な刑事処分は「起訴されること」ですが,微罪処分となれば,もちろん,起訴されることはありません。
= 裁判を受けないで済む =
起訴されることがないということは,裁判を受けなくて済むということを意味します。正式裁判されれば,裁判所が指定した日に出廷しなければなりませんが,その手間が省けます。
= 刑事処罰を受けなくて済む =
起訴され,有罪となり,その裁判が確定すれば刑事処罰を受けなくてはなりませんが,微罪処分となれば起訴されませんし,裁判を受ける必要もありませんから,刑事処罰を受けなくて済みます。
= 前科が付かない =
裁判で言い渡された刑事処罰の判断が確定すれば前科となりますが,微罪処分となれば裁判を受ける必要はありませんから,前科が付くこともありません。
~ 微罪処分獲得のための弁護活動 ~
これまで見てきたように,微罪処分となるためには,被害者弁償,被害者との示談が必要であることが分かります。よって,微罪処分獲得に向けた弁護士の弁護活動も,被害弁償や被害者との示談が中心となってきます。そして,微罪処分とするか否かは警察が決めますから,被害弁償,被害者との示談は,警察が事件を検察官へ送る前に済ませ,その結果を警察官へ示す必要があります。
被害弁償,被害者との示談をスピーディーに,かつ適切な内容でまとめるには弁護士の力が必要です。当事者間で行おうとすると,感情の縺れなどから,交渉が難航し,交渉中に事件を検察官の元へ送られてしまう可能性もあります。被害弁償,被害者との示談交渉は弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
覚せい剤使用の弁護活動
覚せい剤使用の弁護活動
福岡県古賀市に住むAさん(23歳)は,自宅において自らの身体に注射器を使って覚せい剤を使用した覚せい剤取締法違反(使用罪)の件で,福岡県糟屋警察署の警察官に緊急逮捕されました。Aさんの家族は突然のことに驚き,今後のことについて刑事事件専門の弁護士に無料法律相談しました。
(フィクションです)
~ 覚せい剤取締法(使用罪) ~
覚せい剤取締法
19条(使用の禁止)
左の各号に掲げる場合の外は,何人も,覚せい剤を使用してはならない
1号 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
2号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が使用する場合
3号 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
4号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のために交付を受けた者が施用する場合
41条の3第1項 次の各号の一に該当する者は,10年以下の懲役に処する。
1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
= 使用とは =
「使用」とは,覚せい剤等を用法に従って用いる,すなわち,「薬品」として消費する一切の行為をいいます。覚せい剤取締法は,覚せい剤を使用する客体を特に規定いません。ただ,通常は人体に使用する例が多いかと思います。人体に使用する場合,
自分で注射する場合でも,他人に注射する場合でも「使用」
に当たりますし,反対に,
他人に注射してもらう場合でも「使用」(この場合,注射した他人も覚せい剤取締法違反の使用罪に問われます)
に当たります。
また,使用方法は問いません。注射器で使用することが多いですが,直接も飲み込む経口投与,塗布,吸入,あぶりなどがあります。
~ 覚せい剤使用罪における弁護活動 ~
覚せい剤使用罪における弁護活動はどのようなものが挙げられるでしょうか?
