準強制わいせつ罪と示談

2021-02-08

準強制わいせつ罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

医師Aさんは、健康診断中に、女子の胸に聴診器を当てるふりをして、指を押し当てるなどした準強制わいせつ罪の疑いで警察に逮捕されてしまいました。Aさんは、接見に来た弁護士に、「胸に当たったかもしれないが、故意に触ったわけではない」などと話しています
(事実を基に作成したフィクションです。)

~準強制わいせつ罪とは~

準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。

刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。自分のしたことが善いことか悪いことか判別できる能力、その能力に従って行動できる能力が完全に喪失された心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また、わいせつな行為をされること自体認識していても、加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。

「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。ただし、この場合、本罪が成立するには、わいせつ行為をした者が、被害者が当該状態にあることを認識しておく必要があるでしょう。
「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。

さらに、本罪は故意犯です。加害者において、「被害者が心神喪失、抗拒不能の状態にあること」、「被害者を心神喪失、抗拒不能の状態にさせたこと」、「わいせつ行為に及んだこと」、「被害者の同意がないこと」を未必的にも認識している必要があります。

~ 無罪判決も ~

2019年2月20日、東京地方裁判所では、全身麻酔による乳腺腫瘍の摘出手術を担当し、手術が終了した女性患者の乳首を舐めたという準強制わいせつ罪に問われた40歳代の乳腺外科医師に無罪判決が言渡されています。判決では、「女性患者が麻酔の影響でせん妄状態に陥り、わいせつ行為を受ける幻覚を体験した可能性がある」と指摘、検察側が立証の柱とした女性の証言について、「女性は麻酔から覚めた際のせん妄(幻覚)の影響を受けていた可能性があることなどから、証言の信用性に疑問を差し挟むことができる」とし、犯罪(準強制わいせつ罪の成立)の証明がないことから無罪としたのです。

医師は社会的に地位の高い職業であり、犯罪を疑われれ逮捕されれば社会的にも耳目を集めやすく、マスコミに報道されるリスクも高いをいえます。上記の無罪判決を受けた男性は、マスコミに報道されたことはもちろん、長期の身柄拘束をも余儀なくされたそうです。その結果、診察や手術などに影響が生じ、かかりつけ患者は行き場を失い、医療現場に不安がもたらされたとのことです。さらに医師は職を失い、実名報道によって本人のみならず家族や関係医療機関への不利益も生じているとのことです。

これらのリスクを少しでも軽減させるためには弁護士の力が必要といえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所支部は、準強制わいせつをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方、一部執行猶予獲得をご検討中のご家族の方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。お気軽にご相談ください。

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