= 事実を認める場合 =
事実を認める場合は,特段の事情がない限りは起訴されると考えてよいでしょう。ですから,弁護活動も起訴後の弁護活動に重きを置くことになります。例えば,身柄の釈放を望むのであれば「保釈請求」をします。しかし,ただ単に保釈請求するだけでは意味がありません。釈放された後のことも考え,ご家族などと釈放後の生活についてきちんと話し合い,何をすべきなのか,何ができるのか,きちんと決めておく必要があるでしょう。
また,裁判では,執行猶予,あるいは一部執行猶予付き判決の獲得を目指します。そのためには,本人に反省を促し,病院・薬物依存症リハビリ施設など,相談や治療などに当たっているところに通えるよう手配し,それを裁判官に示すという活動が必要となってくるでしょう。
= 事実を認めない場合 =
通常,事実を認める場合に比べて接見の回数は多くなるでしょう。まずは,接見で本人がどの点を否認しているのか(尿の採尿経緯に不満があるのか,使用した物が覚せい剤だったことに不満があるのかなど)を確認します。仮に,後者の場合は,覚せい剤を使ってしまった状況,経緯などを詳細に調べ,本人の言っていることが果たして不合理な弁解ではないか確認する必要があります。その上で,本人に適切なアドバイスをし,今後の方針を決めていくことになります。
また,事実を認めない場合は,接見禁止決定が付くことが事実を認める場合よりも多いです。そのような場合は,可能な限り全部,あるいは一部の接見禁止解除を目指すことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,覚せい剤取締法違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120ー631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
(福岡県粕屋警察署までの初回接見費用:37,200円)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
遊び半分が威力業務妨害罪
遊び半分が威力業務妨害罪
福岡県古賀市に住むAさんは,遊び半分のつもりで,営業中の路線バスの運転手であるVさんに向けてレーザーポインターの光を照射しました。そうしたところ,通報を受け駆け付けた福岡県粕屋警察署の警察官に暴行罪及び威力業務妨害罪の容疑で逮捕されました。Aさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼し,Vさん及びバス会社との間で示談をしたいと考えています。
(事実を基にしたフィクションです)
~ Vさんに対する暴行罪 ~
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
= 暴行とは? =
「暴行」とは,人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
素手で殴ったり足で蹴ったりする行為や,バットや竹刀などの武器を用いて殴打する行為がその典型といえるでしょう。また,直接,人の身体に接触しない行為,例えば,
・狭い部屋の中で日本刀を振り回す行為
・音や光,電気や冷気などのエネルギーを用いた行為(例えば,大太鼓を耳元で連打したという行為)
も「不法な有形力の行使」に当たると判示した裁判例があります。
これからすると,Aさんの行為も「不法な有形力の行使」といえ,暴行罪の「暴行」に当たるといえそうです。
= 暴行罪が成立する場合とは? =
暴行罪が成立するには,「暴行の故意」,あるいは「傷害の故意」(怪我させてやろう,あるいはするかもしれないという意図)が必要です。しかし,後者の場合は結果として「傷害するに至らなかった」ことが必要です。反対に,「暴行の故意」で暴行を加えたものの,結果として傷害(怪我等)が発生した場合は暴行罪ではなく傷害罪(刑法204条)が成立します。
~ バス会社に対する威力業務妨害罪 ~
刑法234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も,前条の例による。
刑法233条
(略)偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
= 威力とは? =
「威力」とは,犯人の威勢,人数・四囲の状勢などからみて,人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。暴行・脅迫に場合はもちろん,地位・権勢を利用して威迫する場合なども含まれます。
これからすると,Aさんの行為は「暴行」に当たりますので「威力」に当たるでしょう。
= 人の業務とは? =
「人」とありますが,自然人のみならず法人・法人格を有しない団体も含まれます。
「業務」とは,人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務をいいます。電車,バスの運行はまさに「業務」の典型といえるでしょう。
これからすると,本件では,Vさんが所属するバス会社の運行業務が「人の業務」に当たるでしょう。
= 妨害とは =
業務の執行自体を妨害する場合に限らず,ひろく業務の経営を阻害する一切の行為を含むとされています。通説・判例は,業務妨害の結果を発生するおそれのある行為をすれば足り,現実のその結果の発生したことを要しないとしています。
本件でいえば,必ずしも,バスを停止させたとか,停止させたことにより運行に支障が生じたなどということは必要ないということになります。ですが,その可能性も残されており,Aさんの行為は業務の執行を妨害するおそれがある行為として「妨害」に当たる可能性があるでしょう。
~ 終わりに ~
以上からすれば,Aさんの行為は威力業務妨害罪に当たる可能性は十分にあるといえます。Aさんとすれば遊び半分で行ったつもりでしょうが,場合によっては,遊び半分が犯罪に当たることもあり得ます。最悪の場合,逮捕されることもありますから,普段の行動には十分注意する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,威力業務妨害罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
ネットで裸などの動画流し公然わいせつ
ネットで裸などの動画流し公然わいせつ
~ ご相談事例 ~
私(Aさん)は,生活費に困って,自宅のパソコンの画面を通じて特定のお客さんに自分の裸などを見せるアルバイトをしていました。アルバイト先からは,これまで合計約60万円の給料をもらっています。私は,先日,私と同じく生活費に困って,インターネットで裸をライブ配信していた女性と男性が公然わいせつ罪で逮捕されたことをニュースで見て知りました。私も同じようなことをしているので,やはり見つかってしまえば公然わいせつ罪で逮捕されるのでしょうか?
(フィクションです)
~ はじめに ~
Aさんが言うように,先日,
インターネットで裸をライブ配信していた女性と男性が公然わいせつ罪で逮捕された
というニュースが報道されました。最近では,インターネット環境が整い,Aさんのように自宅のパソコンを使って自分の裸などを見せてお金を稼ぐアルバイトもあるようです。このようなアルバイトをしている方にとっては,Aさん同様,自分も公然わいせつ罪で逮捕されるのではないかと不安になられた方も少なからずおられるかと思います。そこで,今回は,まず,
・公然わいせつ罪とはどんな罪か
・Aさんは逮捕されるのか
について解説した上,報道された事件の内容についても若干解説したいと思います。
~ 公然わいせつ罪とはどんな罪? ~
まず,どんな罪でも,その罪がどんな罪か知るためには,その罪が規定されている法律,条例の条文を確認することが必要です。公然わいせつ罪は刑法174条に規定されています。
刑法174条
公然とわいせつな行為をした者は,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
つまり,規定から,公然わいせつ罪とは,「公然」と「わいせつな行為」をした場合に成立し,裁判で有罪と認められれば,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料を科せられる犯罪だということが分かります。以下,「公然」と「わいせつな行為」について詳しく解説いたします。
= 公然 =
「公然」とは,不特定又は多数の者が認識することができる状態をいいます。現実に不特定又は多数の者に認識される必要はなく,その可能性があれば足りるとされています。
公園や路上などの人前での行為
が典型だと思いますが,報道された事件のように,インターネットの世界は不特定又は多数の者が利用することが可能ですから,
インターネット上の行為も「公然」
に当たります。
= わいせつな行為 =
判例によれば,「わいせつな行為」とは,行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。裸,性器等の露出はその典型といっていいでしょう。
~ Aさんは逮捕されるの? ~
以上を踏まえて,まず,Aさんの行為が公然わいせつ罪に当たり得るか検討する必要があります。なぜなら,逮捕段階では,公然わいせつ罪に当たる相当な理由がなければ逮捕されないからです。
この点,Aさんは,
特定のお客さん
に自分の裸などを見せていたということであり「公然」の要件を満たしません。したがって,Aさんの行為は公然わいせつ罪に当たらないと考えます。もっとも,当初は特定人に対する公開であっても,その後不特定又は多数の者に公開されることが予定されていた場合は「公然」に当たる可能性がありますし,Aさんがそのことを認識しつつ裸などを公開した場合は公然わいせつ罪が成立する可能性がありますから注意が必要です。
~ 男性が公然わいせつ罪で逮捕されたのはなぜ? ~
報道された事件についてですが,男性が公然わいせつ罪で逮捕されたのはなぜでしょうか?少なからず疑問を持たれた方もおられるかと思います。
もちろん,公然わいせつ罪の主体に女性も男性も関係ありません。しかし,今回は,ネットで裸をライブ配信しお金を稼いでいたということですから,おそらく,裸を公開していたのは女性の役割だったと思われます。
他方,男性は,集客や犯行道具(パソコン,ネット環境,ハードディスクなど)の設定,維持・管理などの役割を担っていたのかもしれません。このように,まさに公然わいせつ罪に当たるという行為ではなく,その行為を可能ならしめる,容易ならしめる行為(これを共同正犯又は教唆犯・幇助犯といいます)であっても同様の罪で逮捕される可能性があるのです。教唆犯・幇助犯の場合は,若干罪が軽くなりますが,共同正犯の場合,例えば,多額の収益を得ていた場合などは,実際に罪を犯した人よりも罪が重くなることだって考えられます。
~ おわりに ~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,公然わいせつ罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。公然わいせつ罪やその他の刑事事件でお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
名誉毀損罪で警察から呼び出し
名誉毀損罪で警察から呼び出し
Aさんは,学生時代の友人であるVさんが有名会社Xの社長になったという話を聞いて,これを妬ましく思い,インターネット掲示板に「X社の社長には愛人が複数人存在する」という書き込みをしてしまいました。後日,Aさんは,福岡県西警察署から名誉毀損罪の件で呼び出しを受けました。Aさんはどうしていいか困り,刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 名誉毀損罪(刑法230条) ~
刑法230条1項
公然と事実を摘示し,人の名誉を棄損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
= 「公然と」とは =
「公然と」とは,不特定又は多数人が認識できる状態をいい,必ずしも現実に認識したことは必要ではありません。
特定であっても多数であれば,あるいは,少数であっても不特定であれば,「公然と」と言えることになり,特定かつ少数である事のみが「公然と」から除外されることになります。
もっとも,特定かつ少数人に対する事実の摘示であっても,それが不特定多数人へと伝播する可能性があれば「公然と」に当たると考えられており(伝播性の理論),直接には2,3人に告げたに過ぎないという事案について「公然と」といえると判断した裁判例があります。
Aさんのように,インターネット掲示板へ書き込む行為は,インターネット掲示板はインターネットにアクセスできる人であれば誰もが閲覧できますので,これへの書き込みは「公然と」に当たるでしょう。
= 「事実を摘示し」とは =
「事実を摘示」とは,人の社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実を表示することをいいます。
ここでの事実は,真実又は虚偽のいずれであってもよく,公知の事実であっても良いと考えられています。
「愛人が複数人存在する」という事実は,民法上倫理上許されるべきものではないことから,その人の評価を低下させるに足りる具体的な事実であるといえ「事実を摘示し」に当たるでしょう。
= 「人」とは =
「人」には,自然人だけでなく法人その他の団体をも含みます。
被害者は特定されている必要がありますので,例えば,「福岡県民は詐欺をしている」などと漠然とした集団・団体に対する名誉毀損罪は成立しない可能性が高いです。
Aさんは「X社の社長」と摘示したのみで,「Vさん」と摘示したわけではありませんが,通常,会社の社長は一人しかいませんから,「X社の社長」と摘示すれば被害者は特定されたことになるでしょう。
= 「名誉を毀損」とは =
「名誉」とは人の社会的評価又は価値のことをいいます。「毀損」とは,人の社会的評価又は価値を低下させることをいいます。ただし,その評価が現実に害されたことを必要とするものではなく,これが害されるおそれのある状態が発生したことで足りると考えられています。
「愛人が複数人存在する」と摘示すれば,通常,人の社会的評価は低下すると言えますので,「名誉を棄損」したに当たるでしょう。
~ 名誉棄損罪が成立した場合の例外 ~
以上から,Aさんの行為は名誉棄損罪に当たる可能性が高いです。
しかし,名誉毀損罪に当たる行為であっても,
① 「公共の利害に関する事実」であって,
② 摘示行為の目的が公益を図ることにあったと認められ,
③ 摘示された真実であったことの証明があったとき
は処罰されません(刑法230条の2)。
これは,名誉毀損罪による個人の名誉の保護と,新聞や雑誌など報道機関などの言論の自由の保証との調和図るための規定です。
ただ,本件では,AさんはVさんを妬ましく思ったことから上記の行為をとっており,公益を図ると目的はおよそ認められない(上記②の要件を欠く)として,名誉毀損罪で処罰される可能性が高いでしょう。
~ 最後に ~
名誉棄損罪は,被害者の告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です。名誉棄損罪による処罰を免れたい方は,まずは被害者に謝罪し,示談交渉をはじめることが肝要です。示談を成立させるには,法律の専門家である弁護士の力が必要といっても過言ではないでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,名誉棄損罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
自動車ドアの開扉と交通事故
自動車ドアの開扉と交通事故
~ ケース1 ~
福岡県小郡市に住むAさんは普通乗用自動車を運転していましたが,喉が渇いたため自動販売機でコーヒーを買おうと思い,左ウィンカーを点滅させて,道路左側に車を停車させました。そして,車から降りようと運転席ドアを開けたところ,ちょうど車を右側からよけようとして進行してきたVさん運転の自転車に運転席ドアを衝突させ,Vさんを路上に転倒させてVさんに加療約2週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは,過失運転致傷罪に問われるのでしょうか?
~ ケース2 ~
タクシー運転手のBさんは,客であるCさんを後部座席に乗せて運転していたところ,目的地に着いたためタクシーを道路左側に寄せて停車させました。そして,BさんはCさんから代金を受け取り,Cさんを降車させようと後部座席左側のドアを開扉したところ,タクシーの左側を通過してきたVさん運転の自転車にドアを衝突させ,Vさんを路上に転倒させてVさんに加療約2週間の怪我を負わせました。Bさんは,過失運転致傷罪に問われるのでしょうか?
(いずれもフィクションです)
~ 過失運転致傷罪 ~
= はじめに =
過失運転致傷罪は,
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条
に規定されています。この法律が施行される平成26年5月20日までは,刑法211条2項に同様の規定が設けられ(罪名は「自動車運転過失傷害罪」でした)ていましたが,法律5条が新設されてことに伴い現在は削除されています。
法律5条
自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。
= 「運転」とは =
「運転」とは,
自動車の運転者が自動車の各種装置を操作し,そのコントロール下において自動車を動かす行為を意味し,発進に始まり停止で終わる
と解されています。
* 自動車ドアの開扉事故 *
ところで,車を停止させて運転席ドアを開けたところ,ドアを自転車を運転してきた人にぶつけて怪我をさせた場合,過失運転致傷罪に問われるのでしょうか?
この点,「運転」を上記のように解釈すれば,ドアを開ける行為は「運転」後の行為ですから「運転」とは言えず過失運転致傷罪には問われないように思えます。ただし,過去には,業務上過失傷害罪(刑法211条)が成立する旨判示した裁判例(平成25年6月11日 東京高等裁判所)があります。
しかし,運転者が車を停止後も車を発進させるつもりだった場合(例えば,タクシーの運転手が同乗者を後部座席から降ろすため一時的に停止し,後部座席ドアを開扉したところ,ドアを自転車を運転してきた人にぶつけて怪我を負わせた場合など)はどうでしょうか?
この場合,走行→停止→再発進という自動車の一連の動きを総合的・全体的に観察すると,一時的に停止したとはいえ,なお「運転」中であったと見ることができるようにも思えます。この場合,タクシー運転手は過失運転致傷罪に問われるおそれが出てきます。
= 「自動車の運転上必要な注意」とは =
「自動車の運転上必要な注意」とは,
自動車の運転者が,自動車の各種装置を操作し,そのコントロール下において自動車を動かすうえで必要とされる注意義務
と解されています。
注意義務の内容は,自動車運転の場合,通常,道路交通法(以下,法)に規定されています。例えば,「赤色信号看過」の場合は,法7条に,
(略)車両等は,信号機の表示する信号(略)に従わなければならない
と規定されており,これが自動車運転者に課される「注意義務」となるのです。にもかかわらず,赤色信号看過した場合は「自動車の運転上必要な注意」(義務)を怠ったということになり「過失」が認められることになります。また,ドアの開扉に関しては,法71条4号の3が根拠となります。
法71条 車両等の運転者は,次に掲げる事項を守らなければならない。
4号の3
安全を確認しないで,ドアを開き,又は車両等から降りないようにし,及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為いより交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,交通事故をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。交通事故などの刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
強盗罪と恐喝罪
強盗罪と恐喝罪
福岡県大牟田市に住むAさんは,ある日の夜中,人通りの少ない路上を歩いていたVさんの背後から,Vさんに対し,左手に持っていた刃物を突き付け,「金を出せ,騒ぐと殺すぞ」などと言いました。Aさんはそのまま刃物を突き付けながら,Vさんから現金2万円入りの財布を右手で受け取り,その場から逃走しました。しかし,後日,Aさんは,福岡県大牟田警察署に強盗罪で通常逮捕されました。
(フィクションです)
~ 強盗罪 ~
刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,前項と同様とする。
= 強盗罪の暴行・脅迫とは =
一般に,「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使,「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいますが,強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は,
相手方の反抗を抑圧する程度
に強いものでなければならないとされています。そして,程度であるか否かは,
・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人,相手方の性別,年齢,体力
などを総合的に考慮して判断されます。
= 強取とは =
「強取」とは,上記の「暴行」「脅迫」により,相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。
通常は,犯人が被害者自身から直接財物を奪取することが多いと思いますが,必ずしもその必要はなく,反抗を抑圧された被害者から交付を受けてもよいとされています。
= 2項強盗とは? =
2項強盗とは,刑法236条2項に当たる行為をした場合に成立する犯罪です。
典型的ケースが,
タクシー強盗(例:目的地に着き,運転手からタクシー代を請求されたところ,運転手の顔面を殴ってタクシーを降り,代金の支払いを免れた場合など)
です。
「前項の方法により」とは,先ほどご説明した「暴行」「脅迫」の手段を用いてという意味です。「財産上不法の利益を得」とは,利益を得る手段が不法であることを意味し,財産上の利益そのものが不法であることを意味しません。具体的には,支払を免除させる(上記の例),借金の支払の履行を延期させる,被害者に一定の役務(サービスなど)を提供させることなどが挙げられます。「前項と同様とする」とは,1項と同様,5年以上の有期懲役に処せられるという意味です。
= 被害者が怪我した場合,死亡した場合は? =
強盗の機会に,人を負傷させた場合は強盗致傷罪が成立するおそれがあり,法定刑は無期又は6年以上の懲役です。また,死亡させたときは死刑又は無期懲役です。なお,「人」とは必ずしも被害者に限らず,強盗を目撃した目撃者,目撃者から依頼を受けて犯人を捕まえようとした通行人なども含まれます。
~ 恐喝罪 ~
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。
= 恐喝とは =
「恐喝」とは,財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが,恐喝罪の場合,一般的に脅迫行為が行われることが多いと思われます。ただ,その程度は,強盗罪と異なり,
相手方の反抗を抑圧するに至らない程度
であることが必要とされています。つまり,強盗罪よりは,やや程度の落ちる脅迫行為である必要だということです。規定上も,強盗罪と異なり「財物を交付させた」とあります。つまり,相手方に一定の処分行為をする余地を認めているのが恐喝罪ということになり,よって,強盗罪よりも程度の弱い脅迫行為で恐喝罪が成立するとされるのです。
強盗罪の「暴行」「脅迫」か恐喝罪の「恐喝」かは,上記で述べた基準(・犯行の時刻・場所その他周囲の状況,・凶器使用の有無,・凶器の形状性質,・凶器の用い方など犯行の手段方法,・犯人,相手方の性別,年齢,体力,・その他個々の事情など)をもとに判断され,個々の事案の具体的状況により結論は異なります。
~ おわりに ~
刑事事件において,ある犯罪に当たると疑われても,ふたを開けてみると
実は別の犯罪だった
ということがよくあります。強盗罪についても同じことがいえ,「強盗罪で逮捕されたものの恐喝罪で起訴された」,あるいは,「強盗罪で起訴されたが裁判で恐喝罪と認定された」などという場合です。仮に,このような事態となれば,適用される刑罰も異なり,量刑もだいぶことなりますから,
強盗罪が成立するか恐喝罪が成立するかは大きな違い
ということになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強盗罪,恐喝罪をはじめとする刑事事件,少年事件専門の法律事務所です。刑事事件,少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
わいせつ物公然陳列罪で逮捕
わいせつ物公然陳列罪で逮捕
福岡県川崎町に住むAさんは,自分の元恋人Vさんに嫌がらせをする目的で,かつて交際していた時に撮影したVさんの全裸の写真データをインターネット掲示板にアップロードしました。そうしたところ,Aさんは,福岡県田川警察署の警察官にわいせつ物公然陳列罪の容疑で逮捕されました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(フィクションです)
~ わいせつ物頒布等罪 ~
刑法175条1項
わいせつな文書,図画,電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し,又は公然と陳列した者は,2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し,又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も,同様とする。
= わいせつな文書,図画,電磁的記録に係る記録媒体その他の物 =
判例で,「わいせつ」とは,
徒らに性欲を興奮または刺せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するもの
とされています。
また,ここでいう
・「文書」とは本など文字によって表示されるもの
・「図画」とは写真,絵画など象形的方法によって表示されるもの
・「電磁的記録に係る記録媒体」とはハードディスク,BL・DVD・CD,USBメモリー,フラッシュメモリー,インターネット上のサーバー,ビデオカセットテープなど電磁的記録(情報)が記録・蔵置されているもの
・「その他の物」とは,彫刻物,模擬物など
のことをいいます。
= 頒布 =
「頒布」とは,不特定又は多数人に対して有償又は無償で交付することをいいます。
そのため,特定の人に対して1回限りで交付することは「頒布」には当たりません。
もっとも,特定の1人に対する1回限りの交付であっても,反復継続して交付する意思があれば,「頒布」に当たりうると判断した裁判例があります。
また,「頒布」と言えるためには,現実に交付・引き渡しがされることが必要であり,例えば,わいせつ物を郵送したが,配送途中の事故により相手方に到達しなかったという場合には,「頒布」には当たらないことになります。
= 公然と陳列 =
「公然と陳列」とは,不特定又は多数の者が閲覧することができる状態に置くことをいいます。
そのため,特定少数人のみが閲覧できるという状態にすぎない場合には,原則として「公然と陳列」には当たらないことになります。
しかし,特定少数人のみが閲覧できる状態にすぎない場合であっても,これが不特定多数の者を勧誘した結果,たまたま特定少数人のみが閲覧しただけに過ぎないという場合(例えば,わいせつな映像を上映しようと思い,映画館に不特定多数の者を勧誘したが,結果として小数人しか来ず,小数人しか閲覧しなかったという場合)には,例外的に「公然と陳列」に当たりうると判断した裁判例があります。
= まとめ =
Vさんの全裸の写真データは「わいせつな電磁的記録」に当たります。そして,インタネット上の写真データを記憶・蔵置するサーバーが「電磁的記録に係る記録媒体」に当たるでしょう。インターネット上にアップロードすれば,不特定又は多数の者が閲覧できる状態に置かれるということですから,Aさんの行為は「公然と陳列」したことに当たるでしょう。以上から,Aさんは,わいせつ物公然陳列罪で処罰されるおそれが出てきます。
~ その他 ~
その他,Aさんの行為は,
リベンジポルノ被害防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(以下,法律))の公表罪(法律3条1項)
に当たおそれがあります。法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
ただし,公表罪が成立する場合も様々な要件をクリアすることが必要ですから,詳細は法律を確認するか弁護士にお尋ねください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,わいせつ物公然陳列罪などをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
北九州市門司区の暴行事件
北九州市門司区の暴行事件
福岡県北九州市門司区に住むAさんは,職場の同僚であるVさんの胸ぐらをつかんだ暴行罪の容疑で福岡県門司警察署から呼び出し受けました。Aさんとしてはまさか刑事事件に発展するとは思ってもおらず,慌てて刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 暴行罪 ~
暴行罪の規定は以下のとおりです。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
以下,どんな行為が暴行罪の「暴行」に当たるのか,傷害罪との違いはどの点にあるのかなどについて解説いたします。
= どんな行為が暴行罪の「暴行」に当たるのか =
暴行罪の「暴行」とは,人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。もっとも典型なのが
殴る,蹴る,突く,押す,投げ飛ばすなど
直接人の身体に触れる行為が挙げられます。もっとも,暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず,
・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為,棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為
などがあります。また,最近では,自動車のあおり運転が話題となっていますが,あおり運転行為も暴行罪の「暴行」に当たることがあります。
= 傷害罪との違い =
次に,暴行罪と傷害罪の違いについて解説いたします。
・結果の違い
暴行罪は暴行を加えたが怪我が発生しなかったときに成立し,傷害罪は暴行を加え怪我(傷害)が発生したときに成立します。通常,怪我の有無は医師の診断書に基づいて認定されます。
・法定刑,量刑の違い
暴行罪は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料で,傷害罪は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。量刑にも大きく影響します。通常,初犯者の場合,暴行罪では罰金10万円から20万円が相場ですが,傷害罪ではそれより高額か,あるいは正式裁判で懲役刑を言い渡されることもあります。
~ 暴行罪の刑事弁護 ~
暴行罪でも逮捕されることはあります。逮捕されれば,長期間身柄を拘束されることもありますし,長期間身柄を拘束されれば生活に大きな影響が出ることは間違いありません。では,このような事態を回避するためには,どんな弁護活動が必要なのでしょうか?
= 暴行事実を認める場合 =
被害者に真摯に謝罪することから始まります。本来なら,直接会って謝罪することが筋でしょうが,被害者がこれを拒否するのであれば謝罪文を郵送する等の方法が考えられます。しかし,その内容によっては,被害者の気持ちを逆なでしてしまうおそれもありますから,謝罪文の内容は弁護士にチェックしてもらった方がいいでしょう。次に,示談交渉に入ります。しかし,ここで被害者と直接会うことは避けた方が無難です。謝罪文同様,被害者の気持ちを逆なでして示談交渉が決裂してしまうおそれがあるからです。やはり,弁護士に間に入ってもらう方がスムーズに示談交渉を進めることができます。
= 暴行事実を認めない場合 =
まずは,被疑者,被害者,目撃者がいる場合は目撃者から話を聴くなどして事実関係を確かめます。そして,その結果を意見書などの書類にまとめ,刑事処分を決める検察官に提出し,不起訴処分,早期釈放を求めます。仮に,起訴され,裁判となった場合でも,証人尋問等で被害者,目撃者の証言の信用性に疑いを生じさせ,無罪判決を獲得しなければなりません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,暴行罪,傷害罪等の刑事事件・少年事件を専門の法律事務所です。お困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
